今年8月に2年目の開催を迎える「鈴鹿10時間耐久レース」(4輪)。F1王者ミカ・ハッキネンやスーパーフォーミュラ王者・石浦宏明だけでなく、脇阪寿一&薫一兄弟の参戦も決まり、レース本番まではまだ4カ月以上あるが、“エントリー戦線”から…

今年8月に2年目の開催を迎える「鈴鹿10時間耐久レース」(4輪)。F1王者ミカ・ハッキネンやスーパーフォーミュラ王者・石浦宏明だけでなく、脇阪寿一&薫一兄弟の参戦も決まり、レース本番まではまだ4カ月以上あるが、“エントリー戦線”から盛り上がりを見せつつある。

鈴鹿10時間耐久レース(鈴鹿10H)は、2017年までの鈴鹿1000kmレース(06~17年はSUPER GTのシリーズ戦)を継承し、新生されたレース。大会の通算開催回数は今年で48回目となる。

鈴鹿10Hは高レベルな国際ツーリングカーシリーズ「インターコンチネンタルGTチャレンジ」の一戦で、今年はスーパー耐久シリーズ(S耐)のスペシャルステージ(ST-Xクラスに関して)にもなっているが、一発勝負のビッグレース、という感覚の位置付けが主だ。昨年の初回大会には小林可夢偉の参戦があるなどした。

今年、2回目の鈴鹿10Hに向けては、元F1王者ミカ・ハッキネンがスーパーフォーミュラ(SF)やSUPER GT/GT500クラスで戦っている国内トップ選手の石浦宏明(15&17年SF王者)らと組み「マクラーレン720S GT3」での参戦を決めるなど(既報)、昨年以上に実力と話題性をもった陣営が多く登場する気配が漂ってきている。

そうした新たな鈴鹿10H挑戦者の話題のひとつが、脇阪兄弟の参戦だ。時系列的にはハッキネン&石浦らより先に明らかになっていたが、先日のSUPER GT開幕戦岡山のレースウイークの金曜日(4月12日)に、兄弟が並んで参戦の経緯等を語るシーンがあった(やはりビッグネームで、脇阪兄弟の監督を務めることになる服部尚貴と3ショット撮影も)。

脇阪寿一(じゅいち)と薫一(しげかず)は、いずれも長く国内トップ戦線で活躍してきた選手。特に兄・寿一(72年7月生まれ、46歳)はGT500で3度の王座獲得歴を誇り、フォーミュラ・ニッポン(SFの前身)でも通算5勝した超大物だ。2015年限りでGT500の現役を退き、近年はLEXUS TEAM LEMANS WAKO’S(GT500参戦チーム)の監督やTOYOTA GAZOO Racingのアンバサダーとして活躍、また86/BRZレースでは現役としての活動も継続してきた。

弟の薫一(75年4月生まれ、44歳)は現在SUPER GT/GT300クラスやS耐で活躍中。今回の鈴鹿10Hへの兄弟参戦は、薫一からの誘いで実現したという。薫一は今、「埼玉トヨペット Green Brave」というチームからGT300、S耐に参戦しているが、大阪トヨペットが母体の「LMcorsa」(GT300などで活動中)とも縁があり、そこからの鈴鹿10H参戦計画浮上に際し、兄の寿一に声をかけたそうだ。

薫一には、「兄の後ろを追いかけてきた自分としては、やはり高い次元でもっと走り続けてほしい」との願いがあったという。もちろん86/BRZレースも競技レベルは高いが、それだけにとどまらず、もっともっと現役第一線で、鈴鹿10Hを走るGT3マシンのような速いマシンで寿一に走ってほしい、という意味である。薫一によると、弟からの誘いを受けた寿一は「(最初は)しぶしぶ受けてくれました(笑)」とのこと。そして「あれからちょっと時間が経ったので、そろそろ(兄も)やる気になってきていると思います」と続けた。

