写真:ソ・ヒョウォン/撮影:ラリーズ編集部

ITTF ワールドツアーで3度の優勝を飾り、「韓国卓球界の女神」とファンから評されるほど人気のカットマン徐 孝元(ソ・ヒョウォン)。

チョコパイがきっかけで始まった徐の卓球人生だったが、2014年には世界ランキング8位と、世界トップレイヤーの仲間入りを果たした。

昨年10月にはTリーグのトップおとめピンポンズ名古屋(以下、トップ名古屋)に活躍の場を求めた。

なぜ日本という異国の地での挑戦を決めたのか。Tリーグで実際に1シーズン過ごした今、どのように感じているのか。プロ卓球選手、徐孝元のキャリアに迫った。

迷わず決めたプロの道 「好きなことを仕事に」

彼女にプロ選手になることに迷いがなかったか聞くと、即座に真っすぐな答えが返ってきた。

「プロ選手になるかどうか迷ったことはまったくありませんでした。9歳から卓球を始めたんですが、卓球が好きという気持ちが大人になってからも薄れることがなくて。なので、プロ選手になろうと思ったのは私にとって自然なことでした。」

「ちなみに弟がいるのですが、いま就職活動をしているんです。弟が就職活動でいろいろと迷っている部分もあるようで。その姿を見ていると、自分が好きな卓球を仕事にできたのは良かったのかなと思いました。」

強くなった日本 だからこそ自分の腕を確かめたい

2018年に開幕したTリーグ。いまや世界的有名選手である徐は、なぜ日本でスタートしたばかりの新リーグに参戦しようと思ったのか。

「日本の卓球のレベルは、以前と比較しても上がっていると思います。自分の実力がどこまで通用するのか確かめたかった。あと純粋に、日本の選手と直接試合をしてみたいというのもありました」。

卓球への探究心はもとより、日本人選手への関心の高さもTリーグへの参戦を決意させた要因ということだ。日本人選手の層が厚くなってきた今だからこそ、海外から「挑戦の地」として見られ、強い選手が自ら日本に赴く。満を持してのTリーグ開幕は、海外選手にとっても日本人選手にとっても、大きな意義があったと言える。

初めてのシーズンを終えて

さらに、実際にTリーグのファーストシーズンを過ごしてみて、今どのように感じているか、感想を聞いてみると、外国人選手ならではのリアルなコメントが返ってきた。

「韓国では卓球のリーグがないんですよね。つまり自分にとって、プロリーグで戦うのは初めての経験で。不安もある中で、トップ名古屋からのサポートや応援がすごく力になっています。手続き面もスムーズにやっていただけて、本当に有り難いです。日本にこんな卓球リーグがあることが羨ましいなと思いました」。

外国人が異国の地でプレーするとき、環境や文化の面で困惑してしまうことも少なくない。しかし、しっかりとしたサポートがあれば、選手はより自分の力を発揮しやすくなる。彼女の言葉からは、トップ名古屋のきめ細かいサポート体制も感じ取ることができる。

チームに対する印象を聞いてみても、いたってポジティブだ。「トップ名古屋に入ってみて、やりにくさを感じることはありませんでした。年下の選手が多くてみんな明るいし積極的。協力する姿勢も強く、良いチームだと思います。監督やコーチも、自分がミスしたときにしっかりとアドバイスして引っ張ってくれるのがありがたいですね」。

一方で、自分の課題にもしっかりと目を向ける徐。今後の目標について、オリンピックも見据えながら語ってくれた。

「サーブやレシーブなど細かいテクニックの練習がまだしっかりとできていない。今後もどんどん自分の中で課題が見つかると思うので、一つひとつしっかりと克服していければと思います。2020年には東京オリンピックが控えています。今年はそこに照準を合わせて自分のスキルをどんどん磨いていきたいですね。細かい課題をどんどん克服して、オリンピックでいい結果を残すことが目標です。」

好きな食べ物は東海エリアの名物○○?

日本でプレーすることに心から充実を感じている様子の徐。そのプライベートに話が及んだとき、トップ名古屋に在籍しているからこその「好物」が飛び出した。

いま、徐が好きな食べ物は「トンテキ」だ。もともとはカツ丼が好きだったが、トンテキの味と食感にハマってしまったそう。日本に来ると必ずトンテキを食べて、エネルギーにしているのだという。

さらに好きなアーティストは東方神起。今は解散してしまっているが、「日本でも韓国でも活動しているから好き」と述べており、日本への思い入れも覗かせる。

「私は日本に来てから、ファンのみなさんに沢山のプレゼントをいただきました。温かいお手紙も頂いていつも感動しています。本当にありがとうございます。今後も頑張りますので、応援よろしくお願いします!」




写真:ソ・ヒョウォン/撮影:ラリーズ

日本に愛着を持ち、多くの感動を与えてくれる徐だが、いつもファンへの感謝の気持ちを忘れない。「卓球が好き」という幼い頃からの純粋な気持ちと、異国の地でサポートするスタッフやファンへの感謝の気持ち。この2つが徐の強さの源だ。

その愛くるしいルックスに加え、卓球が好きでいつも感謝を忘れない純粋な心こそ、卓球界の女神にふさわしい。

今、世界から注目を集めるTリーグが、成功を収めるか否かは、多くの海外選手の活躍にもかかっている。日本を愛し、日本を「挑戦の地」に選んだ徐 孝元なら、これからも持ち前の粘り強いカットで日本そして世界の卓球界を魅了してくれるに違いない。

文:古山貴大