日本対ボリビア戦、香川真司(ベシクタシュ)が地元の神戸で久々に先発出場した。キャプテンマークを巻いてひときわ大きな声援…
日本対ボリビア戦、香川真司(ベシクタシュ)が地元の神戸で久々に先発出場した。キャプテンマークを巻いてひときわ大きな声援を浴びてピッチに登場したが、そのプレーは期待どおりとはいかなかった。
香川が退いた直後に中島翔哉(アル・ドゥハイル)、堂安律(フローニンゲン)、南野拓実(ザルツブルク)という森保ジャパンおなじみの3枚が揃うと、それまでの停滞ムードは一変。相手のミスを起点に中島のゴールが決まり、それが決勝点となった。相手が疲れてきた時間帯に前線が一気に変われば流れは変わるものだが、それを差し引いても、変化は明らかだった。
ボリビア戦にトップ下で先発、後半23分までプレーした香川真司
日本代表においても、香川はドルトムントで直面していた問題と、ほぼ同じ状態に置かれているように見える。周囲のスピードをどう生かしていくのか、また自分がどう生かされるべきなのか、プレーをとおして見えてこないのだ。
ドルトムント時代に、スピードが持ち味のピエール・エメリク・オーバメヤン、ヘンリク・ムヒタリアン(現在はともにアーセナル)とプレーしていた時期に始まり、最近ではクリスティアン・プリシッチ、ジェイドン・サンチョ、マルコ・ロイスらとの共存に苦労した。香川が出場して攻撃の中心になっている時間帯は、緩やかにパスをつないでいるだけに見える。迫力がなく、ゴールになかなか向かうことがない。
このボリビア戦も、香川のシュートはゼロだった。
ドルトムントでも、決してずっとうまくいかなかったわけではない。昨季のシーズン後半などは、ドルトムントの浮沈は、ピッチに香川が存在するかどうかによって左右されていた。監督交代とともに香川が重用されるようになるとチームの状態は上向きになり、香川が負傷して出場できなくなってからは停滞した。
何が違うのかといえば、布陣だ。昨季後半のドルトムントは4-3-3で、香川は中盤の3枚に入ることが多かった。中盤でプレーすることで、自身がしゃにむにゴール前に入るのではなく、前線の3枚を生かす意識が強くなる。中盤3枚のうち1枚は守備的な選手が入るから、そこまで守備に強く意識を割く必要もない。味方のスピードを生かすことができた。
ひたすら縦に一辺倒の速いサッカーのなかで、香川のような、キープ力があって時間を作れる中盤の選手が重要になるということは、むしろ香川不在の試合で実感することができた。香川自身がゴール前に入る回数は少なくなるが、それはもう仕方のないことだと納得できるポジションだった。
香川がドイツで頭角を現した頃は、細かいドリブルでスピード感たっぷりに相手守備陣を切り裂き、シュートで終わるプレーが真骨頂だった。時には遠目から思い切りのいいシュートも見せていた。
ところがボリビア戦でトップ下に入った香川は、そんなプレーを見せるわけでもなく、ただ中盤の低い位置でのボール回しに終始することになった。初めて一緒にプレーする若い選手たちのなかで苦戦するのもわかるが、周囲を凌駕する圧倒的な経験を見せることもできなかった。
年齢を重ねていくなかで、プレースタイルが変化していくのは自然なことだろう。かつて攻撃的MFだった長谷部誠(フランクフルト)だって、今やリベロでプレーしている。
自分のポジションは自分で決めることができるものではない。それでも、自分のプレースタイルを見直し、どういうプレーをしていくべきなのか、スタイルの変化も受け入れなくてはいけないだろう。そのことが香川にとって、欧州においてだけでなく、日本代表でも必要だということだ。
2022年にもう一度W杯に出場したいというのが、香川の今の大きな目標であり、モチベーションになっている。そう考えると、ほろ苦い第一歩だった。