集英社のファッション誌「MORE」主催のパラスポーツイベントが都内で開催され、モデルの内田理央さんと、パラトライアスロンで東京パラリンピック出場を目指す谷真海選手が登場した。トークショーでは、MCも加わり「パラスポーツとは…」というところから、谷選手のアスリート生活まで、内田さんの天然かつ絶妙な相槌を交えて、大いに盛り上がった。

───おふたりは一度誌面で対談されているんですよね。

内田理央さん(以下、内田) そうですね。今日は2回目になります。楽しく色々お話できたらと思います! よろしくお願いします。

谷真海選手(以下、谷) パラスポーツについても知ってもらえたらなと思います。

───パラリンピックという言葉は知っているけど、報道が少ないのでパラスポーツは積極的に見る機会が少ないですよね。内田さんはどうですか?

内田 そうですね。最近、パラスポーツという言葉は聞くようになったと思うんですけど、まだちゃんとすべてを知らないっていうのはあります。

───そうですよね。そういったところを谷さんに教えていただけたらと思います。まず、パラスポーツとは何か、というところから教えていただけますか?

 パラスポーツとは、パラリンピックで行なうスポーツもそうなんですが、それ以外の身体障がい、知的障がいなど、スポーツ障がいのある人がやるスポーツをパラスポーツと言います。障がい者スポーツって言葉はネガティブなイメージもあるのかなと思っていて、自分自身もあまり好きな言葉ではないんです。ただ単に義足で同じ競技場で走ったり、トライアスロンに出てるのに、障がい者アスリートって言われるのも嫌で。そこで言うと、パラリンピックのパラはパラレル、「平行して」という意味なので、すごくポジティブなネーミングかなと思っています。

───パラリンピックではどのくらいの競技が実施されるのでしょうか?

 2020年では22競技です。オリンピックが33なのでそれよりは少ないですね。

───オリンピックより少ないとしても22競技って結構ありますよね。2020年8月25日に開幕しますが、パラスポーツだけの競技もあるんですよね。

 そうですね。ひとつはゴールボールという競技があります。内田さん聞いたことありますか?

内田 初めて聞きました。

 そうですよね。なかなか見る機会はないかなと思うんですけど、ゴールボールは視覚障がいのある方が行なう競技で、さらにアイマスクをするので完全に見えない状況で、鈴が入っているボールの音を頼りに、3対3で転がしてシュートをしたり、全身でガードしたりします。ボールは結構重くて当たると痛いんです。

内田 音を頼りにってことは、試合は静かな状態で行なうんですか?

 そうなんですよ。ロンドンパラリンピックで女子の決勝(日本と中国)を見に行ったんですが、「サイレントプリーズ」っていう札が出ていて、静かな中で集中して試合は行なわれていました。

内田 緊張感がありそうですね。

 すごくありました。

内田 スポーツって言うと、もっとこう色んな音がするイメージなので。

 独特ですよね。あとはブラインドサッカーも同じですね。音を頼りにやるスポーツは静かにします。ハーフタイムなどは盛り上がるなどメリハリがあります。

───ボッチャもパラならではの競技ですよね。

 はい。重度の障がいがあってもできるように工夫されているスポーツで、頭脳戦でもあったりチーム戦であったり。みんなで一緒にできるスポーツでもありますね。

───続いて、谷さんご自身のお話を聞かせてください。元々は走り幅跳びでパラリンピックにも出場されましたが、なぜパラトライアスロンに転向されたのでしょうか?

 パラリンピックにも3度出場して、目標としていた記録にも到達してという中で、大きなきっかっけとしては妊娠・出産というのがありました。それをきっかけに長く続けられるスポーツを考えるようになって、種目を変えたいなと思っていたのもあり、妊娠中から少しずつシフトし始めました。

───走り幅跳びよりトライアスロンの方が長くできるものなのですか?

 瞬発系だとさすがにいくつになってもとはいかなくて、長距離の方がやればやるほど伸びていく部分があります。小中高と、水泳、陸上も長距離だったので、わりと昔に戻っている感じですかね。

───すごいですよね。

 そんなすごくないですよ。みなさん5kmなら走れますよね?

