女性を中心に人気の「ヨガ」。そもそもは古代インドの時代から、仏教やヒンドゥー教、バラモン教、ジャイナ教などの宗教と深く結びつきながら発展してきました。その目的は、本来“悟り”を目指すことにあります。 古代インドでは、輪廻転生からの解脱が人…

 女性を中心に人気の「ヨガ」。そもそもは古代インドの時代から、仏教やヒンドゥー教、バラモン教、ジャイナ教などの宗教と深く結びつきながら発展してきました。その目的は、本来“悟り”を目指すことにあります。

 古代インドでは、輪廻転生からの解脱が人生の究極目標とされました。つまり、自身を取り巻く世界感をより良くするために、身心を整えいく修行がヨガといえるでしょう。現在も健康はもちろん、心を落ち着ける、集中するといった目的でヨガに取り組む方がたくさんいます。

 しかしこのヨガ、実はいろんな種類があることをご存知でしょうか? 今回は意外に知られていない、ヨガの種類について紹介します。

こんなにある!ヨガの種類

 さっそく、具体的なヨガの種類について特徴を踏まえつつ紹介していきましょう。ここでは、カロリー消費の大きいものから順に9種類を取り上げていきます。好みに合わせて、「やってみたい」と思えるヨガを探してみてください。

①ダイエットにぴったり「ヴィンヤサヨガ」

 いろんなポーズを連続してとるため、ヨガの中でもかなりハードな種類。集中力を高めるほか、深いリラックス効果が期待できます。さらに体幹筋(インナーマッスル)が鍛えられるので、ダイエットしたいという方にもオススメです。

②海外セレブに人気「パワーヨガ」

 エクササイズでよく利用されているヨガ。次に紹介するアシュタンガヨガの動きを基本にして考案されています。“パワー”という名の通り、ダイナミックな動きやポーズが多いことでも知られているもの。そのため運動量が多く、ヨガの後には爽快感が得られてストレス解消にもなるでしょう。アメリカのセレブ層を中心に人気が高まっています。

③しなやかで流れるような動き「アシュタンガヨガ」

 古代インド人の生活の動きを基本にしたヨガ。太陽礼拝のポーズ、立ちポーズ、座りポーズなどが組み合わさっています。ポーズからポーズに移行する際の、呼吸と動きを合わせたしなやかで流れるような動きが特徴的。体験後には頭が冴えるなどの効果が期待できます。

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④解剖学の見地からアプローチ「アイアンガーヨガ」

 B.K.S.アイアンガー氏が考案したもので、解剖学的な見地から1つ1つのポーズを丁寧にとっていきます。動きはゆっくりですが、見た目より多くのカロリーを消費します。

⑤美や善の存在を体現する「アヌサラヨガ」

 タントラ哲学から派生してきたヨガの流派。宇宙にあるもののすべてに、美や善が存在しているという哲学を体現しています。ペアで行うことが多いので、親子や友達、恋人とチャレンジするのもオススメ。連帯感やコニュニティーを重視する考え方がベースになっています。スクール等でも、フレンドリーな雰囲気の中で楽しめるヨガです。

⑥自身の内側と向き合う「クンダリーニヨガ」

 ヨギ・バジャン師の教えによるヨガ。古代インドから伝わるハタ・ヨーガの流れを汲むチャクラ(人体の中枢)に働きかけることで、身体内部のエネルギーを高めていくことを目的にしています。ポーズと呼吸法を組み合わせた動きや瞑想法なども。自身の内面に興味がある人にはオススメです。

⑦音楽に合わせてリラックス「ジヴァムクティヨガ」

 古代インドから伝わる伝統的なヨガの教えを、現代にも活かせるようにシャロン・ギャノンとデヴィッド・ライフによって考案されたヨガ。ヨガの聖典にある非暴力や瞑想、音楽などの要素を組み合わせており、音楽に合わせてリラックスした姿勢を保つ「アーサナ」というヨガのポーズを行います。

⑧本来の美しさを蘇らせる「イシュタヨガ」

 古代インドから伝わるハタ・ヨーガに、タントラ哲学やアーユルヴェーダを融合させたヨガです。瞑想と呼吸に意識を集中させることに重点を置いており、個々人が持つ美しさを得ることを目的としています。なお、イシュタとはサンスクリット語で「個々人」の意味。自分自身とじっくり向き合いときなどに良さそうです。

⑨広く知られるベーシックスタイル「ハタ・ヨーガ」

 よくヨガ教室などで行われている、身体を動かしながらヨガのポーズを取る一般的なヨガ。インドに古くから伝わる、基本的なヨガのポーズをベースにしています。「ハ」は息を吸うこと、太陽の意味を持っています。そして「タ」は息を吐くこと、月という意味。このハタ・ヨーガは、その他さまざまなヨガのルーツといわれています。基本が学べてとても奥深いので、初めてのヨガにオススメです。

