ウナイ・エメリ監督の狙いがハマった一戦だった。 4月11日に行なわれたヨーロッパリーグ準々決勝・第1戦のナポリ戦で…

 ウナイ・エメリ監督の狙いがハマった一戦だった。

 4月11日に行なわれたヨーロッパリーグ準々決勝・第1戦のナポリ戦で、アーセナルは2-0の勝利を収めた。

 キックオフから攻勢で、25分までに2点を奪取。後半からカルロ・アンチェロッティ監督率いるナポリも持ち直したが、アーセナルはアウェーゴールを許すことなく第1戦を制した。理想を言えば、後半に4回あった決定機を1回でも決めて3-0にしておきたかったが、ひとまず2点のリードを持って第1戦を折り返すことに成功した。



ナポリ戦で先制ゴールを決めたアーロン・ラムジー(中央)

 アーセナルは、今季から指揮を執るエメリ監督の下で改革が進んでいる。そのエメリ監督がセビージャ在籍時代に成し遂げたのが、「ヨーロッパリーグ3連覇」だった。

 ジネディーヌ・ジダン監督がレアル・マドリードで達成したチャンピオンズリーグ3連覇には敵わないが、2013-2014シーズンから3季連続でヨーロッパリーグの頂点に立った実績は、終盤のアーセン・ベンゲル時代に漂っていた閉塞感を払拭する原動力になる。当のエメリ監督もアーセナルでのヨーロッパリーグ制覇を重要視しており、タイトルを獲得して新たな活力にしたい意向だ。

 エメリ采配の特長は、試合ごとにフォーメーションや人選、戦術を細かく変えてくることだろう。4-2-3-1や4-3-1-2、3-5-2、3-4-2-1など複数のフォーメーションを使い分け、相手の陣形や出方、自軍の狙いに合わせて臨機応変に編成する。今回の試合では「第1戦で結果を掴むことが重要だった」と指揮官は語り、前傾姿勢の強い3-4-1-2で挑んだ。

 キックオフから試合の主導権を握ったのは、アーセナルだった。イングランド特有のテンポの速いパス回しと積極的なプレスを繰り出し、ハイペースの展開に持ち込んだ。前線からプレスをかけて敵のビルドアップを分断し、ボールを素早く回収。そして、小刻みにパスを回した。アグレッシブなプレーを繰り返すことで、ナポリの動きを制圧した。

 先制点は、この流れから生まれた。中盤でのボールカットを起点に、1、2の少ないタッチで5選手を経由。最後はアーロン・ラムジーが華麗にネットを揺らした。

 また、2点目もアーセナルの攻勢を象徴していた。前線から囲い込むようにして素早くプレスをかけ、ルーカス・トレイラがフィールドの高い位置でボールを奪取。ショートカウンターにつなげ、相手のオウンゴールを誘発した。

 アーセナルが前半に放った枠内シュート数は6本に達した。今季のナポリのスタッツを確認すると、前半に記録した「被・枠内シュート数」としてはシーズン最多であり、いかにアーセナルが押し込んでいたかがわかる。前半のナポリは、アーセナルが持ち込んだハイテンポのサッカーに対応できなかった。

 ところが、アンチェロッティ監督に率いるナポリも黙っていなかった。後半からプレスを強化し、ハイラインを敷くアーセナルDFの裏をロングパスで徹底的に突いた。

 ナポリの決定機は2回と少なかったが、72分に掴んだ決定的なチャンスをピオトル・ジエリンスキが決めていれば、「第1戦の流れ」と「第2戦の展望」は大きく変わっていただろう。対するアーセナルは、ハイラインを保ったままフォーメーションを5-4-1に変更して対応しようとしたが、ナポリの攻撃を寸断できなかった。無失点に抑えたとはいえ、この点は第2戦に向けて課題となった。

 指揮官のエメリは、試合を通してタッチライン際のテクニカルエリアで指示を出し続けた。プレスをかける位置やパスを出す位置、ポジション取りなどを大きな身振り手振りを交えて伝える様子から、徹底して細部にこだわる監督であることが伝わってきた。

 そのせいだろう。試合後の記者会見でも「勝利はいい結果」としながらも、「喜びは半分しかない」と語り、第2戦に向けて気を引き締めた。

「まだ試合は第1戦の90分を終えただけ。勝ち抜けの可能性も50%だ。第2戦の90分間は極めて難しくなるだろう。ナポリはホームでサポーターの声援に押され、より激しく戦うはずだ。彼らはホームで圧倒的な強さを誇る。今日の試合より難しくなるのは間違いない。しっかりと準備したい」

 今季ホームゲームの22試合で、ナポリはわずか1敗しかしていない。一方のアーセナルは、直近7試合のアウェーゲームが1勝5敗1分と、ベンゲル前政権からの苦手意識を払拭できていない。

 第1戦の勝利で準決勝進出に前進したが、アーセナルとしては決して油断はできない。策士エメリ監督は、アーセナルを準決勝へと導けるか。