文=鈴木栄一 写真=鈴木栄一、野口岳彦4月22日、今週末から始まるチャンピオンシップに先駆け、ティップオフイベントが行われた。チームを代表して参加した各選手に「ここだけは負けない」ポイントを書いてもらった。アルバルク東京の田中大貴が書いたの…

文=鈴木栄一 写真=鈴木栄一、野口岳彦

4月22日、今週末から始まるチャンピオンシップに先駆け、ティップオフイベントが行われた。チームを代表して参加した各選手に「ここだけは負けない」ポイントを書いてもらった。アルバルク東京の田中大貴が書いたのは『タフネス』。妥協を一切許さず、常にエネルギッシュなパフォーマンスを要求する指揮官、ルカ・パヴィチェヴィッチに鍛え上げられたチームは、全員がそのタフさを持ち、安定した成績を収めてきた。そのタフネスは、相手にとって脅威以外の何物でもない。

「そのための準備をやってきた自負はある」

今でこそ『インテンシティ』(激しさ)という言葉がヘッドコーチや選手たちから聞かれるようになったが、この言葉をBリーグに浸透させたのは、当時日本代表のテクニカルアドバイザーを務めていたルカ・パヴィチェヴィッチだった。2017年夏にアルバルク東京のヘッドコーチに就任したルカは、その激しさとチームの連携を武器にBリーグ制覇を成し遂げた。

そのインテンシティは今シーズンも健在だ。だからこそ、田中大貴が『タフネス』という言葉を選んだことにも納得がいく。「誰が試合に出ても、高いインテンシティを保ちながらプレーできると思っています。シーズンを通して、そのための準備をやってきた自負はあるので」

田中は迷うことなく、この言葉を選択した。「コーチからもチャンピオンシップのテーマはタフネスだって言われています。自分はこの言葉が一番いいなと思って書いたんですけど、僕たちが結果をつかむには、絶対にこれがキーになってくるんじゃないかと思っています」

A東京は田中を含む3人が日本代表に選出されたこともあり、チーム練習が思うようにできないことにヘッドコーチは常に頭を抱えていた。それでも44勝16敗という好成績を残せたのは、田中が言うように、残りのメンバー全員が高いインテンシティを保ち、タフなスケジュールを全員で乗り切ったからに他ならない。

そして、「シーズンが終盤に近づくにつれて、より強調するようになった」と、指揮官からの『タフネス』のハードルは上がったという。

「自分がどれだけやれるかで、チームの勝敗が変わってくる」

A東京は新潟アルビレックスBBとクォーターファイナルを戦う。言わずもがな、新潟の一番の強みは得点王のダバンテ・ガードナーだ。田中も「ガードナー選手が個の力で打開して、アドバンテージを取っていくのが新潟のスタイル」と警戒を強める。だが、それと同時に「彼がプレーメークをして、シューター陣がアウトサイドで待ち、確率良く決めてくるのも向こうの勝ちパターン」と、続けた。

今シーズンの戦績は1勝1敗と五分だが、昨シーズンはガードナーに40得点を奪われる試合もあるなど、1勝3敗と負け越している。相性がやや悪いように思えるが、田中はそれを否定し、チームディフェンスが大事と訴える。「最初の頃は、典型的なところで言うと、一切ダブルチームに行かなかったので。最近はダブルチームに行くこともありますし、しっかりと対策をしてます。個ではなく、チームとしてディフェンスをすることが必要だと考えています」

苦手意識は特別ないという田中だが、それでも中地区を制した現在の新潟が難しい相手であることを認める。「自分たちの持っているものをすべて出さないと、望む結果はつかめない」と話し、現王者であっても「些細なことが勝敗に繋がってくるので、慢心なんてものはないです」と語気を強めた。

いよいよ連覇への戦いが始まるが、田中は「ここからのパフォーマンスがどれだけ大事かは分かっています」と話し、チームを引っ張る気概を見せる。「先陣を切って、どんな時も冷静で、チームを安心させるようなプレーをしなければいけないと自分では思っています。自分がどれだけやれるかによって、チームの勝敗が変わってくるぐらいの気持ちで、よりアタックモードな姿を見せたいです」

A東京の連覇が実現する時。それはタフネスに加えて、冷静かつ攻撃的な田中が見られた時だ。