WRC2プロはチャンスなのか、腰かけか? 確かなのは、WRC2をプロとアマチュアで部門を分けるというFIAの大胆な計画は、プロ部門のエントリーレベルという点では今ひとつの滑り出しとなったことだ。しかし、チーム陣は徐々にプランを組み立ててい…

WRC2プロはチャンスなのか、腰かけか?

確かなのは、WRC2をプロとアマチュアで部門を分けるというFIAの大胆な計画は、プロ部門のエントリーレベルという点では今ひとつの滑り出しとなったことだ。しかし、チーム陣は徐々にプランを組み立てている。そんななか、Mスポーツのリチャード・ミルナーは、同チームの進捗状況を語ってくれた。

「選手権を分けることについては、当初から賛同していた。ラリーコミッションを通過する前から、我々はこの計画をプッシュしていた。プライベーターのWRC2コンペティターを、予算が豊富なライバルと戦わせるのはフェアではない。問題は、WRC2それ自体が成功したことの犠牲者となっているということだ。これだけ人気が高まったのだからね! 我々の業界としてはできる限り参戦台数が増えてほしいと思っているが、WRC2プロに関してはFIA、イベント主催者、WRCプロモーターからのプッシュが不足していると感じている」

「この新しいカテゴリーによって、レベルアップのためのステップがひとつ増えることになる。ポンタス・ティデマンドのように、WRC2でタイトルを獲った後、その次はWRカーを狙うしかなくなる。R5での生き方とWRカーでの生き方とでは、違いが大きすぎる。しかし、WRC2プロでマニュファクチャラーとともに活動すれば、その中でWRカーでテストをさせる機会を与えることもできる」

Mスポーツは今季、WRC2プロにルーカス・ピエニアチェクとガス・グリーンスミスのふたりをそれぞれ10戦参戦させる予定だ。
「我々は、彼らのラリー参戦に資金を与える立場にはない。したがって、ドライバーふたりはカスタマープログラムの形で我々のチームから参戦するが、我々も彼らを新しいR5マシンのテストや、ワークスドライバーが参加できない場合にフォードの活動に参加させることもできる。我々は彼らに、メインチームへステップアップできるドライバーになるかもしれないという期待をかけてチームに迎えている。どのワークスチームも、同じようにするべきだと私は考える。昨年、シトロエンがステファン・ルフェーブル、ヒュンダイがヤリ・フッツネンを走らせたようにね」

ピエニアチェクは、この後、シーズン後半に新型マシンでWRC2プロから参戦する。グリーンスミスのプログラムは、シーズンを通してまんべんなく分散しているような感じだ。
「ガスはアルゼンチンとチリに参戦するが、ルーカスは出ない。その後は、ほとんどのラリーでふたりが一緒に参戦する。新型R5の初ラリーは、フィンランドの予定。新型マシンのマーケティングはまだあまり行っていないが、現行マシンを所有しているカスタマーを中心にメールを送っており、すでに13〜14台分の前金を受け取っている。我々が目指しているのは、もちろんできる限り多くのマシンをプロデュースすること。この新型R5は完全に再設計を行い、あらゆるエリアの見直しを行った。エンジン、ボディシェルは強力なパフォーマンスを発揮する。新型マシンを軽量化、より近代化させるために、かなりの時間を費やした。サスペンションも変更し、ダンパーの設計もすべて変更。新型マシンはどの部分を見ても改良されている」
(Martin Holmes)