3回戦
東大
早大X
(早)○久郷、前田-吉田

 1勝1敗の五分で迎えた3回戦。優勝へ向け何としても勝ち点が欲しい早大と、21年ぶりの勝ち点が懸かる東大。両校にとって絶対に負けられないこの試合、先発のマウンドには1回戦と同じ、両校のエースが上がった。早大先発の久郷太雅(創理4=静岡・沼津東)が粘りの投球で5回までスコアボードに0を並べる中、打線は東大先発の高田泰輔(4年)から捕逸と敵失でしか点を取れず。1点差に詰め寄られた後半には、東大2番手の楠凱斗(4年)から走者すら出せなかった。それでも早大2番手の前田直輝副将(スポ4=熊本)が東大の反撃を断ち切り、2-1で勝利。息の詰まる投手戦を制し、なんとか勝ち点をもぎ取った。

 初回表、久郷は先頭打者に四球を与えると、その後犠打と安打で1死一、三塁といきなりのピンチを迎える。3日前の初回には3点を先制され、東大に試合の主導権を渡してしまった久郷。しかしこの日はその反省を生かし、「初戦以上に打者に対する攻め方を考えながら臨んだ」(久郷)とクレバーな投球を披露した。続く4番打者から三振を奪い、1回戦で2ランを浴びた東大5番・伊藤雅幸(4年)をも右飛に打ち取ったのだった。


初回表、伊藤(25)を右飛に打ち取った久郷

 するとその裏、早大に好機が訪れる。制球の定まらない東大先発の高田泰輔(4年)を攻め、2つの四球と3番・関大輝(基理2=茨城・江戸川学園取手)の右前打で1死満塁。ここで東大にバッテリーミスが起き、幸先よく1点を先制した。その後5番の鈴木涼馬(商4=東京・早稲田実業)も四球を選び、再び1死満塁。このまま一気に勝負が決するかに思われた。しかし、次打者の山口永路副将(社4=早稲田佐賀)が三振した際、三塁走者の関が飛び出しタッチアウト。まさかの『1死満塁からの三振ゲッツー』で、苦しんでいた高田を助けてしまった。

 そのまま回は進んで3回、調子を取り戻してきた高田に対し、渡部椋雅(社2=神奈川・桐光学園)が振り逃げで出塁する。その後捕逸と犠打で三進した渡部は、関のショートへのゴロでホームへ突入。ストライク送球であればアウトのタイミングだったが、相手遊撃手の悪送球に助けられて生還。幸運が重なり追加点を獲得した。


初回裏、1死満塁で見逃し三振に倒れた山口。この時、三塁走者の関が飛び出してアウトになった

 2回以降も粘りの投球でスコアボードに0を並べていた久郷だったが、6回に制球を乱してしまう。安打と2つの四死球で2死満塁とされ、8番打者に押し出しの四球を与えてしまったのだ。するとここで早大ベンチが動き、2番手の前田がマウンドへ。前田は「久郷の頑張りを無駄にしないように」と気合の投球で一打逆転のピンチをしのいで見せた。しかし打線はその裏から登板した東大2番手・楠から三者凡退。点を取られた後の攻撃をわずか7球で終えてしまい、ますます東大に勢いを与えてしまった。

 直後の7回表、前田は押せ押せムードの東大打線に安打と二塁打を浴び、1死二、三塁とまたも一打逆転のピンチを迎える。しかも東大は4番、5番と続く好打順。絶体絶命の状況に追い込まれた。しかし、経験豊富なリリーフエースはこの状況にも動じなかった。「ピンチでも自分の投球を貫けるのが自分の持ち味」(前田)。強気の投球でここも切り抜け、東大の勢いを止めたのだった。その後は前田と楠がそれぞれ1人の走者も許さず、2-1のままゲームセット。辛くも勝利を手にし、1つ目の勝ち点を獲得した。


素晴らしい救援を見せた前田

 このカードを振り返り、池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)は「投手陣に関してはしっかり投げてくれたが、攻撃面が課題」だと述べた。きょうの早大打線はクリーンヒットは1本だけ、2番手の楠からは走者すら出せない、という厳しい状況。得点も捕逸と敵失による2点のみで、誰一人として打点を挙げた者はいなかった。そんな状況にも関わらずこの日は走塁ミスでのアウトが3つ。池田監督の言う「塁に出た走者をどうやって生かして得点を取るか」をもっと考えていかなければ、優勝争いには加わっていけないだろう。

 このように課題は山積みだが、それでも早大は勝ち点1を獲得した。これはとても大きなことである。どれだけ内容が良くても負けてしまったら優勝が遠のき、どれだけ打てなくても勝ち点さえ取れれば優勝が近づくのがリーグ戦だ。それに、幸いなことに早大は次の週が空き週であるため、チームを立て直す時間が2週間弱ある。東大戦での反省を生かし、課題解決に当たってほしい。新学期が始まり学業との両立などで忙しくなってくる時期ではあるが、文武両道の早大準硬式野球部ならきっとできるはずだ。次戦の相手は関東地区大学選手権で屈辱のコールド負けを喫した立大。困難を乗り越え、何としてもリベンジを果たしてほしい。

