カーリングのミックスダブルス世界選手権(4月20日~27日)がノルウェー・スタヴァンゲルで行なわれる。 日本代表として挑むのは、昨年と同じく藤澤五月(ロコ・ソラーレ)と山口剛史(SC軽井沢クラブ)のペアだ。3月に軽井沢で開催された日本選手…

 カーリングのミックスダブルス世界選手権(4月20日~27日)がノルウェー・スタヴァンゲルで行なわれる。

 日本代表として挑むのは、昨年と同じく藤澤五月(ロコ・ソラーレ)と山口剛史(SC軽井沢クラブ)のペアだ。3月に軽井沢で開催された日本選手権で連覇を果たし、今年は前回大会の5位を上回る成績が期待される。



日本選手権を連覇し、2度目の世界選手権に挑む藤澤五月(右)と山口剛史

 藤澤は同大会の直前に、ロコ・ソラーレのスキップとしてワールドツアー最高峰のタイトルとなるグランドスラム『プレーヤーズチャンピオンシップ』(4月9日~14日/カナダ・トロント)に出場。ベスト8で大会を終えると、開催地のスタヴァンゲルへと直接向かった。

 トロントを発つ前、藤澤に世界選手権での目標を尋ねると、こう即答した。

「まずは(ベスト)16に残ること」

 それには理由がある。3年後の2022年北京五輪における日本代表の出場枠獲得に絡んでくるからだ。

 五輪出場枠は、4人制と同じく五輪から遡(さかのぼ)って直近の2つの世界選手権、北京五輪の場合は2020年と2021年大会の成績に応じたポイントによって決まる。同2大会でベスト8前後の成績を残せば、日本も初の出場権を獲得することができるだろう。

 そんななか、ミックスダブルス世界選手権のレギュレーションが来季から変更されることになった。今季まではオープン参加、つまり世界カーリング連盟に加盟していて、自国協会を持っていれば、どこの国も地域も出場可能だった。

 それが、来季からは参加国が20カ国に絞られることになった。前回大会でベスト16に入った国と、その他の国で争われるワイルドカードで出場権を得た4カ国となる。

 すなわち、五輪ポイントが振り分けられる来年の2020年大会に出場するには、今年の大会でベスト16に残ることが第一条件となるのだ。

 昨年の平昌五輪から新たに採用された種目で、日本は同五輪での出場は叶わなかった。そのため、JCA(日本カーリング協会)は2022年北京五輪に向けて、男女のチームに加えて、ミックスダブルスでの出場も目指して強化を進めている。そういう意味でも、来年の世界選手権出場枠を得られるベスト16以上の結果が、今回の藤澤&山口には求められているわけだ。

 そして、今大会は48カ国が参加し、まずは8チーム×6ブロックに分かれての予選リーグが実施される。そこから、各ブロック上位2チームと、各ブロック3位のうち成績のいい4チーム、計16チームがクオリファイ(決勝トーナメント)に進出して頂点を争う。

 ということは、五輪出場がかかる来年の大会に出場するには、まずは予選リーグを突破しなければいけない。敗退すれば、激戦が予想されるワイルドカードでの出場を目指すことになる。

 さて、気になる今大会の日本のブロックだが、ベラルーシ(27位※)、カナダ(1位)、デンマーク(21位)、香港(40位)、ルーマニア(33位)、スウェーデン(10位)、ウクライナ(46位)という顔ぶれとなった。
※( )内の順位は、4月19日現在のワールドランキング。

 ワールドランキング13位の日本にとって、下位から白星を取りこぼさなければ、ブロック3位という最低限の結果は残せそうだが、クオリファイを確実視するブロック2位に入るためには、カナダとスウェーデンの上位を切り崩さなければいけない。これは彼らにとって大きなチャレンジだ。

 ワールドランキング1位のカナダは、ジョセリン・ピーターマンとブレット・ガラントという、4人制でも世界トップクラスの選手ペア。平昌五輪のミックスダブルスで金メダルを獲得したカナダ代表の国内トライアルでも3位になるなど、同種目での実績も豊富だ。

 アンナ・ハッセルボリとオスカー・エリクソンという、スウェーデンのペアも優勝候補に挙げられる。ともに4人制では五輪や世界選手権で金メダルを獲得している、世界を代表する男女のトップカーラーだ。

 それでも、藤澤も山口も決して悲観はしていない。

 山口は「タフなグループに入っちゃいましたね」と苦笑いしながらも、「優勝候補と予選から対戦できるのは楽しみ。昨年は5位でしたけれど、メダルへの手応えもあった。もう一度、自分たちの力を試したい」と意気込む。

 藤澤も、厳しい戦いになることを十分認識しながら、大会への抱負をこう語った。

「(予選リーグで)スウェーデンかカナダ、どっちかに勝ってしまえば、(それら強豪とは)決勝まで当たらないんじゃないかな、と思っています。去年はトップ4には入れなかったけれど、5位以下のチームとの試合はそこまで厳しいものではなかった。今年は上にどれくらい食い込めるかが課題です」

 ベスト16を最低限のタスクとしながらも、本人たちの言葉からはその上を狙う”欲”と”熱”を感じる。あくまでも、狙うは昨年を上回るトップ4入りだ。

 このペアが初出場ながら5位となった昨年の成績は、日本カーリング史上最高位だった。さらに歴史を上書きし、五輪出場への道を整備できるか。2年目の躍進に期待したい。