カナダ・トロントで開催されている「ロジャーズ・カップ」(ATP1000/7月25~31日/賞金総額408万9740ドル/ハードコート)の男子シングルス1回戦で、デニス・シャポバロフ(カナダ)が第11シードのニック・キリオス(オーストラリ…

 カナダ・トロントで開催されている「ロジャーズ・カップ」(ATP1000/7月25~31日/賞金総額408万9740ドル/ハードコート)の男子シングルス1回戦で、デニス・シャポバロフ(カナダ)が第11シードのニック・キリオス(オーストラリア)を7-6(2) 3-6 6-3で倒す番狂わせを演じた。

 シャポバロフは試合後、自分が勝つとは予想していなかった、と言っている。地元の観客の大声援に支えられたシャポバロフは、世界19位のキリオスのアンフォーストエラーから勝利を導き出した。  ワイルドカード(主催者推薦)で出場した世界370位の17歳、シャポバロフは、今月上旬のウィンブルドン・ジュニアの男子シングルスでタイトルを獲ったばかり。今大会の出場者の中で最年少の彼は、次の2回戦でグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)と対戦する。ディミトロフは1回戦で日本の杉田祐一(三菱電機)を5-7 7-6(5) 6-4で破っている。  シャポバロフは、大きな舞台でプレーするのが好きだという理由から、本戦デビュー戦をセンターコートで戦いたいとリクエストしたのだという。 「センターコートの雰囲気が今日、僕を前に進ませてくれたんだ」とシャポバロフ。彼の家族たちは観客席から、彼の晴れの初舞台を見守っていた。

 「初めてセンターコートでプレーするというのはタフなことだけど、でも試合の終わりまでには、僕が燃え上がっていいプレーをしているときに観客たちがすごく喜んでくれていることを感じたよ」  シャポバロフは第2ゲームでブレークを果たし、2-0とリードを奪った第3セットで観客たちを熱狂させる。その勢いを第3ゲームに持ち込んだ彼は、この試合11本目のエースを叩き込むと3-0とリードを広げた。

 最終ゲームとなった5-3からのサービスゲームはデュースにもつれ込んだが、シャポバロフはサービスエースによってアドバンテージを奪うと、フォアハンドクロスでウィナーを決め、試合をものにした。  キリオスの困難はサービスライン上で始まった。彼はこの試合でなんと18本ものダブルフォールトを記録したのだ。  「僕はただ、いいプレーをしていなかった。そして、彼はいいプレーをしていたよ」とキリオス。「明らかに、母国の観客の前でプレーしていることで彼は興奮していたね。それがどんな気分かは、僕にもわかる。ジュニア最高の成績を挙げたばかりのときに、母国の大きな大会のひとつでプレーする。それがどんな気分がするものかは知っている、そりゃあ素晴らしいものさ」。  シャポバロフは最初、ややナーバスになっているように見えたが、それから落ち着くことに成功した。彼はサービスエースを決め、第1セットの第1ゲームを先取。サービスでキリオスを圧倒し、タイブレークを7-2で制して第1セットを取った。シャポバロフの左腕から繰り出される強烈なサービスは、キリオスが対処しきれないものだった。そしてシャポバロフはその勢いを第2セットにも持ち込んだ。  しかし第2セットでは、第2ゲームでシャポバロフのサービスをブレークしたキリオスのほうが試合をコントロール下に置き始める。シャポバロフは次のゲームですぐにブレークバックしたが、キリオスも揺るがず、5-3からふたたびブレークを果たしてセットを取った。  シャポバロフは、敗れたキリオスが非常に礼儀正しく、敬意を示してくれたことを強調した。一方のキリオスは、試合後もシャポバロフのことを称え続けた。  「彼の未来にはトップ100に進むための長い道のりが待っている。でも、彼は迅速にそこに進むだろうということは間違いないよ」とキリオス。  この試合は地元カナダ勢が挙げた3つの勝利のうちの1つだった。トロントのスティーブン・ディエズはカイル・エドマンド(イギリス)を3-6 6-3 6-2で、オンタリオのピーター・ポランスキーは予選を勝ち上がったティム・スマイチェク(アメリカ)を4-6 6-3 6-0で倒し、2回戦に駒を進めた。第4シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)は、1回戦がBYE(免除)のため、2回戦から登場する。  シャポバロフは1回戦の勝利を少しは祝うが、もっとも大事なことは次の試合に向けての準備だと言った。  「勝ってこうもうれしかったのは初めてのことじゃない」とシャポバロフ。「(ジュニア)ウィンブルドンの準決勝で、僕は敗戦まであと2ポイントというところまでいったけれど、そこから挽回した。あのときも同じくらいうれしかったよ。でも、大会はまだ終わっていない。ニックに対する勝利は大会後に祝うこともできる。今はディミトロフ戦に気持ちを集中させるよ」。(C)AP