日本からパプアニューギニアへ。未開の地へ飛び立つイメージを抱かれる人もいるかもしれないが、成田から直航便が出ている。およそ6時間50分。首都ポードモレスビーのジャクソン空港に到着する。映画を一本観て、一眠りすればすぐに着く。バンコクに行く感…

日本からパプアニューギニアへ。未開の地へ飛び立つイメージを抱かれる人もいるかもしれないが、成田から直航便が出ている。およそ6時間50分。首都ポードモレスビーのジャクソン空港に到着する。

映画を一本観て、一眠りすればすぐに着く。バンコクに行く感覚に近い。

日本人はビザが無料だ。「VISA ON ARRIVAL」のエリアですぐに獲得することができる。

このあと、僕はニューブリテン島の「キンベ」に向かう予定だった。

国際線乗り場と国内線乗り場は離れており、一度国際線の出口を出て、数分ほど歩いて国内線入り口に向かわなければならない。

そういう決まりなのかは分からないが、国際線の出口のところで空港職員が観光客を待っており、国内線入り口まで案内してくれた。

「どこから来た?これからどこに行く?名前は?」などの簡単なやりとりをしているうちにすぐに国内線乗り場へ着いた。

しかし、いつまで経っても飛行機が来ない。ジャクソン空港に到着したのが現地時刻の4時55分。キンベがあるホスキンス空港に向けて出発する飛行機は10時15分の予定だったが、11時30分頃になっても来なかった。

他にも複数の便が「Cancelled」になっていた。一抹の不安はあったものの、遅延くらいは海外でよくあることだとインド旅行で身に染みたので、特に焦ることなく構えていた(余談だがインドの列車は13時間遅延した)。

その時、白い服を着た小太りの男性の怒声が縦長の待合室に響き渡った。何を言っているのかよく分からなかったが、どうやら乗るはずの便がキャンセルになったことに怒っているらしい。

ふーむ。いよいよ待合室の苛立ちも可視化できるようになってきた。

一定時間おきに「Cancnlled」の印が電光掲示板に出る。その度に待合室はどよめき、頭を抱える。まるでサッカーの試合をパブリックビューイングしているかのようだった。

案の定というべきか、僕が乗るはずだったPX202便の欄にも「Cancnlled」が灯った。

隣の赤ん坊を連れたお母さんと口を交わす。

「キャンセルになっちゃったよ…」

「昨日から遅延やキャンセルだらけよ。なんだかよくわからないけど、パイロットがボイコットを起こしたとも聞いたわ」

うーむ、流石パプアニューギニア。ボイコットとは…。

本当かどうかは分からないが、不思議の国だ。とにかくキンベに行かなければならぬ。パプアニューギニアはバックパッカーが訪れることが少ないのか、宿代が高い。すでに予約していたキンベの宿をキャンセルし、ポードモレスビーで宿を探すのはかなりの痛手だった。

茫然自失したものの、気を取り直してカスタマーサービスセンターに駆け込む。なんだかよくわからないままに、チェックインカウンターに連れて行かれた。ここで待てということだろうか。

空港はカオスだった。皆が代替便を探し求めてごった返していた。ただ、ヒステリックに叫ぶ人はいなかったし、列をなしてきちんと並んでいるのは国民性か。

なんにせよ「強く主張した者だけが代替便に乗れる」文化ではあったようだが…。

待つことおよそ2時間半。チェックインカウンターで嘆願したら、なんとか代替便に乗ることができた。出だしが遅れた僕は代替便に駆け込んだ最後の客であったようだ。セーフ。

窓を思い切り叩けば割れてしまいそうなプロペラ飛行機。30人ほどしか乗ることができない。振動がモロに伝わってくる。クーラーの機械音も壊れているときのそれだ。でも、とても魅力的だった。

帰りはちゃんとした飛行機だったので、代替便がゆえのプロペラ飛行機だったようだ。

下を見下ろすと山がちな地形があらわになる。かつ赤道間近の熱帯であり、畑作には向かないと聞いた。民家がポツポツと点在している。これが、「首都」から飛び立つ国内線の情景だ。なんだかワクワクした。

「パイロットがボイコット?」パプア・ニューギニアの空港が騒然撮影:大日方航

「パイロットがボイコット?」パプア・ニューギニアの空港が騒然撮影:大日方航

「パイロットがボイコット?」パプア・ニューギニアの空港が騒然撮影:大日方航

「パイロットがボイコット?」パプア・ニューギニアの空港が騒然撮影:大日方航

「パイロットがボイコット?」パプア・ニューギニアの空港が騒然撮影:大日方航

「パイロットがボイコット?」パプア・ニューギニアの空港が騒然撮影:大日方航