「原(辰徳)監督に1番と言われたので、思い切ってやろうと思います」巨人の1番・セカンドとして開幕を迎えた吉川 シーズ…
「原(辰徳)監督に1番と言われたので、思い切ってやろうと思います」

巨人の1番・セカンドとして開幕を迎えた吉川
シーズン開幕直前、巨人の1番を任された吉川尚輝はそう意気込みを語った。昨年は2番・セカンドとして92試合に出場。今年は侍ジャパンのメンバーにも名を連ね、プロ3年目の今シーズンは開幕から4試合で打率5割と好調なスタートを切るなど、さらなる飛躍が期待されている。
吉川は、甲子園や社会人野球でも活躍した父・好(このむ)氏の影響で、5歳のときに野球を始めた。中京高校(岐阜)では1年夏からレギュラーとして活躍。父のように甲子園の舞台を踏むことはできなかったが、中京学院大学に進学すると才能を開花させた。
1年春から攻守に渡ってチームの中核を成し、4年時に自身初となる日本一に輝く。個人でも首位打者や本塁打王などあらゆるタイトルを総なめにしたことで、名実ともに「大学ナンバーワンの内野手」と呼ばれるようになった。
吉川は野球選手に必要とされる、あらゆる能力を兼ね備えている。50m5秒7の脚力、強靭なパワー、どんなボールにも食らいついていくバットコントロール、そして、高い身体能力と技術を生かした守備。”走攻守”の三拍子が揃い、「プロで即戦力になる」と太鼓判を押された吉川を、巨人は2016年のドラフト1位で獲得した。
「これまでの2年を振り返ると、あっという間だったと感じています」
プロ1年目はケガによって出遅れ3軍のキャンプからスタートし、開幕を2軍で迎える。5月には待望の1軍デビューと初スタメンを果たすが即登録抹消となり、残りの大半を2軍で過ごした。それでも9月後半に1軍に再昇格すると、シーズン最終戦でプロ初安打(3安打1盗塁)を記録。1軍での出場は5試合にとどまったが、その後のキャンプでも好調を維持した。
そして2018年は「2番・セカンド」として開幕スタメンの座を勝ち取った。6月の打撃不振を乗り越え、7月には月間打率.371と大爆発したが……8月のDeNA戦で1、2塁間へゴロを放ち、一塁にヘッドスライディングをした際、左手首がベースに接触して骨折し登録抹消。前年を上回る92試合に出場して打率.253(80安打)の成績を残したものの、吉川は不本意な形で2018年シーズンを終えた。
「ケガをした後は、出遅れを取り戻すために『何とかアピールしたい』という気持ちでやっていました」
必死にリハビリとトレーニングに励み、10月23日にイースタンリーグで実戦に復帰。徐々に感覚が戻り、年明けのキャンプや紅白戦で調子を上げると、侍ジャパンに初選出された。
吉川は「僕みたいに実績のない選手を選んでくれたことは、すごくうれしかったですね」と控えめに振り返ったが、3月10日のメキシコ戦では1番・ショートで先発出場し、手堅い守備と2安打1盗塁の活躍で勝利を引き寄せた。
そんな吉川は、独自の視点から道具を選んでいる。広い守備範囲で際どい球も捕球するグラブは、「ボールをしっかり捕って投げたいので、(捕球するポイントが)深めなもの」を装着。スパイクに関しても、フィット感、クッション性、軽量性などにこだわる選手が多い中、「僕はそんなにこだわってはいないですね。自分にとってしっくりくる感覚を大切にしています」と語る。
プロ入り3年目の今シーズンに向けた意気込みを語る吉川
バットについても、新シーズンに向けて改良をしたようだ。
「バットは少し型を変えました。オフ期間中にバット工場に足を運び、重さを変えるなど工夫をしました。シーズン通して同じものを使う予定です」
手に入れた理想のバットで「しっかりと自分のスイングをして、芯で捉える」ことを意識し、昨年を上回る安打数を目指す。第3次原政権の新リードオフマンとしてのプレッシャーもあるだろうが、頼もしいチームメイトの存在が吉川を後押しする。
「自分の後ろにすごい選手がたくさん控えていますから、僕は『自分のやるべきことをやるだけ』と思って、いつも打席に入っています」
今年のチームは2番・坂本勇人、3番・丸佳浩、4番・岡本和真と強打者が控えているだけに、1番・吉川のチャンスメイクが勝利への大きなカギになる。ファンから「スピードスター」と言われることには少し照れを感じているようだが、「盗塁がすべてではなく、二塁を狙ってチャンスを広げること」を考え、「これ以上足が速くなることはないと思いますが、いかに次の塁まで無駄なく、速くいけるかを突き詰めたい」と意気込む。
守備についても、二遊間を組む坂本とポジショニングについて話し合い、試合中に移動するなどして連携を高めているという。巨人にとって長らく課題とされていたセカンドに吉川が定着すれば、投手陣にとっても心強いだろう。
今シーズンの活躍次第で、来年に控える東京五輪メンバー入りも見えてくるが、「先のことはわからないですし、目の前の試合に集中していくだけです。まずは1年間、一軍に残ってチームに貢献することですね」と言うように、シーズンを通して戦い抜くことが当面の目標だ。
「いい緊張感の中でオープン戦を戦えましたし、あとは1日1日をチームの勝ちにこだわってやっていければと思っています。自分のプレーをファンのみなさんに観てもらい、チームとしては優勝できるように頑張りたいです」
日に日に高まる周囲の期待を背に、飛躍を誓った吉川。巨人のリーグ優勝、7年ぶりとなる日本一の奪還へ、若きスピードスターはシーズンを駆け抜ける。