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ヨガにおける呼吸法

 ヨガは呼吸も大切。一般的なヨガでは、鼻から息を吸って、鼻からゆっくり吐き出す呼吸法が基本です。しかしそれ以外に、呼吸にも実はいくつか種類があります。リラックスしたり、頭の中をリセットしたり。そのときの状態や目的に合わせて、いろんな呼吸法を試してみてください。ここでは、5つの呼吸法をご紹介します。

身体から熱を吐き出す「シータリー呼吸法」

 口から息を吸って、鼻からゆっくり吐き出す呼吸法。舌を出して丸くストロー状にし、そこから息を吸います。なぜ、舌をストロー状にするのか。これは舌を通過する際に息の温度が下がり、体内へ冷たい風を取り込めるからです。息を吸い込んだら、その冷たい風を鼻からゆっくり吐き出してください。体内や頭部の熱を外に排出する呼吸法で、リラックスしたい時や、頭をスッキリさせたい際にオススメです。

息を吐き出して集中「カパラバティ呼吸法」

 息を鼻から吸って、鼻から「フッフッフッフッフ……」と小刻みに腹筋へ力を入れて吐き出していく呼吸法。息を吸うことよりも、完全に息を吐き出すことに意識を集中させます。体内の空気をすべて吐き出して交換するので、するなどの効果が期待できます。

呼吸で身体が温まる「ウジャイ呼吸法」

 鼻から吸って鼻から吐き出す呼吸法。息を吸うときには、鼻から喉にかけての気管を意識的に狭めて「シューッ」という音を立てながら息を吸い込みましょう。そして、また「シューッ」と音を立てて吐き出します。身体が温まりポカポカしてくる呼吸法で、血流の循環や内臓器官への作用が期待できます。

心身のバランスを整える「ナーディ・ショーダナ呼吸法」

 片鼻呼吸法とも呼ばれています。片手で鼻をつまむようにして、片方の鼻の穴をふさいで息を吸います。そして、吸った方の穴をふさいで、もう片方の穴から息を吐き出すという呼吸法です。息を吐き出したら同じ鼻の穴から息を吸い、反対側から息を吐き出す。これを5回ほど繰り返してください。身体や精神のバランスを調整していく呼吸法で、心を落ち着けたいときなどにオススメです。

ヨガのポーズではこれが基本「禅式呼吸法」

 日本の禅宗に、古くから伝わるインド古典ヨガの流れを汲むヨガの呼吸法。鼻から普通に息を吸います。このとき下腹部の丹田(へその下の辺)を意識して、膨らませるようにしましょう。息を吸ったら、静かにゆっくりと息を鼻から吐き出していきます。ヨガのポーズをとる際もこの呼吸法が基本。リラックスしたいときに適した呼吸法です。 

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 ヨガの系統は、「古典ヨガ」と「後期ヨガ」の2つに分別できます。古典ヨガは、2世紀から4世紀にかけて確立されたもので、その実践方法は「ヨーガ・スートラ」という書物に編纂されています。また、後期ヨガは12世紀から13世紀頃に身体観を基礎にして系統立てられたもので、「ハタ・ヨーガ・プラディーピカー」などの経典に収録されているもの。ちなみに日本の禅宗に伝わる座禅は、静的な古典ヨガの流れを汲んでいます。

 いつも人は何気なく呼吸をしています。ただ、たとえヨガを実践している方でも、常に呼吸を意識し続けることは難しいはず。まして忙しい毎日の中では、「正しい呼吸法を忘れてしまった」なんていう方も多いでしょう。そんなときは息を吸うのではなく、吸った息を全て吐き出すことに意識を集中させてみてください。

 ストレス社会と呼ばれるいま、なんとなく身体に疲れを感じたり、気持ちが落ち着かないといったことがあるでしょう。そんなとき、例えば休日、丸1日パソコンを見ないで過ごす。あるいは、1時間ほどヨガのポーズをとってみるなんていう過ごし方も、今の時代には必要なのかもしれません。心身の状態に合わせたヨガを選び、ぜひ実践してみてください。

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◆つくよむヨガ 麻布区民センター教室

 全てのヨガのベースとなるハタヨガを学ぶことができる教室。体質改善や健康維持のためだけではなく、瞑想や呼吸法を通して心もリフレッシュできます。詳細はこちらから。

◆オンフルールヨガスタジオ&カレッジ銀座本校

 連載「ヨガの基本ポーズ30」の監修者・白石久美さんの所属するナチュラルホットヨガのスタジオ。ポーズだけでなく、ヨガに関する幅広い知識と、個人の体調・体格にあわせたレッスンを行います。詳細はこちらから。

◆石本工のプライベートヨガ教室

 連載「アラフォーライターのメンズヨガ体験記」で登場したヨガ教室。カフェで行われたので、初心者にもハードルが低くてうれしいですね。ヨガのほかストレッチや筋トレなども指導してくれるそうです。詳細はこちらから。

<Text:早朝ランナー/Illustration:Getty Images>