今年度、初めての大会である第29回東京六大学大会が立大新座キャンパス体育館アリーナで行われた。男子団体組手では、主力メンバーをあえて出さず、準レギュラーのメンバーで試合に臨み、1勝4敗で5位という結果に終わった。一方、男子個人組手では吉田…

 今年度、初めての大会である第29回東京六大学大会が立大新座キャンパス体育館アリーナで行われた。男子団体組手では、主力メンバーをあえて出さず、準レギュラーのメンバーで試合に臨み、1勝4敗で5位という結果に終わった。一方、男子個人組手では吉田翔太(スポ2=埼玉・栄北)が準優勝という成績を収め、今シーズンに向けて幸先のよいスタートを切った。また、新たに早大空手部に加入した長沼俊樹(スポ1=東京・保善)も5位になり、大学生としてのデビュー戦となった今試合で新入生ながらも存在感を放った。

 男子団体組手では、チーム全体の底上げを図るため、笹野由宇主将(スポ4=東京・世田谷学園)や芝本航矢(スポ3=東京・世田谷学園)などの主力メンバーはほとんど出場せず、下級生を中心とした準レギュラーのメンバーで他大との試合に臨んだ。初戦の立大戦では、中堅の伊坂夏希(スポ2=鳥取・米子東)が相手に先制されるも、上段突きでテンポよく点数を稼いだ。しかし、残り25秒で上段蹴りを決められ惜敗。大将として出場した芝本が勝利したものの立大に黒星を喫した。続く慶大戦では、天野陽仁(政経4=東京・早大学院)と伊坂、吉田が奮闘し、3対2で勝利を収めた。その後は法大、東大、明大に敗れ、午前の団体戦は1勝のみという結果に終わった。


上段突きを決め、得点を獲得した伊坂

 続く午後の個人戦では、吉田と長沼が粘りを見せ、順調に勝ち星を挙げていった。吉田は、初戦から果敢に攻め、相手に得点を許さない攻撃で順調に勝ち進んだ。そして、決勝戦では試合の序盤から互いに攻撃のタイミングを探り合い、なかなか得点を奪えない。そんな均衡状態を破ったのは吉田だった。残り20秒で上段突きを決め、先制した。このまま逃げ切れるかと思われたが、先制した直後、残り17秒で吉田自身が苦手としている中段蹴りを決められ、惜しくも敗退。しかし、今シーズン初めての大会で準優勝という結果を残し、5月5日に開催される関東学生選手権に向けて、好スタートを切った。一方、長沼は大学生として初めての大会への出場にもかかわらず、長い手足を武器に素早く技を切り出し、終始積極的に攻撃を仕掛けた。初戦は開始わずか3秒で中段蹴りを決めて先制すると、その5秒後には上段蹴りを決め、相手に攻撃の隙を与えず勝利した。惜しくも3回戦で敗れたものの、5位という好成績を収めた。


力強い中段蹴りを決める長沼

 前年度、部の中心となっていたメンバーが引退し、新たに部全体としての強化が求められる早大空手部。この試合では、吉田、そして長沼という下級生が早大の戦力として頭角を現した。始まったばかりの今シーズン。次の関東大会に向けて、「一人でも多く全日本学生選手権に出場できるように、チームで一丸となって頑張ります」という主将の笹野を中心とした早大空手部の活躍に注目したい。

(記事 石黒暖乃、写真 江藤華)


準優勝という結果を残した吉田

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

結果

▽男子団体組手

早大 5位

▽男子個人組手

吉田 準優勝

長沼 5位

※上位入賞者のみ掲載

コメント

笹野由宇主将(スポ4=東京・世田谷学園)

――新体制で時初めての大会でしたが、今大会はどのような位置づけだったのでしょうか

今シーズン初めての大会ということもあって、準レギュラーのBチームを中心とした試合という形になって、Aチームも試合に出たかったですけど、Bチームの底上げというのもあって、今底上げしないと、全体的にチーム力を上げないといけないなっていう感じでした。

――今年度、どのようなチームにしていきたいでしょうか

みんなが練習の時などに意見を言って、みんなが一つの目標に向かって頑張れる、自分が上に立って指導するのではなく、みんなを支えて引き上げる、みんなのいいところを引き上げる形をとって、みんなでミーティングとかしたいと思っています。

