文・写真=鈴木栄一

「いつもと同じようにハードにプレーするだけ」

4月27日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズはクォーターファイナル初戦で琉球ゴールデンキングスに69—53で勝利。試合開始から7-0のランで抜け出すと前半を25点の大量リードで折り返し、そのままリードを保ち続ける文字通りの完勝だった。

出場選手全員がそれぞれ自分のやるべきことを遂行した名古屋Dだが、その中でも傑出したパフォーマンスを見せたのがヒルトン・アームストロングだ。18得点に加え16リバウンドと攻守の両面でゴール下を支配した。

「チームとしてコーチの作戦を忠実にやり、それがうまく行ったことで自信を持って続けていけた」と勝因を語るアームストロングは、フィールドゴール10本中9本成功と高確率で沈めたシュートに加え、6つのオフェンスリバウンドが中でも光った自身のプレーについて次のように振り返る。

「ゴール下でフィジカルにプレーしなければいけないことは分かっていたし、リバウンドを積極的に取りに行った。チームのためにポゼッションを多くしたいと思いがあった」

ただ、「ディフェンスは今日、あまりうまくいってなかった。ブロックショットが1本もなかったので、それはハッピーじゃないね」とショットブロッカーとしての矜持も見せた。

梶山ヘッドコーチ「ディフェンスが締まった」

アームストロングにとって琉球は昨シーズン所属した古巣となる。「昨年のチームメートやコーチと対戦することは大きなモチベーションになった」との言葉と同時に「試合が始まれば、そういうことは全く考えない。どんな相手でも対戦するのは好きだし、いつもと同じようにハードにプレーするだけ」と平常心で臨むことの大切さを理解しており、このメンタルの持って行き方が今回の活躍に繋がっている。

また、勝手知ったる仲間ということで相手選手の癖を知っているメリットもあれば、自分の強み、弱みを知られているデメリットもある。しかし、彼は「これはチームスポーツで、チーム一体となってプレーできれば、相手に自分のことを知られていてもうまくいく」と気にしない。

シーズン序盤の名古屋Dといえば、昨年から引き続き機動力を武器にしたオフェンスの爆発力を備える一方で、守備力には課題があった。それが後半戦にアームストロングが加入し、強靭なフィジカルの持ち主であるジャスティン・バーレルとの外国籍コンビが誕生したことで、守れるチームへと変化しつつある。

梶山信吾ヘッドコーチが「ヒルトン、JB(バーレル)のゴール下の守備、リバウンドは今までのウチになかったもの。ピック&ロールのディフェンスが締まり、遂行力がかなり上がりました」と語る守備力の強化に成功した。このアームストロング加入の効果が、大事なチャンピオンシップの初戦でこれ以上ない形で発揮されたことになる。

「相手にチャンスを与えたくはない」

今日の第2戦に勝てばセミファイナル進出。それでもアームストロングは自分たちが優位に立っている状況は忘れ、0勝0敗の時と同じ気持ちで戦うべきと強調する。「相手は強いチームで、日曜日は初戦と違ってすごく激しい試合となる。僕たちは第3戦に持ち込ませたくない。相手にチャンスを与えたくはない」と一気に勝ち上がりを決めるつもりだ。

万能の王であるバーレルと、ゴール下の支配者アームストロング。この強力外国籍コンビが機能することが、名古屋Dにとってはチャンピオンシップ上位進出の絶対条件。堅守を支えるアームストロングの働きぶりは、一見の価値がある。