東京パラリンピックに向け様々な競技やアスリートの魅力に迫る、MEN’S NON-NOの連載「2020年TOKYOへの道」。今回は陸上の"花形"短距離で速さと強さを追求する若きスプリンターの素顔に迫る!

パラ陸上400mの日本記録保持者である池田樹生。将来有望な22歳のスプリンターと陸上との出会いはひょんなことからだったという。

「中学では生活用義足で普通に部活のバスケをやっていて、パラリンピックの存在自体も知りませんでした。そんな折、たまたま義足が壊れて修理工場に持っていったときにパラ陸上の第一人者として知られる山本篤選手の写真がロビーに飾ってあったのですが、その写真を見たときにふと、山本選手に自分は勝てるんじゃないかと思ったんです。今振り返るととんでもないですけれど(笑)、そこで競技用義足をつけて世界と戦う選手がいることを知り、自分もそういうふうになっていつかは山本選手を倒したいと強く思って高校から陸上部に入ったんです」

そこからわずか7 年余りで陸上のトップ選手となった彼。小学校時代から野球、サッカー、バスケと常にスポーツを続けてきたことが生きた。

「小さい頃はどこか障がいを逃げ道にしていましたが、2人の兄の影響で野球やサッカーと出会ったことで体を工夫すれば皆さんと同じように動けることに気づき、逃げずに挑戦する楽しみを知りました」

リオパラリンピックの前には一度挫折を味わうも、来年に迫った東京パラリンピック挑戦への大きなモチベーションになっているそうだ。

「初めてのパラリンピック出場への挑戦でしたが、0.4秒、標準記録を突破できず。悔しかったですし、たった0.4秒が陸上ではとても大きなタイムであることを実感しました。その教訓を生かして、今東京に向けて新たな気持ちで取り組んでいます。東京では得意の400mが行われないので100mと走り幅跳びで勝負したい。ただ東京が最終目標ではなく、パリ、ロサンゼルスまで出たいですし、競技と並行して取り組んでいるアジア地域での義足普及活動にもどんどん力を入れていきたいです」

【プロフィール】

池田樹生さん

いけだ・みきお●1996年12月16日生まれ、愛知県出身。175㎝・64㎏。右足のひざ下と右腕のひじから先、左手の指が2本ない先天性の障がいがありながら、小学校時代から少年野球やサッカーを経験し、中学校ではバスケ部に所属。高校からパラ陸上を始め、中京大学進学後の2016年にジャパンパラ大会の400mで57秒40の日本新記録を樹立。この春に大学を卒業し、拠点を東京に移す。義足の開発・普及活動にも積極的に携わる。