2019年4月13日(土)
〇三河 91 ‐ 83 三遠●
(三河通算成績 30勝27敗)

 就任23年目の冷静な指揮官・鈴木貴美一が珍しく試合中にガッツポーズで感情を表に出して選手を称えた。


岡田侑大、世代を代表するアスリートの雰囲気


 「見事だ」、「よくやった」と言う声が聞こえてきそうなガッツポーズは、3Q残り7分31秒の岡田侑大のプレーに対してだった。岡田がジャンプショットを打ちに行ったところ、相手のブロックが高いと判断、瞬時に視界に入ったゴール下のアイザック・バッツへのパスへと切り替え、バッツの2得点につなげた。記録上は岡田がシュートを外した形になったが、名将の感情も爆発させた『隠れたファインプレー』が一瞬の判断がチームに勢いを与えた。

 今季途中、拓殖大学から特別指定選手として加入した二十歳。11月からの加入後、徐々にプレータイムを伸ばして来て、打って良し、パスして良し、ドリブルしても良しと高い能力を見せつけ、今や主力として成長した。バスケ界の今後を担う選手になる事は想像に難くないが、コート上でボールを持った時のオーラ、雰囲気は、もしかするとバスケ界の域にとどまらない、世代を代表するアスリートになる可能性も秘めている。

 試合は、エース・金丸晃輔がフェイスガードの密着マークを受ける中、岡田がゲームハイの24得点、ミークスが23得点、バッツ、桜木、熊谷が二桁得点をマーク。チャンピオンシップ(CS)進出に向けて貴重な白星を勝ち取った。

苦しみ抜いた71年目の名門チーム、残り3試合は…

 昨年までの三河は圧倒的なチーム力で、早々と3月までに地区優勝を決めていた。しかし、今季は主力2人が移籍で抜けて、シーズン前にはエース・金丸晃輔が「僕が移籍して来たみたい」と言うほど全く違うチームになり、一からのチーム作りとなった。選手や球団関係者によると「記憶にない」と言う開幕5連敗からのスタート。

 その後も勢いに乗り切れない日々が続いたが、苦しみながら工夫と粘りでここまで来た。今季途中でのケネディ・ミークスの補強、大学生だった岡田侑大、熊谷航を特別指定選手として獲得、この日はその3人が試合スタートのメンバーに。名将・鈴木貴美一が「育てながら戦う」とタクトをふるって来たシーズン。

 過去71年間の歴史の中でも異例な特殊なシーズンの一つになったに違いない。

 この日の各地区の試合が始まる前の時点ではCS出場のワイルドカード争い3位だった三河。CS争いをする名古屋が敗れたため同2位に浮上、CS出場圏内に入った。

 苦しみ抜いた今シーズン、運命の残り3試合。どんな結末が待っているのか。

 まずは14日の三遠との「三河合戦」、天下分け目の合戦を制する必要がある。

・合わせて読みたい→
三河・岡田侑大がプロ転向からの3ヶ月を振り返る Bリーグ注目の大型ルーキー(https://cocokara-next.com/athlete_celeb/yuta-okada-interview/)

■ シーホース三河 鈴木 貴美一 ヘッドコーチ 試合後コメント

ー本日の試合総括コメント
 前回アウェーのゲームのときに2連敗してしまって、それも自分たちの自滅で点数を取れない、相手に与えてしまうというバスケットしてしまって、今日はオフェンスがうまくできたと思います。良いディフェンスをすれば良いオフェンスに繋がるし、良いオフェンスをすれば戻って良いディフェンスができるということで、そういうことを再認識したゲームだったと思います。

 三遠さんも本当に素晴らしいチームですし、我々もチャレンジャー精神でみんながエナジーを使って頑張ってくれたので、残り明日を含め3ゲームですけれども最後まで諦めないで精一杯やりたいと思います。

ー狩俣選手の状況について
 今、病院に行っている状況で、軽い脳震盪というか。レントゲンやMRIで検査をすぐできない状況なのでなんとも言えない状況です。

■ シーホース三河 #3ケネディ・ミークス 選手 ヒーローインタビュー

ー今日の勝利、おめでとうございます。
 ありがとうございます。

ー試合前、各選手と話していましたがどんなことを話していましたか?
 しっかりエナジーを使ってプレーすることを話していました。まだ、チャンピオンシップに出場できる可能はあるので、それをポジティブに捉えていこうと話しました。

ー試合を振り返ってみていかがですか?
 試合を通してかなり良かったと思います。ディフェンスは、何度か簡単にスコアされる場面もあったんですが、最後のところでしっかり止められたので良かったと思います。

ー接戦になったときのプレッシャーはどのように感じながらプレーしていますか?
 最後の2分、しっかりエナジーを出して下を向かずにポジティブに戦い続けることだと思います。最後、#30岡田 選手がしっかり攻めきって、それがイージーなリバウンドにつながったので、そういうところが良かったと思います。

ーファン・ブースターの皆さまへのメッセージを
 いつも応援ありがとうございます。今シーズン、一緒に戦い続けてくださっていますので、残り3試合も応援していただけると嬉しいです。

■ シーホース三河 #30岡田 侑大 選手 ヒーローインタビュー

ー今日の勝利、おめでとうございます。
 ありがとうございます!