(記事、写真 池田有輝)






コメント

池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)

――きょうの試合を全体的に振り返っていかがでしたか

やはりまず打てない。打てない中で、昨年もその前の年もそうだったのですが、投手がしっかりと試合をつくってロースコアで勝ち切るという試合でした。いわゆる一昨年の早稲田という感じでしたね。

――このカード全体を振り返っていかがでしたか

やはり打つほうをもう少ししっかりやっていかないと厳しいなと感じました。投手に関してはしっかり投げてくれたと思います。特に久郷(太雅、創理4=静岡・沼津東)は1回戦では打たれたのですが、きょうはしっかり6回まで試合をつくってくれて、その後を継いだ前田もしっかり抑えてくれました。投手はこのまましっかり次の立大戦に向けて準備してくれたらと思います。ですが攻撃面が少し課題かなと。点が取れないときには点が取れないなりの、足を絡めた攻撃だとか、そういうことをやっていかないといけません。この先も当然強いチームで厳しい試合が予想されるので、打線にはそういうことを考えて練習をするように話をしました。

――この2週間はどういった調整をされたいですか

攻撃面で、もちろん打てればいいのですが、打てないことを前提に、どうやって点数を取るか。四球でも相手の失策でも、塁に出た走者をどうやって生かして得点を取るか。ということを考えて練習してほしいと伝えました。

――次へ向けて一言お願いします

今、特に内野は下級生が多く試合に出ているので、下級生がまずは自分の役割というのをしっかり理解してほしいです。やはり野球をやっていく上で一人一人にいろいろな役割というものがあって、展開に応じてそれをしっかり生かしていかないとなかなか流れがつかめません。どちらに流れがいくかなという展開になると、そういうことを丁寧にやっている方が勝てると思います。そういうことをしっかり意識しながらやってくれれば、ロースコアになるような気がしますが、勝っていくことができるかなと思っています。

前田直輝副将(スポ4=熊本)

――きょうは6回のピンチでの途中登板でした。振り返っていかがですか

自分は昨年の経験を生かすということで中継ぎに戻ったのですが、関東大会(関東地区大学選手権)では先発したので先発の気持ちも分かります。久しぶりのピンチで緊張したのですが、それまで久郷が粘り強く投げていたので、その頑張りを無駄にしないために頑張りました。

――7回も1死二、三塁のピンチでした。振り返っていかがですか

風の影響なのか、曲がるはずの変化球が曲がらなくて二塁打を打たれてしまいました。それで二、三塁になったのですが、ピンチでも自分の投球を貫けるのが自分の良いところというか、持ち味だと思うので、普段と何も変わらず、逆にここを抑えれば流れを持ってこれるという気持ちで投げました。

――8回、9回はいずれも三者凡退でした。振り返っていかがですか

「もう点はいらない、自分が無失点に抑えてこのまま2ー1で勝つ」という気持ちで投げていました。その結果3人で抑えられて良かったと思います。

――このカード全体を振り返って、次のカードまでに修正しなければならない部分はどこでしょうか

開幕戦でまさかというか、東大に負けて自分たちの力の無さを改めて実感しました。野手は点が取れない、投手は序盤に点を与えてしまい、後を抑えても間に合わない、という感じでした。まず先発投手は立ち上がりというところにもう少しこだわりを持って取り組んでほしいです。野手は全体として、短い期間ですけど、打てない中でもどうやって点を取るかということを徹底的に分析したり話し合ってほしいです。打てなくても、点を取られても、最終的には勝てるように、そういうチームを目指してやっていきたいと思います。

久郷太雅(創理4=静岡・沼津東)

――きょうの投球内容を振り返っていかがですか

1回戦でああいう投球をしてしまったので、もっと長い回を投げたかったです。納得はいっていないですね。

――1回戦では立ち上がりに点を取られましたが、きょうは1回戦の初回に本塁打を打たれた東大5番の伊藤雅幸選手(4年)を打ち取ってピンチを切り抜けました。立ち上がりを振り返っていかがですか

初戦以上に打者に対する攻め方を考えながら臨んだので、そこが良かったと思います。

――初戦で本塁打と二塁打を打たれた伊藤選手との対決では、2打席とも0ストライク3ボールから打ち取りました。やはり警戒されていたのでしょうか

していましたね。まあ警戒はしていましたけど、初戦で打たれたのは自分の失投だったので、あまり気にしすぎても良くなかったなと思います。なのでもう少し素直にいっても良かったのかなと思っています。

――次の立大戦まで2週間弱ありますが、どのような調整をしたいですか

あまり今打線の調子が良くないので、投手陣が0点に抑えないといけないと思います。今の状況だとまだ投手陣全体としてバタバタしている感じがあるので、もっと盤石の投球ができるようにしていきたいと思います。