日本代表にとっては、アジアカップ以来、約1カ月半ぶりの試合である。 決勝まで駒を進めたとはいえ、アジアカップでの試…
日本代表にとっては、アジアカップ以来、約1カ月半ぶりの試合である。
決勝まで駒を進めたとはいえ、アジアカップでの試合内容は、おおむね芳しいものではなかった。昨秋、森保一監督が就任し、いきなり親善試合3連勝(トータル4勝1分け)でスタートした当時の勢いは失われていた。
それだけに今回のコロンビア戦は、どういう形でアジアカップ後のリスタートを切るのかを興味深く見ていたが、前半こそ昨秋を思い出させるような、いいリズムで試合を進めたものの、逆に後半は押し込まれる時間が続き、結果、0-1で敗れた。
キャプテンを務めたMF柴崎岳(ヘタフェ)は、「前から(守備に)行くのは悪くない。それがハマっている部分はあった」と振り返りつつも、後半に入ると、「選手の距離感が、前半より広くなった。自分たちの(プレーの)強度が落ちたところはある」と語り、こう続けた。
「前半の強度を(後半も)継続していかないといけない。(ゴール前で守備をする)最終局面になると、(W杯の)ベルギー戦のように、どうしても今は脆いところがある。なるべく高い位置でボールを奪いたい。それを11人が続けられる強度を持つ必要がある」
柴崎の言うとおりだろう。
前半は、チーム全体がコンパクトな状態を保つことで、常にボールにプレッシャーをかけ続けられたため、中盤でボールを奪い、そのままの勢いで一気に攻め切ることができていた。
しかし、後半に入ると、ボールの出どころを抑えられなくなり、DFが自陣ゴールに向かってプレーさせられることが多くなった。
シュートブロックがハンドとなり、PKを与えってしまった失点自体は、確かに不運な部分もあった。だが、「失点の場面だけにフォーカスされがちだが、前兆はあった」と柴崎。そこに至る試合の流れを考えれば、生まれるべくして生まれた失点とも言えるだろう。
前半の流れが悪くなかっただけに、後半の試合の入りが緩んでしまったのか。あるいは、選手交代も含め、修正を加えてきたコロンビアに対応できなかったのか。
いずれにしても、前半に比べ、後半の試合内容が悪化したのは間違いない。さらに言えば、前半の内容にしても、昨秋のコスタリカ戦やウルグアイ戦などに比べれば、粗さが目立った。2列目の南野拓実(ザルツブルク)、堂安律(フローニンゲン)、中島翔哉(アル・ドゥハイル)といった顔ぶれもすでに見慣れ、新鮮さが失われた面はあるにしても、物足りなさを感じたのは確かだ。
とはいえ、2022年W杯本番を見据えれば、先はまだ長い。結果的に思うような成果が得られなかったとしても、現段階でいろんなことを試してみるのは、悪いことではない。
その点で言えば、意味のある試合だったのではないだろうか。
アジアカップでは、采配に疑問を感じることも多かった森保監督だが、就任以来、全般的には可能性のありそうな選手を幅広く選び、使っている。そんな印象は、コロンビア戦でも変わることはなかった。
今回の日本代表メンバーにしても、すでに実力がわかっているDF吉田麻也(サウサンプトン)、DF酒井宏樹(マルセイユ)といった実績のある選手を外す一方で、DF畠中慎之輔(横浜F・マリノス)、DF安西幸輝(鹿島アントラーズ)といった、Jリーグで好パフォーマンスを見せる新顔を加えている。
また、W杯以来の選出となったMF香川真司(ベシクタシュ)にしても、同様に所属クラブであまり試合に出られていない柴崎が選ばれ続けていることを考えれば、もっと早く呼ばれていても不思議はなかったが、移籍を決断したタイミングで満を持して招集された。
日本代表での実績があるからと特別扱いはしないが、簡単に見限りもしない。選手の自尊心をくすぐりながら、うまく日本代表候補選手のパイを広げている印象だ。
コロンビア戦では、FW大迫勇也(ブレーメン)頼みが著しい1トップで、FW鈴木武蔵(コンサドーレ札幌)、FW鎌田大地(シント・トロイデン)といった新戦力を試すだけでなく、トップ下が定位置だった南野を1トップで起用し、トップ下に香川を入れる、実質”ゼロトップ”とでも言うべき新布陣にもトライしている。
率直に言えば、新戦力も新布陣もさしたる成果は挙げられなかったが、やってみることは悪いことではないし、理にかなっている。結果的に空振りに終わっても、それを続けていくことに意味がある。
実際、そうやって選手の入れ替えを繰り返すからこそ、見えてくることもある。
例えば、攻撃面においては、南野や堂安と比べても、中島が際立った存在になりつつあること。同様に守備面では、吉田やDF昌子源(トゥールーズ)と比べても、DF冨安健洋(シント・トロイデン)が際立った存在になりつつあることだ。
W杯ロシア大会以前には、ほとんど日本代表と関わりがなかった若い選手が、新チームの立ち上げからわずか半年ほどで、その地位を着々と高めているのである。

代表での存在感を高めている中島翔哉
もちろん、見えてくるのは、いいことばかりではない。
ポスト大迫がなかなか見つからないことは言うまでもなく、右サイドバックでは酒井、左サイドバックではDF長友佑都(ガラタサライ)というW杯時の主力が、依然として中心的存在であり、彼らに続く選手との差は大きい。とりわけ左利きの左サイドバック不足という問題は、かなり深刻だ。それはGKも同様で、これまでに何人も試しているが、そもそも核となる選手が見つかっていない。
だが、身もふたもない言い方をすれば、それらは日本代表だけで解決できる問題ではない。Jリーグを中心に、優れた人材を育てていくことでしか、根本的な問題の解決は図れないのである。
だとすれば、すでに実績があり、実力がわかっている選手を固定して起用し続けるよりも、多くの新戦力を招集し、国際試合で刺激を与えていくほうが、日本代表の姿勢としては前向きだ。どこかで”掘り出し物”が見つかる可能性もある。
森保監督就任後、初のタイトルマッチとなったアジアカップまでをチーム作りの第一段階とするならば、ここからが第二段階。アジアカップで少なからず感じた停滞感を引きずることなく、日本代表は次のステップに踏み出したように見える。
できることなら、次のボリビア戦では、新戦力や新布陣にもう少し長い時間が与えられることを望みたい。