――今回、団体戦では慶大戦のみの勝利となりましたが、このことについてはいかがでしょうか

正直なところ、今日は結果とか全然気にしていなくて、全くそんなことはどうでもいいから好きにやってきてという話をしていました。そのことについては特に考えてなくて、もちろん個人個人でそれぞれ課題があったりしたんですけど、大体みんな普段通りの技ができていました。試合はもっと緊張するかなと思ったんですけど、結構伸び伸びとやれていたので、そこは良かったと思います。

――今回、長沼選手(俊樹、スポ1=東京・保善)が大学生として初めての試合となりましたが、長沼選手についてはいかがでしょうか

4月から練習に来てくれているんですけど、正直『強い』の一言です。手も長いですし、身長も高いですし、足も長いですし、それらを生かした組手ができているなと思います。大学では、高校とは違いますけど、大学の組手に一日でも早く近づいて、5月5日の(関東学生選手権での)個人戦で頑張ってほしいと思います。

――最後に、関東学生選手権への意気込みをお願いします

一人でも多く全日本学生選手権(全日本)に出場できるように、チームで一丸となって頑張ります。

吉田翔太(スポ2=埼玉・栄北)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

きょうはどちらかというと、攻めが取れてなかったんですけど、その分カウンターが取れていたので、点数は取れたんですけど、自分的にはもう少し攻めで取りたかったです。

――試合の序盤でなかなか攻め切れず、不活動の判定を取られてしまう場面が多く見られましたが、そのことと関係しているのでしょうか

不活動は結構自分は使うタイプなので、作戦とまではいかないですけど、いつも通りですかね。

――1年時に比べて前に攻撃しているように見えましたが、いかがでしょうか

前には出ているんですけど、ポイントにつながらないのが一番の課題だと思っているので、またこれから気を引き締めて練習して、前でも後ろでも取れるようにします。

――決勝の時に、先制した直後に中段蹴りを決められてしまいましたが、その時の心境はいかがだったでしょうか

法大の同い年の選手は僕が中段蹴りに弱いと知っているので、絶対に一発は中段蹴りを取りに来るだろうとを頭に入れていたので、来るのがわかってはいました。(防ぐ時に)しっかりと腕に当たったんですけど、相手の力が強くて音がしてしまい、(判定を)取られてしまったというのがありました。だから、そういう時は受けるんじゃなくてしっかり流すとかそういう対策をしないとこれから先は勝てないかなというのは強く思いました。

――今回、後輩が入ってきてから初めての試合でしたが、2年生としての心境はいかがですか

一個下に長沼君(俊樹、スポ1=東京・保善)が来て、強い後輩が入ってきたので、すごく頼もしいと思います。自分も彼に負けないように頑張ります。

――最後に、関東学生選手権への意気込みをお願いします

昨年は負けてしまったので、今年は全日本出場を目指して頑張ります。

長沼俊樹(スポ1=東京・保善)

――きょうは早大としての初めての試合でしたが、心境はいかがですか

思った結果が残せられなくて悔しいです。

――なぜ早大を進学先に選んだんでしょうか

自分との練習環境が合っていたことと、親が早稲田ということでそれに負けたくないと思いで選びました。

――高校と違って大学はメンホー(顔面の防具)なしですが、それに関してはいかがですか

自分はメンホーない方が好きですね。

――きょうはどのような意気込みで臨みましたか

絶対優勝してやろうっていう気持ちです。

――緊張などは

緊張は1回戦だけですね。団体戦の1回戦と個人戦の1回戦ですね。

――では試合を振り返って、力強く当てていた印象があったのですが

その辺はまだまだだなって。意識をして力強く当てているわけではないです。

――ですが団体戦では果敢に攻めていました

負けられないなと。とりあえず1年生なのでバンバン攻めていました。

――個人戦では3回戦で惜しくも敗退してしまいましたが、最後まで粘っていました。ご自身振り返っていかがですか

取って取り合っての感じだったのですが、自分の弱点が出たなって。焦ってしまうと大きくなってしまうところを狙われてしまいました。そこをこれからは気をつけます。

――きょうの試合で自分に点数をつけるとすると何点ぐらいでしょうか

全然良くなくて。きょうは40点ぐらいですね。

――早稲田でどのような選手になっていきたいですか

早稲田の名を日本中に知らしめるような、日本一を取れるような選手になっていきたいです。目標としてはずっと日本一を目指しているので、大学でこそ日本一を取りたいです。

――最後に関東学生選手権への意気込みをお願いします

今負けて本当に悔しいので、これをばねにあしたからは必死に練習をして日本一を取りたいと思います。