不安と期待が入り混じる全8校の選手たちが一堂に集まり、春季関東大学リーグ戦(春季リーグ)が開幕した。初戦の相手は国際武道大。昨年の秋季2部リーグで優勝した早大に対し、3部から昇格したばかりの国際武道大。実力差は歴然かと思われたが、早大は序…

 不安と期待が入り混じる全8校の選手たちが一堂に集まり、春季関東大学リーグ戦(春季リーグ)が開幕した。初戦の相手は国際武道大。昨年の秋季2部リーグで優勝した早大に対し、3部から昇格したばかりの国際武道大。実力差は歴然かと思われたが、早大は序盤流れを掴むことができない。相手のミスにも助けられる形で第1セットを奪った。しかし、第2セット以降、落ち着きを取り戻した1年生コンビの活躍もありセットカウント3-0(25-23、25-13、25-10)で初戦を物にした。

 第1セットは、国際武道大の3連続ポイントで幕を開ける。馬場泰光監督(平8人卒=京都・洛南)が「1セット目は少々硬かった」と振り返るように、緊張がプレーに表れていた。しかし、富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院大女)のブロックアウトや齋藤友里(社2=千葉・敬愛学園)のクイックなど随所に良いプレーが見られ、一時はリードを6点差に広げる。ところが、3部から昇格した勢いのある相手に押され6点あった差はわずか1点に。相手のサーブミスで第1セットは奪ったものの、流れを掴み切れない第1セットとなった。


強烈なスパイクを打つ富澤

 そして迎えた第2セット、期待の新星・中澤恵(スポ1=大阪・金襴会)の強烈なスパイクを皮切りに、中澤と山下日和(社1=千葉・市立船橋)の1年生コンビが、このセット奪った得点の約半分を稼ぐ快進撃を見せる。強化してきた守備でも河治えみり(社3=北海道・旭川実業)を中心に『粘り』が生まれ、第2セットも連取。第3セットに入っても、早大は主導権を渡さない。快進撃を続ける1年生コンビに正確なトスを供給し続けてきた橋本美久(社2=福島・郡山女大附)は2本のサービスエースを決め、自らも得点を奪う。最後は中澤の3連続ポイントで試合を締め、ストレート勝ちを収めた。


鮮烈なデビューを果たした中澤

 新体制として、最高のスタートを切った早大バレーボール部女子部。特に、中澤・山下の1年生コンビの活躍は目を見張るものであった。しかし、二人が活躍できているのは「楽しくやろう思いっきりやろうという」(中澤)雰囲気を作りだす富澤、スパイクを何度拾われても守り続けてくれる先輩たちがいるからである。また、二人も先輩に感謝しながら楽しんでプレーをしている。新入生と先輩、攻撃と守備が噛み合っているこのチームは、『全勝優勝』、そして『1部昇格』に向けて着実に勝ち星を積み重ねていく。

(記事 友野開登、写真 瀧上恵利)

セットカウント
早大25-23
25-13
25-10
国際武道大
スタメン
レフト 富澤結花(スポ4=東京・文京学院大女)
レフト 中澤恵(スポ1=大阪・金襴会)
センター 齋藤友里(社2=千葉・敬愛学園)
センター 山下日和(社1=千葉・市立船橋)
ライト 井上裕利惠(スポ3=岡山・就実)
セッター 橋本美久(社2=福島・郡山女大附)
リベロ 河治えみり(社3=北海道・旭川実業)
コメント

馬場泰光監督(平8人卒=京都・洛南)

――初戦を終えられて、いかがでしたか

1セット目は少々硬かったですけれども、2セット目・3セット目はこの4ヶ月取り組んできたレシーブの成果が出せたと思います。

――冬の練習で重点的に取り組んだことはありますか

主には、やはりレシーブです。しっかり足を動かして、1本目を絶対にダイレクトで下に落とさないということのために、練習の内容でツーメンだとかスリーメンだとか走り込みというのを一生懸命やってきたので、その成果として全セットを通じて、1本目を落とさない粘りあるバレーができたと思います。

――今年から新たに取り入れたことはありますか

メンバーも新しく1年生が2人入りましたし、しっかりラリーの中でセンターがクイックを使っていく、その攻撃バリエーションが少し去年よりも付け足せたとは思います。

――きょうの試合では1年生の活躍が見られましたが、監督という立場からみてどのように感じていますか

まだ合流して1ヶ月程度ですが、元々高いポテンシャルを持っている子たちです。いつも通りやりやすい環境を2年生以上が作り上げてくれているので、やりたいように思いっきりやって欲しいなと思います。

――きょうの試合で見えた課題はありましたか

もう少し攻撃の、二段トスであったりボールのコントロールの精度が低いのでその精度を上げれば、1本目のレシーブがうまく機能し始めているので、2本目の精度が上がれば3本目でしっかりコンビが組めると思いますので、これはリーグを通じて完成できたらいいなと思っています。

――リーグ戦が続くと思いますが、意気込みをお願いします

本当に一戦一戦です。目標は学生の中ではしっかり持っているものの、あまり先々を見据えてしまうと緊張や不安も出てきたりするかもしれないので、1セット1セット、それから一球一球、しっかりやってきたことを発揮するということに徹したいと思います。