その寿一は、「鈴鹿サーキットはやはり自分にとって特別な場所です」と話し、なかでも鈴鹿10Hの前身にあたる鈴鹿1000kmは特に思い入れの大きいレースである旨を語った。

脇阪兄弟はともに鈴鹿1000kmで複数回の優勝経験があり、2002年には飯田章を交えたトリオで一緒に勝ってもいる。また、寿一は鈴鹿1000kmがSUPER GTのシリーズ戦になった時代の2007年に、アンドレ・ロッテラー(ルマン24時間優勝3回などの世界的名手、日本でも長く活躍)とともに伝説的逆転優勝を遂げたこともあった。

そういう鈴鹿1000kmの系譜に属す鈴鹿10Hで「こういう機会が得られるのは本当にありがたいことだと思います」と寿一。だから薫一とともに「鈴鹿を盛り上げていきたい」と、参戦を(実際には)“快諾”したのである。

脇阪兄弟が鈴鹿10Hで乗るマシンは、ポルシェ911GT3“ジェネレーション2”とのこと。監督は寿一同様に日本レース界の超大物のひとり、服部尚貴が務める。TOYOTA GAZOO Racingのアンバサダーでもある寿一にとっては、トヨタの“もっといいクルマづくり”のためにポルシェの最新GT3マシンの素晴らしさを知るという貴重な機会にもなろう。その面でも寿一は多くの関係者に感謝の意を表している。

海外から転戦してくる強豪陣営に、脇阪兄弟と服部監督がどんな戦いを挑むのか、注目したいところだ。

また、4月10日にハッキネンと組んでの鈴鹿10H参戦が発表された石浦にも話を聞いた。石浦は超大物のチームメイトについて、「(ハッキネンが)マカオF3に出ていた頃からテレビで見ていた人です。もちろんF1時代も見ていました。憧れの人? はい、そうですね」と語る。

「鈴鹿10Hでは去年、日本のチームがけっこう大変な思いをしていたと思います。海外からレベルの高いチームやドライバーがたくさん来ますから、そこでどれくらいやれるかというところもありますし、そういうレースでああいうカッコいいクルマ(マクラーレン720S GT3)でレースできることが楽しみですね」との抱負も話してくれた石浦、彼らの戦いぶりも楽しみな要素になる。

注目度上昇中の『2019 第48回サマーエンデュランス BHオークション SMBC 鈴鹿10時間耐久レース』、開催日程は8月23~25日。また、5月13~14日には鈴鹿サーキットでの公式テストが予定されている(参加チーム、ドライバーは未定。今年の鈴鹿10H、SUPER GT鈴鹿戦の観戦券所持者は入場無料)。

鈴鹿10Hに参戦する脇阪寿一(左)と脇阪薫一。《撮影 遠藤俊幸》

鈴鹿10Hに参戦する脇阪寿一(左)と脇阪薫一。《撮影 遠藤俊幸》

2018年の鈴鹿10時間耐久レース。《写真提供 MOBILITYLAND》

2018年の鈴鹿10時間耐久レース。《写真提供 MOBILITYLAND》

2018年の鈴鹿10時間耐久レース。《写真提供 MOBILITYLAND》

2018年の鈴鹿10時間耐久レース。《写真提供 MOBILITYLAND》

2018年の鈴鹿10時間耐久レース。《写真提供 MOBILITYLAND》

2018年の鈴鹿10時間耐久レース。《写真提供 MOBILITYLAND》

2018年の鈴鹿10時間耐久レース。《写真提供 MOBILITYLAND》

2018年の鈴鹿10時間耐久レース。《写真提供 MOBILITYLAND》

石浦宏明はミカ・ハッキネンらと組んで今年の鈴鹿10Hに参戦する(写真はSUPER GT参戦時)。《写真提供 TOYOTA》

石浦宏明はミカ・ハッキネンらと組んで今年の鈴鹿10Hに参戦する(写真はSUPER GT参戦時)。《写真提供 TOYOTA》