写真:ハン・イン(トップおとめピンポンズ名古屋)/撮影:ラリーズ編集部Tリーグのファーストシーズンが終わった。国内外から有力選手が集結し、凌ぎを削った約半年間。待望の卓球新リーグは、選手たちの目に、どのように映っただろうか。トップおとめピン…

写真:ハン・イン(トップおとめピンポンズ名古屋)/撮影:ラリーズ編集部

Tリーグのファーストシーズンが終わった。国内外から有力選手が集結し、凌ぎを削った約半年間。待望の卓球新リーグは、選手たちの目に、どのように映っただろうか。

トップおとめピンポンズ名古屋(以下、TOP名古屋)のハン・インは、中国出身・ドイツの代表選手であり、世界屈指のカットマンとして名高い。

リオオリンピックでは、ドイツ代表のエースとして、団体戦の準決勝で日本と激突。2-2で迎えた第5試合、福原愛との激闘をフルゲームで制し、ドイツを銀メダルに導いた。さらに、シングルスも8強入りという功績を残している。

そんな日本とも縁の深い強豪選手ハン・インに、Tリーグファーストシーズンが終わった今、あらためて卓球選手としてのルーツ、そしてTリーグ参戦にかけた思いを聞いた。

銀メダルへの道のり支えた「勝つ喜び」

――卓球を始められたきっかけについて教えてください。

子どものころ体が丈夫ではなかったので、体を鍛えるため、何かスポーツをしたくて始めました。始めたのは5歳の時です。本格的にやり始めたのは、小学校の友達に卓球のプロを目指している子がいて、自分も目指そうと思ったから。卓球自体は好きだったので、8、9歳くらいから本気になりました。

――卓球が楽しいのはどんな時ですか?

色々ありますけど、やっぱり試合で勝ったときが一番うれしいですよね。今も昔もそれは変わりません。

――初めて試合に勝ったときのことを覚えていますか?

初めて勝ったのは6歳で、小学生になる前でした。このとき市の大会で優勝して、以来、もっともっとレベルの高い大会に出場したいとか、いろんな選手と戦いたいと思うようになりました。それから今までずっと、変わらない気持ちで卓球を続けています。

――勝つ喜びをモチベーションに強くなり、リオデジャネイロオリンピックでは団体で銀メダルにも輝きましたね。準決勝では日本と対決し、勝利しました。

はい。2016年のリオオリンピックで日本と対戦し、2対2の状況で福原愛さんと試合をして勝ったことは、今までの試合の中で一番印象に残っています。一番自分の成績がよかった時でもあります。

「日本初の卓球プロリーグ」にかけた思い




写真:ハン・イン(左)とソ・ヒョウォン(トップおとめピンポンズ名古屋)/撮影:ラリーズ編集部

――そんな世界的有名選手であるハン選手が、Tリーグに興味をもったきっかけは何だったのでしょうか?

Tリーグが始まる前からTリーグについては聞いていました。日本のスポーツイベントやリーグ運営の体制は、細かいところまで行き届いていて選手にも良くしてくれますし、日本のレベルの高い選手が集まっているので、自分のレベルを試したくて参戦しました。

――なるほど、日本のリーグ運営への視点を聞くのは新鮮です。他に、ハン選手からみて、Tリーグと他国のリーグの違いはありますか?

試合の仕方でいうと、Tリーグは他国のリーグと比べるとまだチームが少ないため、一人の選手と当たる回数が多いですね。試合以外の話でいうと、日本は宣伝や広告にとても力を入れていると思います。海外、たとえば中国でも、インターネットを通してTリーグの広告を目にすることは多いですから。

――ここから拡大と発展をしていくTリーグならではの特色ですね。日本とは関わりの強いハン・イン選手ですが、世界の中で好きな国をあげるとしたら、どこでしょう?

やはり中国、ドイツ、日本に愛着があります。日本については3年前、夫からジャパンオープン(ライオン卓球ジャパンオープン荻村杯)に出るように勧められて、出場したこともあります。日本と関わりのある友人も何人かいて、馴染みがあります。またドイツには、夫と同じスポーツチームに所属しナショナルチームのコーチを務めていた友人がいます。

――ジャパンオープン出場は2017年のことですね、ハン・イン選手は3位に輝きました。卓球以外では、日本という国にどんなイメージを持っていますか?

日本は温かくて小さい国、という印象です。日本で好きな食べ物は、焼き肉です。日本には、好きな曲もたくさんあります。あと、木村拓哉さんが好きです(笑)

――日本の好きなところを沢山ありがとうございます。日本にもハン・イン選手のファンはとても多いです。Tリーグはファーストシーズンを終えましたが、2019年はどういった目標を持っていますか?

2020年オリンピックがあるので、そこに向けて自分のコンディションを持っていくのが一番の目標です。コンディションを高めて、結果を残すこと。課題としては、カットマンという戦型は守備がメインになるため、攻めようという意識が不足しがちなことです。なので、もう少し攻めることを心がけたいですね。

最後は「ファンの皆さん、TOP名古屋と私の応援をよろしくお願いします!」とインタビューを締めくくってくれた。TOP名古屋というTリーグの中でも国際色ゆたかなチームの中で、多彩な選手と切磋琢磨しオリンピックも見据えるハン・イン。「勝つ喜び」を糧に成長を続けるハン・インなら、これからも多くの「勝利の瞬間」を、私たちに届けてくれるだろう。

文:大塚沙央里(ラリーズ編集部)