富澤結花主将(スポ4=東京・文京学院大女)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

練習の時からみんな結構緊張していて、硬さがある第一試合だなと思いましたが、相手に合わせることなく自分たちのバレーができました。良い形でリーグ戦の初戦を迎えられたかなと思います。

――1セット目は硬さ見られましたが、2セット目の前にはどのような声かけをされましたか

あまり覚えてないです。とにかくいっぱい声をかけました。練習の時から、ダイレクトでボールを落とさないことやとにかく繋ぐことを意識して声をかけていました。だから自分たちのレシーブから攻撃につなげるリズムが一番良いバレーができる第一歩だと思っているので、そういう部分からしっかり足を動かして頑張ろうと声をかけました。

――冬の期間練習してきたことの中で、きょうの試合に生きたと思うことはありますか

レシーブです。とにかくボールに触って絶対にダイレクトで落とさないことを意識して練習してきました。ラリーではとれなかったボールもあるのですが、しっかり粘って粘って返すという形ができていたと思います。

――きょうは1年生の活躍が光りました。主将としてどのように見ていましたか

頼もしくて、本当にありがたかったです。ただ1年生だけじゃなく2年生も3年生も自分たちの役割をしっかり果たしてくれていて、本当に頼りになる後輩がたくさんいてうれしいです。

――富澤さん自身のプレーを振り返っていかがでしたか

あまり自分のことを考えられていないので、点数をつけるなら30点ぐらいです。自分はもっと頑張りたいなという思いはありますが、まずはみんなを動かしてチームをまとめることを最優先にしていました。自分のことよりもチームの勝利のために頑張っています。

――今後のリーグ戦に向けての意気込みをお願いします

1試合も落とすことなく全勝で優勝したいです。目標としているのはここで優勝というよりも一部昇格なので、相手を寄せつけない自分たちのバレーができるように頑張ります。

中澤恵(スポ1=大阪・金蘭会)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

早稲田のユニホームを着て戦う初めての試合でしたが、先輩たちがすごい楽しそうにやっているのをプレー面でも雰囲気でも見せてもらって楽しかったですし、合流して1ヶ月くらい経ち段々とチームのリズムも掴めてきて、いいプレーが出せたかなと思います。

――序盤は少し硬かったようにも見えましたが、いかがでしたか

試合前のアップから個人的な面では結構しっかり準備はできていたと思いますが、相手の攻撃に対してのチームの対応や自分たちのミスが少し出てしまったことが課題だと思うので、明日の試合で修正して頑張りたいです。

――途中からスパイクがかなり決まっていましたが、自分の攻撃を振り返っていかがですか

1セット目だと相手のポジション取りとかが分からなくて探り探り部分がありました。しかし、2セット目からは相手のコートが見えるようになってきたりトスも感覚的に合ったので、そういう部分では2セット目3セット目になると相手のことが見えてくるので、1セット目の早い段階から掴めれば1セット目も決められたかなと思います。

――高校までと違った点はありましたか

今もそうかも知れませんが、高校は勝つのが当たり前のチームでやってきてプレッシャーとかもありましたが、今はチームの課題としても、楽しくやろう思いっきりやろうというのがあるので、高校の自分の経験も出しつつチームの課題や目的にも気持ちを置いて気合いを入れてやっていくことが大事かなと思います。

――リーグ戦の意気込みをお願いします

1年生らしく思いっきりやったり、はつらつしたプレーをすることが、先輩に対して支えてもらったりしている恩返しにもなるので1年生らしくやることを忘れないようにしたいです。プレー以外の部分や仕事や1年生の準備もあるので、そういう一つ一つの準備だったり気持ちの面だったりを大事に頑張っていきたいと思います。

山下日和(社1=千葉・市立船橋)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

1セット目は少し緊張していたので、焦ってしまう部分が多かったです。まだまだできるなと思いました。

――2セット目からはどのように切り替えましたか

2セット目からは先輩たちにたくさん声をかけてもらって、自分なりにもっと思い切りやろうと決めました。決まる、決まらないという結果よりも思い切りやることを意識していました。

――クイックやブロードなどコンビネーションがうまく決まっていたことについてはどうですか

もっと決められる球は多かったと思うのですが、セッターの橋本さんとずっと試行錯誤しながらコンビネーションを合わせてきたので、その成果が少しずつ出てきていると思います。あしたからの試合ももっと良いコンビネーションが出せるように頑張りたいです。

――早稲田に入学して高校との違いを何か感じましたか

高校の時と生活リズムが大きく変わりました。自分で考えて自分で管理することが多いので、自分にストイックになれるように頑張ります。

――高校と大学とのレベルの差は感じますか

自分たちのバレーができればちゃんと勝てるし、1部にも十分挑戦できると思っています。相手も大事ですが、自分たちのバレーをすることが大切にして頑張りたいです。

――今後のリーグ戦に向けての意気込みをお願いします

ブロックや速攻でたくさん点数を取って、少しでもチームの勝利に貢献できるように頑張ります。