写真:GO/提供:GO

今の自分ってどうやって出来たんだろう。
たまにはコーヒーでも飲みながら
過去を振り返る時間があっても良いかも。
0歳から100歳までのリアルトーク企画。
今回のゲストは高校生デザイナーの泉田剛さん。

◼#17歳の自分とは

「いつだって“今”が一番楽しい。一番の贅沢は悩むこと。」

平日夜、PC画面を通して本土最北端に位置する青森県と繋がった。画面に映るGOの姿はその年齢通りのあどけなさを含みながらも、どこか落ち着いている独特の雰囲気を持っていた。一般的な思春期特有の直感的な感受性とはまた別に、”思考”や”視点”で物事を捉えることに夢中な17歳。日常の景色が常に新鮮に映る魅惑の世界に迷い込んだ、高校生クリエイターGOの思考回路を紐解く。




写真:GO/提供:GO

青森県で高校生ながらデザイナーとして仕事もしているGO。そのきっかけは幼少より母と一緒に描いていた絵だと言う。小学生でコロコロコミックの中の好きな漫画を端から端まで模写をして漫画家を夢見たり、美術の工作が大好きだったりと、アートやデザインに熱中する少年だった。だが、時間を忘れるほど熱中して描いた絵が作品としてなかなか評価されないことに、くすぶってもいた。自信があるから尚更だったと彼は言うが、驚くのは小学生で“評価”にこだわっていたこと、そしてその悔しさを放置できなかったという彼の姿勢だ。

GOの場合、悔しさの反動はすぐに思考の転換につながった。

中学校では行事のたびに何かしら制作する役回りをしていたGO。小学生の頃に気ままにに描いていた絵とは異なり、目的を持つモノにデザインを施すようになっていた。印象的なエピソードとして学級旗の話がある。他クラスが「青春」という文字や人気キャラクターなど、各々が好きな文字や絵を採用する中、GOの思考の起点は「旗」そのものの役割だった。どんな機能と役割がそれに潜んでいるのかを分析し、自分のクラスを象徴するモノを考えた。加えて視認性を高めるのため複雑な図を避けデザインした。こうして「デザインの因数分解」にたどり着いたGOは「これがデザインが持つ役割なんだ」と発見したと言う。悔しさから生まれた新しい視点の発見は、徐々に欲しかった評価へと繋がり、少しずつ確信に変わったと話す。




写真:GO/提供:GO

フィードバックがない中で成長意欲を持ち続けるのは難しい。なぜなら試行錯誤と言う名の暗中模索を課されているように感じるからだ。GOの場合、高校生という立場に身を置きながら、商業デザインを模索し続けるのは至難の業だろう。しかしGOは、そんな中でも目的を見失わず、むしろ執着心を頼りにデザインの腕を磨いていた。

重要なのは、視点の転換と、相手に合わせてスピーディーに自らを変化させる力だ。17歳のGOは、それが暗中の光だと知っている。見極め、変化していくこと。そんなふうに光をたぐる感覚が、間違いではなかったと実感したのは2018年4月。月額5,500円のオンラインサロン「前田デザイン室」に、1ヶ月だけという自分との約束で参加した時のことだ。あるプロジェクトに欠員が出て、代わりのデザイナーを探す募集を見かけた。ごちゃごちゃと考える前に体が動いていた。




写真:GOの手掛けたデザイン/提供:GO
お年玉を崩して買った真新しいマックブックに、体験版のphotoshopを入れ、ググりながら使い方を調べた。夢中でデザインを続けるその頭の中には、誰よりも先に提出せねばという焦りとチャンスへの期待感しかなかった。その結果、なんと作品は即日提出された。変なフィルターを避けるために「高校生」であることは言わず、「自分の」デザインを提出した。2018年6月、GOが共作者として担当したその商品が発売され、そして完売した。

GOが最も感謝しているのはインターネットだ。膨大な情報を手に入れるのに資格も経験もプロセスも必要ない。インターネットはGOに選択肢を与え、繋がりを作り、実績を生んだ。表面的に見れば現代っ子と言われるかもしれない。けれど実際はもっと泥臭く、抑えがたい興味に従って素直に行動した結果、GOはチャンスを掴んだのだ。今こうしている間にも、GOはインターネットを介して遠くの世界の大きなプロジェクトに巡り合っているかもしれない。

◼#as a player

「色んな温度感で卓球にぶつかった。でも今の付き合い方が一番自分に合っている」

彼の卓球経歴はとても素直で面白い。というのはその都度興味興味の赴くままに卓球との付き合い方が変化している。デザイン同様、決して自分の視点を縛らない。

卓球は小学校4年生の時に出会った。きっかけは父も昔、小学校で卓球をやっていたと聞いたことだった。だが最終的な入部動機はいたって年齢相応で健全である。野球やサッカーなど既に経験者と差がついてしまっているスポーツを避けて、仲が良い友達と一緒に卓球クラブへの入部を決めた。そのためクラブ活動中心というよりは、友達とカードゲームや外で遊ぶのを楽しみにしていた。「友達と楽しく過ごすこと」が何よりも大事な時期ならではの距離感だった。




写真:GO/提供:GO
一方中学校時代は、本気で全国に行くことを目指す熱い卓球部長になっていた。そこでは色々な壁に打ち当たった。当時のGOは思春期ど真ん中。自薦で部長になったが、自分がチームで一番強いわけではないことや、人の上に立ちながらも「伝える」ことの難しさなどに思い悩んだ時期だった。ただGOはこの時期を、「一番熱中し楽しかった時期」だと話す。それには、卓球が強くて格好良い憧れの先輩と、トライ&エラーを一緒に繰り返してくれるコーチの存在が大きかった。選手として、リーダーとして、中学生ながら様々な視点で自分を客観的に見ることを鍛えられた。この葛藤の日々をポジティブな経験として理解する彼の知性は、その外見からは決して計り知ることはできない。

現在高校3年生。美術部と兼部して卓球部にも週に3度ほど顔を出す。足が向くのは中学時代の名残だ。当時の圧倒的練習量はそう簡単には卓球を忘れさせない。ただ当時と異なるのは、毎回新鮮な気持ちで球を追っているという気持ちの軽さだ。もちろん試合に出れば勝ちたいと思う。だが今のGOは自分の熱を一点に集中できないほど、いくつもの関心事を持つ。現に、GOのtwitterなどの発信を見ると、モノのデザインに限らず、建築、教育、経営など多くの分野にアンテナを張っていることが分かる。そして、自らの興味関心の広さを、「贅沢」だと解釈する彼は、やはり年齢よりいくぶん大人びて見える。




写真:GO/提供:GO

それにしても、建築の勉強、作画にデザイン、さらに多彩な分野への興味に突き動かされ、選択肢がありすぎる将来への期待感ー。「早く大人になりたい。1日24時間では全然足りない」と話すGOの姿は、「今」という儚く貴重な時間を理解し、楽しみ尽くそうと全力で懸けていく少年なのかもしれない。

Fin.

文:HARU(ラリーズ編集部)