4月13日、14日、2019年のスーパーGTシリーズが岡山国際サーキットで開幕した。「平成最後のスーパーGT公式戦」と銘打たれた開幕戦には合計2万8000人もの観客が訪れたが、残念ながら決勝レースは大雨となってしまい、82周で行なわれ…

 4月13日、14日、2019年のスーパーGTシリーズが岡山国際サーキットで開幕した。「平成最後のスーパーGT公式戦」と銘打たれた開幕戦には合計2万8000人もの観客が訪れたが、残念ながら決勝レースは大雨となってしまい、82周で行なわれる予定が30周で打ち切られた。



予選で圧倒的な速さを見せた日産勢(写真はMOTUL AUTECH GT-R)

 その決勝レースでは、昨年チャンピオン・ナンバー1の RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン)が先行するも、ナンバー17 のKEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バケット)に追突されてコースオフ。1号車はリタイアとなり、17号車は接触行為によってペナルティを受けて下位に沈んだ。

 開幕戦を制したのは、レース終盤まで安定した走りを見せたナンバー8 のARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也)。中断によって規定周回数の75%をクリアできなかったため、獲得ポイントの半分となる10点が与えられた。

 決勝レースの概要だけを見れば、今年もホンダ勢が得意の岡山で速さを見せたことになる。だが、通常では考えられないほどの大雨のコンディションだったこともあり、この結果はあまり参考にならないと言っていいだろう。むしろ、前日の予選のほうがGT500クラスの今後を占ううえで、見逃せない内容だった。

 全15台から8台に絞られる予選Q1で際立つ速さを見せたのは、昨年まで苦戦を強いられていた日産勢。テストから好調を維持しているナンバー12・カルソニックIMPUL GT-Rのジェームス・ロシターが1分17秒103を記録すると、ナンバー23のMOTUL AUTECH GT-Rとナンバー24のリアライズコーポレーションADVAN GT-Rも好タイムをマークし、日産勢がトップ3を独占したのだ。

 Q2では「ホンダも負けじ」と1号車の山本尚貴が1分16秒950を叩き出すが、それをまたしても日産勢が上回る。とくに23号車のロニー・クインタレッリは、従来のコースレコードを1.5秒も上回る1分16秒602という驚異的なタイムをマーク。12号車の佐々木大樹もそれに続き、日産勢がフロントローを独占した。

 予選後、マシンを降りたクインタレッリは喜びを爆発させることもなく、好タイムを出せた理由を冷静にこう語った。

「レギュレーションで変更できる部分は限られているので、クルマの開発が大きく変わったわけではないです。ただ、空力面はよくなりました。昨年まではどのコースでもアンダーステアに悩まされていましたが、それも解消されました」

 日産勢が復活の兆しを見せたのとは対照的に、予選で下位に沈んでしまったのがレクサス勢だ。Q2に進出できたのは、2017年に年間チャンピオンに輝いたナンバー37 のKeePer TOM’S LC500(平川亮/ニック・キャシディ)のみ。Q1で6台中、なんと5台が9番手以下に終わってしまった。

 決勝レースでもレクサス勢は、ホンダ勢や日産勢に割って入れるパフォーマンスを見せられなかった。開幕前のテストから「レクサス勢の調子は今ひとつなのでは?」という噂は聞こえていたが、開幕戦でその事実を突きつけられ、レクサス陣営のパドックは重い空気に包まれていた。

「予選のドライコンディションでは、ホンダ勢や日産勢と大きな差がありました。Q1も1台しか通過できていないですからね」

 陣営最上位の6位でレースを終えたナンバー19・ WedsSport ADVAN LC500の坪井翔も、厳しい現状を素直に認めた。

 ただ、低迷したままで終わらないのが、レクサス勢の強みでもある。昨年の開幕戦でも大半のレクサス勢がQ1で脱落を余儀なくされたが、決勝ではしっかりと追い上げて平川/キャシディ組が3位表彰台を獲得した。

 今回は短縮レースとなったためにパフォーマンスを発揮しきれずに終わったが、決勝のレースペースに関しては自信があるという。平川は「一発の速さは改善する必要があるが、決勝ペースは3メーカーとも拮抗している」とコメントし、ナンバー39・DENSO KOBELCO SARD LC500のヘイキ・コバライネンも「ライバルとの差は確実に縮まる。昨年と同じだ」と語る。

 第2戦の舞台となる富士スピードウェイは、レクサス陣営のお膝元。大得意としているコースだ。通常より長い500km(約3時間)で争われるレース内容となるため、予選1周の速さよりも決勝でのレースペースが重要になってくる。はたして、開幕戦で惨敗を喫したレクサス勢の逆襲は見られるか。

 一方、開幕戦では同士討ちをやってしまったホンダ勢も、第2戦にかける思いは強い。1号車や17号車をはじめ、大半のホンダ勢はノーポイントで終わってしまったが、そのぶん第2戦ではウェイトハンデを積まずに済むため、有利な状態で臨むことができる。

 第2戦の開催日は5月3日、4日。ゴールデンウィークで毎年大勢のファンが押し寄せる富士スピードウェイで、主役に躍り出るのはどのメーカーか。