Jリーグ第4節、連勝中のヴィッセル神戸は、ここ2試合で9失点の清水エスパルスをホームに迎えた。 試合は前半、清水の…
Jリーグ第4節、連勝中のヴィッセル神戸は、ここ2試合で9失点の清水エスパルスをホームに迎えた。
試合は前半、清水の前線からのプレスと早い寄せに神戸が苦しむ展開となった。清水はカウンターから何度もチャンスを作り、神戸のゴールを襲う。
前半を0-0で折り返すと、均衡を破ったのはアンドレス・イニエスタだった。後半4分、左サイドをゴール近くまで侵入すると、右足の裏で仕掛けながら、右足のアウトで折り返す。そのこぼれ球をルーカス・ポドルスキが決めた。まるでフットサルのプレーを見ているようだった。

日本デビューとなったセルジ・サンペールと握手をかわずアンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)
その後、清水はエウシーニョ、石毛秀樹、鄭大世を次々に投入して同点を狙う。すると後半43分、相手のクリアミスをエウシーニョが鄭大世につなぎ、それをゴールの左隅に決めて引き分けに持ち込んだ。
この試合の注目はやはりイニエスタだった。前半は清水のプレスに、パスミスやパスカットされるシーンもあったが、こういう試合展開や相手がゴール前を固めてくる試合は、バルセロナで何百試合も経験済みだろう。ポドルスキが相手に倒され、主審に抗議するなかで、イニエスタは「どうやって崩そうかな」と試合を楽しんでいるようにさえ見えた。
ボールを運ぶ時は、相手とボールの間に体を入れ、奪いにくればファウルをもらう。狭いスペースならダイレクトでパス交換をする。相手にとって、これほどイヤな選手はいない。
ゴールには結びつかなかったが、圧巻だったのはそのメッセージを込めたパスだ。
後半9分、イニエスタが中央右からダビド・ビジャにスルーパスを通すと、ビジャはダイレクトでシュートを放ったが、GKにセーブされた。このパスの距離が短ければ、ビジャは相手に寄せられてしまっただろう。長すぎればシュートコースが狭くなってしまう。まるで「ダイレクトでシュートを打ってください」と言っているような、絶妙なパスだった。
さらに、同点にされたあとの後半アディショナルタイム、左サイドでポドルスキに出したパスもそうだった。ポドルスキはダイレクトでクロスを上げたが、わずかにビジャに合わなかった。もしこれが足もとへのパスだったら、相手が寄せてくる。長すぎればディフェンダーとの競走になる。ポドルスキへの「ダイレクトでクロスを上げてください」というメッセージ付きのパスだった。
清水戦だけではなく、これまでの3試合でも、味方の選手が相手DFラインの裏に走れば、イニエスタはメッセージ付きのパスを出している。
昨季は、いきなり猛暑の日本にやってきて、思うようなプレーができなかった部分もあっただろう。今季はキャンプからコンディションをしっかり作ってきた。少なくとも暑い夏が来るまでは、イニエスタの1本のパスを見に行くだけでも価値は十分にある。