写真:上田仁、森薗政崇(岡山リベッツ)/撮影:ラリーズ編集部

Tリーグの初代王者を決めるプレーオフファイナルが3月17日(日)に行われる。男子は、シーズン首位でファイナル進出を決めた木下マイスター東京と、2位岡山リベッツが対戦する。歴史的勝負のカギを握る岡山リベッツの主将・上田仁に、決戦を目前に控えた今の胸の内を聞いた。

「自分が想像していた以上に盛り上がったんじゃないかと思います」上田はTリーグ初年度のレギュラーシーズンをこう振り返る。

「下馬評では木下(マイスター東京)一強という感じでしたけど、シーズンの最初は木下と彩たまがちょっと上に抜けている感じがあって、そこに岡山と琉球が食らいついた。最終的には僅差でプレーオフに進出できましたが、最後までどこが優勝するかわからない混戦だったからこそ、自分たち選手も良い意味で緊張感があり、パフォーマンスを発揮できたと思っています」。

木下の独走を阻止した岡山




写真:上田仁(岡山リベッツ)/撮影:ラリーズ編集部

Tリーグ男子は、木下マイスター東京が6連勝でシーズンをスタート。今年1月の全日本選手権でV10を達成した水谷、準優勝の大島、世界ランク4位の張本らトップランカーを揃える“スター軍団”がそのまま独走態勢に入るかと思われた。その最強軍団に初めて土をつけたのが岡山リベッツだった。

11月25日に青山学院大学で行われた一戦は、都心での週末のデーゲームとあって、多くの観客が詰めかけた。そんな中、上田がダブルスとシングルスで勝利。最後はビクトリーマッチ(Tリーグ特別ルールの1ゲームマッチ)で吉村和弘が張本を下し激戦を制した。

「リベッツが最初に木下に土を付けたチームとなったので、あの試合が自分の中でも一番印象に残っています。また、あの時にはイ・サンスも、イム・ジョンフンもいなかったですし、リン・ユンジュはまだチームに加入していなかった。日本選手だけで木下に勝てたところがポイントですね。他のチームもそれを見て『チャンスあるぞ』と思ったと思います。その後に琉球も彩たまも木下に勝ちましたし、そういった意味で自分たちは良い起爆剤になれたんじゃないかなと思っています」

岡山リベッツの躍進の理由について、上田は「絶対的なエースがいないことがプラスに働いている」と開幕以降、一貫して言い続ける。「日替わりでヒーローが変わるのが僕らのチームカラーです。エースは唯一のSランクのイ・サンスですが、Sが1人しかいないのはリベッツだけ。AAAも日本選手では吉田(雅己)しかいなくて、あとはAAの選手が中心なので、1試合1試合が必死です。ここを落としても他のゲームで勝てばいいやという考え方ができない」

カギを握るダブルス なぜ勝てるのか?




写真:上田仁(岡山リベッツ)/撮影:ラリーズ編集部

また、リベッツはダブルスが滅法強い。ファイナルで対戦する木下マイスター東京にも全勝している。特に上田と森薗政崇が組んだダブルスは勝率が8割を超え、Tリーグでのシーズン最高成績を収めた。

「ダブルスは3ゲームの短期決戦。森薗のチキータは分かっていても取れない威力がある。なので相手が慣れる前に、色んなパターンでこちらが仕掛けることができるんですよね」と上田はパートナーの森薗を称賛する。

「とにかくダブルスで1点とる。シングルスは3点中1点とる。そうすれば5番まで持ち込める。5番のビクトリーマッチはみんな緊張するし、1ゲームなので勝てるチャンスが生まれる。シングルスで不利なリベッツが勝つにはこれしかなかった」と、Tリーグの特別ルールを最大限に活用したチーム戦略が功を奏したことを明かす。シングルスでのハンデを乗り越え、“弱者の兵法”とも言える戦略でファイナル進出を決めた岡山リベッツ。

上田は両国国技館での決戦について「僕らは木下と違ってあの両国国技館の舞台を経験していない。ものすごい緊張感の中で、苦しい試合になると思っています」と冷静に状況を見据える。ここまで木下に対して全勝のダブルスについても「データの上では負けていませんが、あの場では過去のデータはあてにならないし、相手がどんなペアで来るのかも分からない。とにかく自分たちがシーズンを通じてやってきた力を全て出すことに集中したい」と気を引き締める。

昨年のプロ転向直後のチームワールドカップでも日本の危機を救い、チームにメダルをもたらした上田仁。ピンチに強い“団体戦男”は両国国技館でどんなプレーでチームを率いるのか。3月17日13時、両国国技館のセンターコートに注目だ。

文:川嶋弘文(ラリーズ編集長)