内田 いや、どうですか~? 私は駅まで走るのも結構きついです(笑)。でも、トライアスロンって本当にハマってやられている方が多いですよね。

 そうなんです。結構年齢層が高めの種目で、一緒に練習しているメンバーも40、50、60、70代までいらっしゃいますね。その人たちとも毎朝練習していて、人生に目標があるっていいなって日々感じています。

───そう考えると長く続けられる持久系のスポーツは魅力的ですね。ちなみに内田さんは瞬発系と持久系のスポーツどちらが得意とかありますか?

内田 私、本当にびっくりするくらい運動が苦手でして、よく体育とかでも何十m走とかあるといつもビリみたいな(笑)。

 すらっと背も高いし得意そうに見えますよね。走り高跳びもピョーンと跳びそう。

内田 そんなことないです。何かしら、つっかえてしまいます(笑)。だから本当に運動できる人に憧れていて、ちょっとやってみようと腰を上げるっていうんですか? イスから立つみたいな(笑)。始めるには勇気がいるじゃないですか、その勇気が出せなくて、すごいなと眺めています。

───先ほど妊娠中から転向を考えていたとお話もありましたが、お子さんが生まれても現役のアスリートを続けるって結構大変じゃないですか?

 身体を戻すことよりも練習時間の確保、その方が大変でした。家族の理解、周囲の理解がないとできないので。簡単ではないですけど、その分家族でチームとしてパラリンピックを目指すという違うモチベーションもあるので。楽しくもあります。

───一番のサポートって旦那さんなのかなと思うんですが。

 そうですね。私が復帰すると思っていたと言っていたので、そこに関しては異論なく。やるからには一緒に全力でやろうってことで、朝息子が起きる前に練習を始めるので、息子の朝ごはん、着替え、保育園の送りは夫が担当しています。

───一番の理解者で、もう本当に『チーム・谷真海』みたいな感じですね。

 そうですね。

───トレーニングの時間はどんな風に捻出しているんですか?

 とりあえず年中朝早く起きています。夏は5時台から、冬は6時半ごろから始めています。

内田 お休みなくトレーニングはするんですか?

 疲労回復も大事なので、週1回は必ずお休みするようにしています。

内田 3つ(水泳、自転車、ランニング)あると好き嫌いって出てくるんですか?

 あんまり得意なものはなくて(笑)。全部やらないといけない課題ばかりです。

内田 意外です! 学生のときの国語、数学、英語じゃないけど、好きなのと嫌いなのが出てくるのかと思っていました(一同笑)。

 みんな嫌いじゃないですけどね……難しい質問ですね(笑)。日々の練習がいつも楽しいとは思っていないですけど、そこは目標があるから頑張れるところですね。

───最後に、東京でのパラリンピックを通してバリアフリー化にもつながっていけばいいなと思いますがいかがでしょう?

 そうですね。東京の駅もバリアフリー化が進みましたよね。エレベーター、エスカレーターがないなんてこともなくなってきましたし、そういうところでは住みやすくなってきました。あとは心の部分のバリアフリーかなと思います。もっと心を開いてコミュニケーションをとっていくと、理解し合える部分が結構ありますよね。私も20歳くらいまでは五体満足で義足でもなかったので、例えば駅のホームで白杖をついて歩いている方に声をかけられなかったんですけど、気軽に「改札まで一緒に行きましょうか?」とか言えばいいんだと思って。

内田 確かにちょっと勇気がいることですよね。

 そうですよね。だからそこは慣れもありますし、海外遠征って結構2人部屋とかが多くて、車いすの方とか視覚障がいの方と一緒になるんですけど、ほぼ何もサポートなく、全部ひとりでやられるので、そこも見てみないとわからなかった世界で、すごくみんなひとりで自由に生きていますし、誰もが過ごしやすい社会になっていくといいなって。パラリンピックがその起爆剤になるかなと思っています。

この後には、トークショーで出てきた話を中心に○×クイズが行なわれたり、ボッチャ体験会では、この日招待されたモアハピ部員30名が6人ずつ分かれた5チームと、内田さん、谷さんを含むモアチームが参戦して対戦するなど、最後まで笑顔があふれるイベントになった。

パラスポーツがまだ身近ではない人にとっても、直接アスリートの声を聞き、競技を体験できたことは、有意義な時間になっただろう。

*本記事はweb Sportivaの掲載記事バックナンバーを配信したものです。