カナダ・モントリオールで開催されている「ロジャーズ・カップ」(WTAプレミア5/カナダ・モントリオール/7月25~31日/賞金総額271万4413ドル/ハードコート)の女子シングルス1回戦で、ユージェニー・ブシャール(カナダ)が劇的な勝…

 カナダ・モントリオールで開催されている「ロジャーズ・カップ」(WTAプレミア5/カナダ・モントリオール/7月25~31日/賞金総額271万4413ドル/ハードコート)の女子シングルス1回戦で、ユージェニー・ブシャール(カナダ)が劇的な勝利を挙げ、地元のファンたちとふたたび心を通わせた。

 ブシャールは、ランキングで格上のルーシー・サファロバ(チェコ)を6-3 3-6 7-6(3)で下した。しかし、キャロル・ツァオ(カナダ)と組んでストレートで敗れたダブルスでは、試合を通し腹痛に苦しめられていた。  おかげでブシャールは試合後の記者会見に応じることができず、コーチのニック・サビアノとフェドカップ監督のシルバン・ブルノーが代わりに出席した。

 「コートから出てきた彼女は、胃にかなりの不快感を訴えた」とサビアノは言った。「深刻な病などでないことはわかっているが、今は非常に気分が悪く、話しに出てくることができない。明日までにはよくなっていることだろう。目的は、彼女が100%の状態で戦うためのチャンスを持てるよう手を尽くすということであり、きっとそうできると信じている」。  ブシャールは同様の問題に苦しめられた、この日2人目の選手だった。第3シードのガルビネ・ムグルッサ(スペイン)も、胃の問題から棄権を強いられた。サビアノは、この2つのケースが関係しているかは定かではないと言った。  ユニプリックス・スタジアムに詰めかけた観客は、サファロバに対するフルセットの戦いを通し、ブシャールを応援し続けた。41位のブシャールに対し、サファロバは28位----つまり試合前の勝利の有力候補はサファロバのほうだった。  ブシャールがタイブレーク1-3の劣勢から6ポイントを連取し、サファロバのこの試合10度目のダブルフォールトで勝利をつかむと、観客席は歓喜の叫びで溢れた。

 ウィンブルドンで準優勝し、世界5位に浮上した輝かしき2014年シーズンのあと、このところのブシャールは地元ファンとのつながりを失っていたことで非難されていた。先週のワシントン1回戦で敗れたあとに、故郷で熱狂しながら待つファンの元に向かう代わりに、アメリカの首都で美術館を訪れたいと言ったことも、よく受け取られなかった。  もっともブシャールは気持ちを変えたに違いない。というのも彼女はすぐにカナダに戻ってファンとの交流イベントに参加しただけでなく、リオ五輪に出るのか出ないのか煮えきらなかった優柔不断にも終止符を打った。そして、今回センターコートで、このスリルに満ちた予想外の勝利を引き出したのである。  ブシャールは水曜日のナイトマッチに組まれている2回戦で、第11シードのドミニカ・チブルコワ(スロバキア)と対戦する。チブルコワは、予選勝者のマリアナ・デュケ マリノ(コロンビア)を6-2 6-2で下して勝ち上がった。  反対に、ワイルドカード(主催者推薦)で出場したアレクサンドラ・ウォズニアク(カナダ)にとって、ことはいい方向に進まなかった。彼女はサラ・エラーニ(イタリア)と1回戦を戦い、4-6 6-7(4)で敗れた。  世界ランキング25位のエラーニは、先週のスウェーデン・バスタッドの大会で準々決勝に進出している。

 第1セットを取り、第2セットでも4-2とリードしていたエラーニだが、そこからウォズニアクが巻き返し、勝負はタイブレークに持ち込まれた。  2009年に世界21位だったウォズニアクは、大きな肩の手術を含む数々の故障のせいで465位にまで滑り落ちた。先週のワシントンの大会でもジェシカ・ペグラ(アメリカ)に敗れていた彼女は、2週連続で1回戦負けを喫したことになる。それでもウォズニアクは、「非常に競った試合だったと思う。それも相手は世界25位の選手だったのだから」と悪びれずに言った。

 「私はいいプレーをしたと思う。形勢を逆転させるチャンスも手にしていた。でも、これまでの高いレベルのプレーをできないでいた長い年月のあとに、前進し、いいパフォーマンスをすることができてうれしいわ」  エラーニの2回戦の相手は、第14シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)だ。プリスコバは、予選勝者のカテリーナ・ボンダレンコ(ウクライナ)を3-6 6-2 7-5で下して勝ち上がった。 (C)AP