チャーミングな笑顔と演技が持ち味の、古井里奈選手(国士舘大学)。彼女は2018年8月、日本新体操界に旋風を巻き起こした。その演技で会場全体を魅了し、全日本インカレで個人総合優勝を果たしたのだ。 大学2年生の時は、右足首の故障やリハビリに苦…

チャーミングな笑顔と演技が持ち味の、古井里奈選手(国士舘大学)。彼女は2018年8月、日本新体操界に旋風を巻き起こした。その演技で会場全体を魅了し、全日本インカレで個人総合優勝を果たしたのだ。

大学2年生の時は、右足首の故障やリハビリに苦しんだ。辛くても頑張れたのは「新体操が好きだったから」。競技との出会いは小学1年生。新体操がない世界なんて考えられない。怪我をしても、辞めるという選択肢はなかった。そんな彼女が大切にしているのは、“技を見せること”と、“お客さんを魅せること”。まずは自分が演技を楽しんだ上で、会場の観客を楽しませることを意識している。小柄な彼女が演技に入ると、コートに花が咲いたように華やぐ。新体操を愛する気持ちが、一挙手一投足から溢れているのだ。

※山本監督(写真左)から指導を受ける古井

古井の1日はウォーミングアップから始まる。屋内ランニングやストレッチをこなし、13時からフープを使った練習に取り組む。指導を行うのは、ブルガリアナショナルチームや日本代表のコーチも務めた、山本里佳監督だ。細かい仕草をミリ単位で修正し、一つ一つの動きに魂を込めていく。昼食も休憩も取らずに、17時からボールを使用したトレーニングを行い、最後に通し練習をして終わる。こうした日々の努力と競技への情熱が、前述の輝かしい結果を生み出した。

それでも、彼女は決して「やらされている」わけではない。国士舘大学新体操部は男子1面、女子1面のコートを使用している。女子はおもに2チームか3チームに分かれて練習するが、強豪校に比べると充実した練習環境とはいえない。練習の中でコートの使用時間を決め、それ以外は床でトレーニングに励んでいる。そのため、コートをどのように有意義に活用するか、日々考えながら技を磨いているのだ。

観客に楽しんでもらうためには、まず自分が楽しむこと。そのためには、どんなに辛く苦しくても新体操を嫌いにならず、好きであり続けること。天才は努力する者に勝てず、努力する者は楽しむ者に勝つことはできない。厳しい練習と新体操への愛を武器に理想とする演技を追い求め、古井は今日もコートに立つ。

※大学アスリート1日密着動画「THE STARS」にて、古井選手を特集しています。
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古井里奈(ふるい・りな)
愛知県小牧市出身。小牧市立小牧中学校、名古屋女子大学高校を経て、現在は国士舘大学体育学部3年。高校総体で個人総合1位を獲得するなど、早くから才能を開花させてきた。小柄ながら高度な技にも果敢に挑戦し、可憐な笑顔で観客を魅了し続けている。