スーパーラグビーでかつて、最下位争いの常連と揶揄され、3年前に屈辱の降格を経験した南アフリカのライオンズが、ミラクルを起こそうとしている。地元ジョハネスバーグのエミレーツエアラインパークで30日、前年王者のハイランダーズ(ニュージーランド…

 スーパーラグビーでかつて、最下位争いの常連と揶揄され、3年前に屈辱の降格を経験した南アフリカのライオンズが、ミラクルを起こそうとしている。地元ジョハネスバーグのエミレーツエアラインパークで30日、前年王者のハイランダーズ(ニュージーランド)と準決勝を戦い、42-30で下して初の決勝進出を決めた。

 昨年のワールドカップに出場した選手は1人もいない。しかし、サンウルブズ戦勝利から始まった今季は一度も連敗することなく快進撃を続け、新しいスターが次々と誕生、輝きを取り戻した選手も少なくない。前身のキャッツ時代に破れなかった壁(2000年と2001年にベスト4)を突破し、ついに南半球のファイナルステージに立つ。

 準決勝。ライオンズは前半11分、敵陣深くでの連続攻撃で壁に穴をあけ、SOエルトン・ヤンチースのトライで先制した。23分にはハイランダーズのパスが乱れてライオンズのCTBローアン・ヤンセ・ファンレンズバーグがボールを確保し、約60メートル走り切ってリードを広げる。

 ハイランダーズは26分、WTBワイサケ・ナホロとCTBマラカイ・フェキトアの連続オフロードでチャンスとなったが、FLエリオット・ディクソンがトライ寸前に落球し、流れを変えることができなかった。

 17-6で前半終了。

 この試合、ライオンズはスクラムの強さが光り、44分(後半4分)、相手ボールの組み合いでプレッシャーをかけてPGチャンスとなり、SOヤンチースがロングショットを決めて14点差とした。
 好調のヤンチースはさらにリスタート後、自陣深くから鋭い走りで左サイドをブレイクスルーし、敵陣10メートルラインでWTBコートナル・スコーサンにつなぎ、トライを演出した。

 その後すぐにハイランダーズのCTBマット・ファデスがファイブポインターとなり、前王者の反撃かと思われたが、ライオンズは51分にPGで追加点。54分にはCTBライオネル・マプーのハイパントキャッチからチャンスとなり、SOヤンチースの正確なキックパスを左サイドでもらったFLヤコ・クリエルが力強い突進でゴールに持ち込み、35-11とリードを広げた。

 あきらめないハイランダーズは65分にSOリマ・ソポアンガが5点を奪い返したが、ライオンズは73分、攻めに転じたあとしぶとくボールをつないで最後は途中出場のLOローレンス・エラスマスがスコアラーとなり、26点差として勝負あり。

 ハイランダーズは終盤に2トライを返したが、逆転には遠く及ばなかった。

 連覇を逃したハイランダーズ。同チームで4年目だった日本代表のSH田中史朗は6月のカナダ代表戦で右肩を脱臼し、戦列復帰できずこの試合のメンバーには入っていなかった。また、6年間指揮を執ってきたジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチはハイランダーズでのラストシーズンを終え、これからは日本代表ヘッドコーチの仕事に取り組むこととなる。

 なお、ニュージーランド勢対決となった準決勝のもう1試合は、ハリケーンズがチーフスを25-9で下し、2年連続の決勝進出を決めている。

 ハリケーンズ×ライオンズ、どちらが勝っても初優勝。決勝は8月6日、ウェリントン(ニュージーランド)のウエストパックスタジアムでおこなわれる。