伝説のホームラン王、ベーブ・ルースの生家から2ブロックほど離れた距離に本拠地を置く、ボルティモア・オリオールズが記録的なペースで本塁打を量産している。■トレンドに沿ったチーム作りでPOへ邁進するオリオールズ 伝説のホームラン王、ベーブ・ルー…

伝説のホームラン王、ベーブ・ルースの生家から2ブロックほど離れた距離に本拠地を置く、ボルティモア・オリオールズが記録的なペースで本塁打を量産している。

■トレンドに沿ったチーム作りでPOへ邁進するオリオールズ

 伝説のホームラン王、ベーブ・ルースの生家から2ブロックほど離れた距離に本拠地を置く、ボルティモア・オリオールズが記録的なペースで本塁打を量産している。6月に56本塁打を放つなど97試合時点で148本のアーチをかけた。年間では247発ペース。1997年にシアトル・マリナーズが樹立したシーズン最多記録の264本塁打に迫る勢いで白球をスタンドに放り込んでいる。

 オリオールズは今季、昨季まで中軸を打っていたアダム・ジョーンズを主に1番で起用している。ここまで17本塁打をマークするリードオフの後を打つ2番には、17本塁打の二塁手ジョナサン・スクープが続く。中軸にはマニー・マチャド(20本)、マーク・トロンボ(30本)、クリス・デービス(22本)が座り、下位にもペドロ・アルバレス(12本)がいて超重量級の打線を構成している。トロンボとアルバレスが新加入し、長打力が増強された印象だ。

 リーグ25位の防御率4.95と先発陣は安定感を欠く。だが、ここまでア・リーグ東地区首位に立っているのは打線の貢献が大きい。中盤で試合をひっくり返し、強力なリリーフ陣で逃げ切るのがスタイル。ブルペンの勝利数はア・リーグトップだ。

 同地区でレッドソックスも長打力のある打線が投手陣をカバーする戦いで首位争いに絡んでいる。ア・リーグ東地区に所属するチームの本拠地は打者有利な形状が多く、オリオールズの本拠地は特に右打者に有利。長打力のある右打者中心に打線を組むのは理にかなっていると言える。

■元阪神クールボー氏も好感触、「得点の取り方も変わってきている」

 昨季からオリオールズの打撃コーチを務めている元阪神のスコット・クールボー氏は「長打力はうちの最大の長所だ。トロンボとアルバレスが加わったことでさらに厚みが増し、上位から下位まで一発で試合の流れを変えることができるようになったのは大きい」と話す。

 またリーグ全体を見ても、近年、本塁打数が増加傾向にあるようだ。今季は前半戦で18人が20本塁打以上をマーク。開幕から4試合連続アーチを放ったロッキーズのトレバー・ストーリー(23歳)やカブスの中心打者に成長し、今季25本塁打を放っているクリス・ブライアント(24歳)ら若いホームラン打者の台頭も目立つ。

 近年はバントの数が減り、チームはより長打を求める傾向が強まっている印象だ。クールボー氏は「昨季、プレーオフに出たチームはロイヤルズを除いてすべて長打力のあるパワフルなチームだった。ここ数年で投手のレベルが高くなったように、攻撃のトレンドとして得点の取り方も変わってきている。一つのスイングで3点を奪えるような攻撃の方が、相手投手にプレッシャーをかけられるからだ」との見方を示す。

 小技で1点を取りにいくよりも、四球で走者をためて長打で一気に試合の流れを決める攻撃が現在の主流となってきているメジャーリーグ。2011年以降の5シーズンで13年を除く4度、リーグ最多本塁打を記録したチームがア・リーグ東地区を制しているのも偶然ではないだろう。(11年ヤンキース、12年ヤンキース、14年オリオールズ、15年ブルージェイズ)。オリオールズのトレンドに沿ったチーム作りはここまでのところ、形になって表れている。(成績は24日終了時点)

伊武弘多●文 text by kouta Ibu