◆平成31年度東京六大学野球春季リーグ戦◆4月20日 対明大 明治神宮球場(明)●森下、入江、磯村―篠原(立)◯田中誠―藤野悲劇の慶大戦から1週間。紫合戦1回目は、立大の紫が4-0で明大の紫紺を下した。3回まで最速154キロを誇る明大エース…

◆平成31年度東京六大学野球春季リーグ戦◆

4月20日 対明大 明治神宮球場

(明)●森下、入江、磯村―篠原
(立)◯田中誠―藤野

悲劇の慶大戦から1週間。紫合戦1回目は、立大の紫が4-0で明大の紫紺を下した。3回まで最速154キロを誇る明大エース・森下(4年=大分商)と田中誠(コ4=大阪桐蔭)が互角の投げ合いを繰り広げると、4回に飛び出した江藤(済4=東海大菅生)の適時二塁打で先制点を決める。5回6回には投手・田中誠がマルチ安打を記録するなど、この日チーム合計10安打と打線が振るった。同選手はこの日2年ぶりの完封勝利を達成。投打とも充実した2週目の幕開けとなった。

先制は江藤

復活の快音が響いた。4回一死、2番打者中嶋(コ3=佼成学園)が四球を選び出塁すると、続く鷲津(現4=世田谷学園)が初球打ちで中前安打。二死一、三塁で打席に入った背番号5番は、六大学屈指の右腕の送球を見事に捉えた。放たれた打球が一塁線ギリギリに入ると右翼応援席の紫が歓声とともに踊り乱れ、ヒットマンは二塁めがけて疾走した。この一撃により三塁の中嶋が生還し、チームにとって貴重な先制点を獲得。「俺が打ててよかった」。オープン戦の負傷を乗り越えた副将は、182日ぶりの神宮でベンチに向けてガッツポーズをしてみせた。


4回、先制の適時二塁打を放った江藤。オープン戦でのけがからの復活打となった

江藤の活躍に続けと言わんばかりに、その後の4年生打線が爆発する。勝利を確信づけた6回、先頭を務めた主将・藤野(営4=川越東)が右翼ポール際をつつく三塁打を放つと、続く小野大(文4=横浜)が適時打であっという間に主将を本塁にかえす。それにとどまらず田中誠と佐藤聡(コ4=柏南)が連続安打で小野大を生還させるとこの回一挙2点目を獲得。スコア4点差で明大を突き放した。「4年間一緒にやってきた心強さがあって、大事なところでやってくれたのは4年生で。最後の1年を一緒にできてうれしいです」。主将の言葉からは、同期への愛があふれていた。

田中誠が2年ぶりの完封勝利


2年間バッテリーを組み続けてきた主将・藤野(写真左)とエース・田中誠。2人そろって勝ち星を挙げたのは、昨春の東大1回戦以来約半年ぶりだ

1年ぶりの完投に、2年ぶりの完封勝利。昨季の紫合戦で制球に苦しんだエースの姿はどこにもなかった。1回からテンポの良い投球でゲームを進め、球速も140キロ前後と安定。132球の投球を振り返り、「冬にしっかり練習に取り組んできて。結果が出てうれしいです」と満足げにコメントした。

投げるだけにとどまらないのがエースだ。守備では要所でのベースカバーが光り、攻撃では投手に珍しいマルチ安打を達成。エースを背負い続けてきた18番が、さらに一回りも二回りも大きくなって神宮を沸かせてくれた。

山田(コ1=大阪桐蔭)や柴田(社1=札幌一)のフレッシュな打線が注目を集めた慶大戦とはうって変わり、4年生陣の底力あふれるプレーが遂に今季初勝利を呼び込んだ。2回戦を控え、江藤は「今日みたいにきれいに行くとは思わないので、また厳しい試合を想定しながら頑張ります」。1回の勝利に心酔しすぎない、最上級生らしい言葉だった。

(4月20日・𠮷岡麻綾)

◆コメント◆

1年ぶりの完投勝利を納めた田中誠#18

「約1年ぶりに勝ったので正直嬉しいです。でも明日勝たないと意味がないので、明日は自分ができることを精一杯やりたいと思います。(メンバーに4年生が多くなったことについて)4年生の力は本当に必要だと思いますし、自分としてもとても力になります。」

6回に今季初の安打となる右越え三塁打を放った藤野#10

「先週の慶大戦の結果を踏まえて、チームとしてもこの1週間、すごく気持ちを込めて練習していました。チームの雰囲気としても結果としても満足のいく試合だったので、すごくよかったと思います。(明日は)今日勝った勢いのまま2連勝で勝ち点を取ることが一番いいと思っています。なので、それに向けて全力で準備して頑張りたいと思います。」

先制の右前適時二塁打を放った江藤#5

「(4回の適時二塁打について)なかなか先制点がとれずに“打てない立教”と言われている中で、あの場面で自分が打てたのはチームとしても盛り上がると思いました。(今日の試合で中心だった4年生について)打ったのも4年生だし、チームとしてちゃんと手伝ってくれるのも4年生だし、勝つために裏で動いてくれているのも四年生です。そこが、うれしいところです。なので4年生が打ててよかったと思います。」

溝口監督(90年度卒=湘南)#30

「(今日は)これまでの1週間でやってきた、“コンパクトにセンター方向へ打てる打撃”の成果が出ていたと思います。(全体的に)いい振りができていました。投手の田中誠に関しては完封ですから、エースらしい投球をしてくれたと思います。球も低めに集めていましたし、安打を打たれても点数を取られる雰囲気がなかったので、本当にナイスピッチングでしたね。いい試合でした。」

6回、リーグ戦初打席にして右越え適時打を放った佐藤聡#28

「(6回の適時打について)初打席だったのでうれしかったです。(球種は)カットボールです。狙っていた高さに来たので、きれいに打ち返せました。コースは真ん中より内側です。チームとしては、これからの全ての試合で勝つつもりでリーグ戦に挑んでいきたいです。」