ーどんなことを考えて試合に臨みましたか?
 前回、2連敗した相手なので、しっかりビデオも見て、いい準備が出来たと思います。

ー具体的にはどのような準備をしましたか?
 前回は、ピック&ロールでイージーなバスケットをされてしまったので、チームディフェンスでどう解決するかなどです。

ー今日はファンの皆さんの声も届いたと思うのですがいかがですか?
 ホームはやっぱり気持ちいいです。

ーファン・ブースターの皆さまへのメッセージを
 明日も試合があるので、しっかりいい準備をして勝ちたいと思います。応援よろしくお願いします。

■ 三遠ネオフェニックス 藤田 弘輝ヘッドコーチ 試合後コメント

 終始僕らは質の高いバスケットができたと思っていますし、エナジーレベルも高かったので、ただもったいない点数が多かったので明日はそこを減らしたいです。

 前半はもったいないターンオーバーから走られたり、もったいない点数がありました。ディフェンスリバウンド(三遠)19に対してオフェンスリバウンド(三河)13本も取られているので、セカンド・チャンスも20点とられているので頑張っていないわけではないのですが。

 あれだけ大きい選手に対してチームでファイトできるかということと、岡田選手の自由奔放な1on1に対してチームで守れるかということと、金丸選手に対してチームで守れるかしっかり修正して、明日勝ちたいと思います。

1Q 三河26–23三遠


序盤からのシュート合戦を制し、逆転に成功

 スターティング5は、#3ミークス、#5バッツ、#11 熊谷、#14金丸、#30 岡田。

 三遠のボールマンへの激しいプレッシャーやパスの受け手へのチェックに対して、立ち上がりこそ後手に回ったが、慌てることなく冷静にオフェンスを展開。#3ミークス、#5バッツのインサイド、#30岡田、#11熊谷が3Pシュートとバランス良く得点を重ねていく。
 残り2分に#11熊谷がプッシュして#30岡田が3Pシュートを沈めて22-19と逆転に成功。終了間際に#11熊谷との2メンプレーから#5バッツが放ったミドルシュートがリングを通過し、3点リードで最初の10分を終えた。

2Q 三河51–41三遠 (三河25–18三遠)


多彩なリズムのオフェンスを展開。10点リードで折り返す

 スタートは、#3ミークス、#9森川、#11熊谷、#30岡田、#32桜木。

序盤から#3ミークスのパワーアタック、#9森川のカットイン、#32桜木のミドルシュートとハイペースで得点を重ねる。開始3分に#9森川のパスを受けた#30岡田がファストブレイクで得点すると、今度は#4狩俣のスティールから#9森川が走ってレイアップを沈める。さらに#3ミークスもスティールからワンマン速攻でバスケットカウントを獲得。スティールからの速攻で立て続けに加点して二桁リードを奪う。
 その後も#32桜木を起点に安定したオフェンスを展開。#32桜木のバスケットカウント、#32桜木のゴール下へのパスに#24加藤がダイブして加点。終了間際に再び#32桜木がミドルシュートを決めて前半を締めくくった。

3Q 三河75–67三遠 (三河24–26三遠)


岡田二桁得点、変幻自在なプレーでアリーナを魅了

 スタートは、#3ミークス、#5バッツ、#11熊谷、#14金丸、#30岡田。

三遠#5川嶋の3Pシュートで先行されるが、#30岡田が得意のスネークドライブで応戦。三遠は外国籍選手の得点で食い下がるが、#5バッツ、#3ミークスがインサイドで主導権を握り、#30岡田、#14金丸が3Pシュートを沈めてリードを保つ。

 残り1分半から好調の#30岡田がドライブからバックシュートをねじ込み、#32桜木のゴール下への絶妙なパスをカットインして沈めると、満員のアリーナから大きな歓声が上がった。

4Q 三河91–83三遠 (三河16–16三遠)


1点差まで迫られるも、アリーナ一丸で勝利を掴む

 スタートは、#3ミークス、#9森川、#30岡田、#32桜木、#46生原。

立ち上がりに三遠の3連続得点を許して4点差に迫られるが、#30岡田のスティールから#5バッツがセカンドチャンスでねじ込むと、#5バッツのブロックショットを#11熊谷が倒れ込みながらもつなぎ、最後は#30岡田がファストブレイクを決めて、流れを引き戻す。

 三遠#8太田の連続得点、#4寺園の3Pシュートで再び1点差に肉薄されるが、インサイドの攻めを強調して、#3ミークス、#5バッツが獲得したフリースローをすべて沈めて突き放す。守備ではアリーナの「ディフェンス、ディフェンス」の大青援に後押しされ、オフィシャルタイムアウト明けの約5分間を粘り強いディフェンスで3失点に封じ、最終スコア 三河91–83三遠で振り切った。