2019年4月3日、第91回センバツ高校野球大会決勝戦が行われ、東邦(愛知県)が6対0で習志野(千葉県)を下し、30年ぶ…

2019年4月3日、第91回センバツ高校野球大会決勝戦が行われ、東邦(愛知県)が6対0で習志野(千葉県)を下し、30年ぶり5度目の優勝を飾った。東邦は、平成元年の優勝に続いて平成最後の大会でも優勝。歴史に残る優勝旗を掲げ、初優勝を目指した習志野は涙を飲んだ。

習志野ナインを応援するパブリックビューイングが開催された習志野市役所では立ち見客も含め、約400人近い大応援団が集結し選手たちを後押しした。

習志野市役所で行われたパブリックビューイングの様子

パブリックビューイングの会場で習志野ナインを見守った、習志野市民の市角さんは「決勝の舞台まで来たんだから、ここまでこれたんだから。ありがとう!」と笑顔をみせながら選手たちを後押しした。

「習志野ナインの元気と気迫はこんなもんじゃないね、今日はおとなしかったかもしれない。夏だね、夏だ。夏に向けて元気だ習志野!(市角さん)」

優勝への階段は一歩及ばすの、習志野。初回からプロ注目の東邦・石川昂弥選手(3年)が攻守に渡り活躍し、苦しみながらも最後まで意地をみせた。5回途中から登板した習志野・飯塚脩人選手(3年)は試合終盤、暴投で一瞬乱れたものの立て直し、集中を切らさなかった。最後まで諦めず闘い続ける姿は、賞賛の声を集めた。

習志野高校・飯塚投手の祖父/伊藤房さんは「よく投げた、よくここまできた。優勝を目指して、夏に向かって頑張ってほしい」と習志野ナインを称えた。

試合後 メディアの取材に応じる飯塚選手の祖父/伊藤さん

星稜戦の激闘を甲子園の三塁側で見守ったという野球ファン・柏市の千葉さんは試合後、安堵の表情をみせた。

ドライバーの仕事を終え、夜勤明けで市役所へ駆けつけたという千葉さんによると「高校野球の魅力は語り出したら止まらないし、一回勝負じゃないですか、観てて感動する。凄い」とコメント、加えて「大人になると、何かに感動したり心揺さぶられて泣いたりすることは少ないじゃないですか。高校野球観戦は、本当に感動する。これからも応援を続けたいと思います(千葉さん)」

習志野ナインには「感動をありがとう、それしかない。ブラスバンドのメンバーにもありがとうが言いたい」とメッセージを贈り「また夏、頑張って欲しいです」と晴れやかな顔つきで高校野球の魅力も語ってくれた。

今大会は、2回戦の星稜戦で大会注目選手を打ち崩すなど2試合を逆転で勝利した習志野だったが、決勝の舞台では苦さを味わった。選抜大会出場は今大会で4度目、春夏通算12度目の甲子園。残念ながら悲願の優勝旗は、千葉へ持ち帰ることが出来ない。

決勝の甲子園で見た景色と苦い経験を糧に、習志野ナインは夏の甲子園を目指し、明日から新たな戦いが始まるのだ。閉会式の様子が映し出された習志野市役所では「習志野高校」の名前が呼ばれると、館内随所で大きな拍手が自然と沸き起こる。その拍手は、夏の大会を今か今かと楽しみにしているかのように鷺沼(さぎぬま)の空の下、いつまでもいつまでも鳴り響いていた。

取材・文/スポーツブル編集部