指があらぬ方向に曲がっている…。 見ている方が痛々しいケガを負ったのは、プロ野球・西武の外崎修汰内野手(26)。12日…
指があらぬ方向に曲がっている…。
見ている方が痛々しいケガを負ったのは、プロ野球・西武の外崎修汰内野手(26)。12日オリックス戦(メットライフドーム)の7回、けん制球で一塁に帰塁する際、ベースに右手小指を突いて脱臼した。テレビで流された映像には、第2関節から先の小指が反対方向、外側に向かって折れ曲がっていた。
通常なら、交代の場面。外崎は違った。治療のためにベンチ裏に下がると、自分で脱臼した指を元の状態に戻したという。テーピングをしてわずかな時間でグラウンドに戻り、フル出場。9回には先頭打者で四球を選んで決勝ホームを踏み、チームに今季初のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。
「(痛みは)突き指くらい。突き指かなと思ったら曲がっていた。脱臼は高校の時に1度やったことがあるので、大丈夫だろうなというのはあった。バスケットボールをやっていた母が応急処置の方法を知っていて、指を引っ張ったら入るよと言われて(高校時代に)やりました。今回はそのときより簡単に入りました」と、平然と言ってのけた。
FA移籍した浅村の抜けた二塁を定位置にしているが、内外野をこなし、侍ジャパンでも貴重なユーティリティープレーヤー。実家が青森のリンゴ農家であることから「アップルパンチ」の愛称で知られるが、新たに「鉄人」の称号も加わりそうだ。
脱臼は癖になることがあり、経験者は自分なりの応急処置の方法も知っているから、慌てない。左肩の脱臼癖があるロッテ細川亨捕手もその1人。西武時代の08年、9月24日ロッテ戦で死球を受けたベニーが暴走し、止めに入った細川が投げ倒されて脱臼した。当時の試合後コメントがおもしろい。「脱臼は古傷なんでいいんですけど、それよりベニーに投げられたことが悔しい。高校時代は、柔道部にも負けたことがなかったんですよ。奥エリをつかむようにユニホームをつかんで踏ん張ったけど、見事に『払い腰』一本やられましたね」。周囲の心配など、どこ吹く風。『慣れ』がそうさせるのか、外崎同様に全く大ごとと捉えていなかった。
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脱臼、その他スポーツ事例
指の脱臼はスポーツ界に多い。
プロバスケB1福岡でNBA経験もあるピットマン選手は18年10月7日、栃木戦で相手とボールを取り合った際、左手中指を脱臼。指を自分で元に戻し、テーピングで固めて強行出場してチーム最多20得点をマークした。
サッカーではゴールキーパー(GK)の『職業病』。昨年女子W杯U-20で世界一に貢献したGKスタンボー華選手(INAC神戸)は「親指以外すべての指を脱臼した」と仰天エピソードをテレビ番組で告白し、驚かせた。
脱臼といえば、大相撲の千代の富士を思い浮かべる人も多いだろう。平成元年(89年)春場所の14日目、大乃国に勝って優勝を決めた一番。巨体を投げた際に左肩を脱臼し、力の入らない左腕を右手で持って支える痛々しい姿は今も語り草だ。脱臼癖があった千代の富士は現役時代、計10度も経験した。それを克服するために1日500回の腕立て伏せをノルマとし、筋肉の鎧を身につけたという。
ケガと常に隣り合わせのアスリート。脱臼に関しては「付き合い方を知っている」選手が多いといえそうだ。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]