敵将も認めるアグレッシブなプレーで三河を撃破

三遠ネオフェニックスは先週末に行われたシーホース三河との『愛知ダービー』に連勝した。特に第2戦は、藤田弘輝ヘッドコーチが「攻守にわたってフェニックスらしい良いバスケットができた」と振り返る出来で、オフェンスでは7人の日本人選手が4得点以上を挙げている。

その中でも出色の出来だったのが鈴木達也だ。パスを散らしつつ自らもリングにアタックし続け、日本人トップの15得点、さらには6アシスト2スティールと躍動した。それでも本人は「チームのルールを守り、インサイド陣が我慢して、ディフェンスの遂行力が一番良かった」と、ディフェンスの勝利であることを強調する。

3月13日に敵地で対戦した時は金丸晃輔に33得点、岡田侑大に22得点を許し、逆転負けを喫していた。「相手の起点は金丸選手と岡田選手のウイング。アウェーで試合をした時はかなり点数を取られたので、そこだけは抑えたかった」と言うように、川嶋勇人を中心に、常にフェイスガードで自由にさせず、2人合わせて23点に封じた。

80-66というスコアが示す通り、ディフェンスの勝利であることは間違いない。だが、勝負を分けたのは鈴木のパフォーマンスによるものが大きい。事実、三河の鈴木貴美一ヘッドコーチも「ポイントガードのところで振り回されてしまった」と敗因を語っている。「今日は相手のガードに攻められた。鈴木君と寺園(脩斗)君は、パスの出しどころがない時に、常に『じゃあ俺がやるぞ』という気持ちで、結果26点。1番のところで攻められた」

藤田ヘッドコーチ「もうワンステップアップする」

鈴木はピック&ロールの際、ボールを失わないよう身体を当てつつ、ペイントエリアに侵入し、ヘルプが寄ったらパスをさばいて、オフェンス優位の状況を多く作った。また、一瞬の隙を逃さずドライブからフィニッシュまで持っていくスピードと強さも併せ持ち、藤田ヘッドコーチもこう称賛している。

「3年間一緒にやってますが、もうワンステップアップするなと思っています。彼がもともと持っていたパスの良いものに加え、自分で点数を取るという感覚をつかみつつある。篠山(竜青)選手や富樫(勇樹)選手だったり、日本の代表クラスは自分でも点数が取れるので、鈴木選手はそこに近づいていけるきっかけをつかんだと思う」

実際、鈴木もそのような感覚をつかんでいるという。「パスを繋ぐことを求められる時間帯はそれをやるのが大前提で、自分からチャンスを作っていきたいという、得点を匂わせるプレーをしていきたい気持ちが芽生えてきました。感覚はつかめてきているし、まだ発展途上、成長できると信じてやっている途中です」

感覚をつかむきっかけは特になかったと鈴木は言うが、「スキルコーチと練習していて、自分の中でピンとくる、タッチが合う瞬間が感覚的にあって、そこから毎日練習しています」と、日々の努力を積み重ねた結果のようだ。

また、この試合では、控えの寺園もアグレッシブさ全開のプレーで11得点4アシストと、鈴木に迫る活躍を見せた。「彼は与えられた時間の中で、本当に良いプレーをしてくれてる」と称えつつも、「スタートで出ている僕としては、それに劣るようなことがあってはいけない。そこの責任とプライドは持ち合わせています」と、互いを刺激し合っている。

「ブースターの気持ちを力に変えてやるだけです」

三遠は今回の勝利で20勝29敗。現在ワイルドカード2位でのチャンピオンシップ進出ラインにいる、富山グラウジーズとは6ゲーム差だ。決して簡単に覆るようなゲーム差ではない。それでも鈴木は「残りの全試合に勝つ可能性は本当にあると思う」と、希望を捨てていない。

それは、現在のチームに自信を持っているからだ。「セドリックが入ってきてから、本当の意味でインサイドに核ができました。彼のディフェンス面とピック&ロールでの貢献は非常に高いです。中の軸ができたことで、外の人間がよりアグレッシブに、やりたいことを責任持ってできるようになったのは一つの大きなポイントです」

『三河ダービー』ということもあり、24日の試合には、豊橋市総合体育館で過去最多となる3638人のファンが詰めかけた。だが、「僕らのチームは観客動員が下のほうという現実がある」と鈴木が認めるように、集客で苦戦しているのも事実。だからこそ、今回のような魅力的なパフォーマンスを継続することが大切で、鈴木は前だけを見つめる。

「こうやってお客さんがいっぱい来てくださった時に、楽しいバスケを見せて、結果を出すことによって、新しいお客さんが増えたりリピーターが増えたりすると思います。期待してくれているブースターの気持ちも受け取って、力に変えてやるだけです。一緒に戦っていきたい」