全日本ラリー選手権第3戦唐津はすべての競技日程を終えて、三菱ランサーエボリューションⅩを駆る奴田原文雄/佐藤忠宜が今シーズン初勝利を挙げた。2位には最終SSでポジションをひとつ上げた新井敏弘/田中直哉、3位は勝田範彦/石田裕一というトップ3となった。

この日はSS9〜SS14の計6SSが戦いの舞台。前日にも使われたSANPOUの逆走SS「SANPOU REVERSE」(SS11/14)は距離が9.86kmあり、勝負どころと目された。サービスの置かれる「ボートレースからつ駐車場」に隣接して設けられたギャラリーSS「BOAT RACE」からラリーはスタート。各車ともサービスを出るタイミングで暖機運転をする独特の雰囲気で最終日の幕が開いた。



前日すべてのSSでベストタイムをたたき出した奴田原がリードするJN1クラスは、4番手につける鎌田卓麻/鈴木裕がオープニングステージで意地のベストタイム。SS11「SANPOU REVERSE」では勝田もベストタイムをマークして奴田原を追うが、奴田原もマージンを活かしてつけ入る隙を与えない。残り2SSとなった時点で雨が降り始めたものの、奴田原は崩れることなくライバルとの差を広げフィニッシュ。奴田原にとっては昨年の唐津以来1年ぶりの優勝となる。2位は新井。雨の最終SSで勝田のタイムを15.8秒上まわり、ポジションをひとつ上げることに成功した。

奴田原は「雨が降ってきた時は、どうなるかと思いましたが(笑)、無事にフィニッシュできてよかったです。SS13からはウエット路面でした。初日にしっかり貯金できたことが大きかったですね。勝因はタイヤだったと思います。ドライはもちろんですが、ウエットになってからも余裕を持って走ることができました」と笑顔でコメント。2位の新井は「今回は出だしでクルマのセッティングが間違っていましたが、どこが悪いかは分かっています。次の久万高原は頑張ります」とコメント。次戦に向けての意気込みを語った。



JN2クラスは初日に続いてすべてのSSでベストタイムを刻む安定の戦いぶりを見せた眞貝知志/安藤裕一(TGR Vitz GRMN Rally)が今季早くも3勝目。2位にはホンダ・シビック・タイプRユーロの上原淳/漆戸あゆみ、3位にはレクサスRC Fの石井宏尚/明治慎太郎というオーダーとなった。今回からKYBのサスペンションを投入した眞貝は「課題はいくつか見つかっていますが、JN2クラスにおいける戦いに関しては、いい流れだと思います。今回はウエットコンディションにもなりましたが、足まわりは少し調整しただけでいい方向に変わってくれました」と、ラリーを振り返っている。



トヨタ86が接戦を繰り広げるJN3クラスは山本悠太/山本磨美が今季初勝利。2位にはリードを守り切れなかった山口清司/竹原静香、3位には長﨑雅志/秋田典昭が入っている。初日を終えた段階で山口の2.1秒リードで始まったバトルは、山本がスタートから4連続ベストタイムを刻む好走。SS11を終えた段階で山口をとらえ、最終SSでは一気に5.8秒差をつける一番時計で接戦を制してみせた。山本は「最後のセクションで雨が降ってきて、どうなるかと思いました。それでも山口選手とドライタイヤで同じ条件だったので、なんとかしのぐことができて良かったです。天候が原因で勝負が動くと思っていたので、その勝負で勝てて良かったです」と喜びを語った。



JN4クラスはスズキ・スイフトスポーツの4台が参戦。前日に大きくリードを築いていた高橋悟志/加藤昭文はSS10でスピンを喫するもなんとか逃げ切り、前戦に続いて勝利を飾っている。2位には地元の黒原康仁/美野友紀、3位には関根正人/草加浩平が入った。高橋はラリー後、「今朝の2本目からエンジンの調子が悪くなってしまいました。それ以降は良くなったり、悪くなったりでした。タイムも遅れましたし、すごくフラストレーションが溜まりました。なんとか持ちこたえられて良かったです。課題も見えたので、対策して挑みます」と明かしている。



天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR)が今季3勝目を挙げたJN5クラス。ホンダ・フィットRSの小川剛/藤田めぐみが2日目にペースを上げ2位に入り、3位にマツダ・デミオの岡田孝一/廣田幸子という順位となった。この日は小川が4SSでベストタイムを刻む好走を見せたが、天野は長いSSをキッチリと獲ってリードを拡大し勝利を収めている。天野は「最終日は小川選手が速かったですね。HAKOBAとショートステージでベストを獲られてしまいました。フィットがかなり速いので、今年はかなり面白いシーズンになりそうです」と貫録のコメント。



JN6クラスは初日の段階でクラス2番手に2分以上の大差をつけた大倉聡/豊田耕司が危なげなくシーズン3勝目をゲット。2位には板倉麻美/蔭山恵が入り、前戦に続いてトヨタ・ヴィッツCVT勢が上位を占めた。3位には伊藤隆晃/大高徹也(PD YHノートe-POWERニスモS)。盤石のマージンを活かしてラリーを走り切った大倉は「3連勝できて良かったです。後ろとの差が開いていたので、思い切りペースを落としてウエットを走りました。ドライの時はクルマのバランスが良かったのですが、とんがったセッティングだったので、ウエットは少し乗りにくかったです。今回から新しく入れたアイテムが機能してくれました。次からも新しいアイテムが入るので、すごく楽しみです」と次戦に向けて笑顔を見せた。

次戦は5月3日〜5日に開催される第4戦Sammy久万高原ラリー。昨年までのグラベルからターマックへとコースが変更され、どのような戦いとなるか各クラスの状況に注目したいところだ。