早大自動車部の開幕戦となる全関東学生運転競技選手権(全関東フィギュア)が、東京都の府中運転免許試験場で行われた。ジムカーナやダートトライアルとは違い、小型の乗用車やトラックに乗って細かな運転技術を競うのがフィギュアの特徴だ。この大会に早大…

 早大自動車部の開幕戦となる全関東学生運転競技選手権(全関東フィギュア)が、東京都の府中運転免許試験場で行われた。ジムカーナやダートトライアルとは違い、小型の乗用車やトラックに乗って細かな運転技術を競うのがフィギュアの特徴だ。この大会に早大からは男女合わせて総勢9名が出場した。男子小型乗用東の部に出場した綠川壹丸(基幹3=東京・早実)が個人優勝を果たすなど、新人戦を含め男子の部では計4人が入賞。女子の部でも、女子小型貨物東の部に出場した城越明日香(商4=福井・藤島)が個人優勝を果たした。団体の部では男女共に2位となり、安定感のある早大の実力を見せつけた。


メリハリのある走行を見せた綠川

 男子団体の部には4選手が出場した。早大で最初に出走したのは、男子小型乗用東の部に出場した綠川。「ギリギリを攻めようと思いました」と、スタートからアクセルを力強く踏み込むキレのある走行でタイムは3分36秒を記録。ペナルティによる減点もなく、2位の選手に大きく差をつけて個人優勝を果たした。渡邉道理(基理3=富山・片山学園) は男子小型貨物西の部に出場。ミラーの角度に戸惑ったというが、ペナルティなしで走行を終え順位は2位。「予想外のことがあって動揺してしまった」というが、結果的にチームの成績に貢献した。男子小型貨物東の部には、昨年の全日本学生自動車運転競技選手権(全日本フィギュア)で個人優勝を果たした鷹尾一成(先理3=神奈川・桐蔭学園中教校)が出場。鷹尾もペナルティなく走行を終えたものの、タイムが伸びず個人3位。車両感覚がなかなかつかめず「個人としては不完全燃焼で満足のいかない試合でした」と振り返った。杉本勇斗(商4=神奈川・金井)は男子小型乗用東の部に出場。スタート後のボックスまでは順調に見えたが次のスラロームで苦戦。脱接減点のペナルティも受けてしまい結果は7位。「もし僕が入賞していれば優勝できたんじゃないか」と試合後に悔しさをあらわにした。以上の4選手の結果により、早大は男子団体の部の2位を獲得。ペナルティの少なさが結果に繋がった。

 新人の部には3選手が出場した。中でも男子小型乗用東の部新人戦に出場した慎大慶(法2=東京・早稲田)は2位入賞。ペナルティによる減点はあったものの、タイムでは新人の部で最速と堂々たるデビューを飾った。


慎重な走行をした城越

 女子団体の部には城越と大沼すず音(国教2=東京・日比谷)の2選手が出場。女子小型貨物の部に出場した城越は「4分を切れば確実に優勝できるということが分かったのでいかに時間をかけてでも、ペナルティなしで帰ってくるということだけを心掛けた」と、戦略的な走行で個人優勝を果たした。大沼は走行途中でタイムオーバーとなり記録が付かず。試合後「当日のコンディションやメンタルの部分で負けてしまい自分の力が発揮できなかった」と振り返った。結果的に女子団体の部は2位となり、男女共に団体で2位入賞を果たした。

 新体制の初陣となった今大会。綠川、渡邊、鷹尾など新3年生を中心に、チーム全体の力が十分に発揮された大会となった。渡邊は「新人枠で後輩たちの力が上がってきていると思ったので、このまま練習をしっかりしていけば来年、再来年と優勝を目指していけると思う」と振り返った。次なる大会は全関東学生ジムカーナ選手権。昨年度は団体7位と苦渋を味わっているだけにリベンジを果たしたい。早大自動車部の日本一をつかみ取るための挑戦が、今始まった。

(記事 細井万里男、写真 栗林真子)


新生早大自動車部の活躍に期待したい

結果

▽男子団体の部

2位 早大

▽男子個人の部

小型乗用東の部 7位 杉本

小型乗用西の部 優勝 綠川

小型貨物東の部 3位 鷹尾

小型貨物西の部 2位 渡邊

▽男子個人の部 新人戦

小型乗用東の部 2位 慎

小型乗用西の部 記録なし 中山

小型貨物東の部 6位 山田

▽女子団体の部

2位 早大

▽女子個人の部

小型乗用の部 記録なし 大沼

小型貨物の部 優勝 城越

コメント

綠川壹丸(基幹3=東京・早実)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

きょうは走順がとても早かったんですね。朝の段階で走順が分かるのですが、フィギュアの大会って走順が遅いほど前の人の走りが見えるから有利なんですね。自分は2走目でそれがほぼできない状態だったので、スタート前はすごく緊張していました。どういう走りをしたらいいんだろうというのが、まだ自分の中では確立できていなくて。いざ走ってみたんですけど、自分にとってはあまり上手く走れなくて修正とかも多かったので、走った直後は入賞できるか分からないなと思っていました。正直、優勝できたのは意外でした。

――アクセル、ブレーキ共に思い切りが良かったように見えました。その点は意識して運転したのでしょうか

そうですね。同乗ペナルティといものがありまして、急発進、急停止をし過ぎると逆に減点されてしまうので、そこのギリギリを攻めようと思いました。

――冬の間、フィギュアに向け練習に取り組んでいたと思います。その成果は出せたでしょうか

そうですね。出すことはできたと思います。結構あの車(マツダ・デミオ)で練習していたので、車両感覚が自分の中で出来上がっていたのかなと思います。

――個人1位で優勝となりました。自身の結果をどう感じていますか

それはもう素直に嬉しいです。

――団体では2位でした。その結果についてはいかがですか

今回の大会は新体制初めての全員での大会でした。去年4年生の上手な先輩がいて、その人が抜けても自分たちが戦えるということが分かったので、全然悪くはない結果だと思います。全日本選手権までに団体で優勝できるように頑張っていきたいと思います。

――5月には全関東ジムカーナ、6月には全関東ダートがあります。そこへ向けての意気込みをお願いします。

全関東ジムカーナと全関東ダートどちらでも選手になることを目指して、とりあえず自分の技術力を上げていきたいと思います。同じ大学内でもライバルが多いので、その人たちに打ち勝って、まずは選手になりたいです。選手になれば今年は勝てると思うので、全関東はジムカーナでもダートでも優勝目指して頑張りたいです。

渡邊道理(基理3=富山・片山学園)

――今日の試合を振り返っていかがですか

ペナルティを0点にできたので、団体としての役割は果たせたなと思います。個人としては優勝を目指していたので2位という結果は完全に満足ではないので次の全日に向けて精進していきたいなと思います。

――ミラーの位置のことなど、予想外なことがあったと思いますが、結果としては良いタイムを残すことができました。試合中は落ち着いて運転できましたか

試合中は頭の中がパニックになっていました。左のフロントが全然見えなくていつもと違う走り方になってしまいました。特に缶を通り抜けるところはいつもと全く違う走り方になってしまったので、そこは結構影響が出てしまったかなと思います。

――冬の間、フィギュアに向け練習に取り組んでいたと思います。その成果は出せたでしょうか

予想外のことがあって動揺してしまったのですが、2位という結果はダメではなかったので。負けた相手が、先々週に合同練習を行った中央大の川村で、練習の時はタイムでは勝っていました。その相手に負けたということは悔しいのですが、団体に対してペナルティを0点にして帰れたという点では練習の成果は出せたんじゃないかと思います。

――個人2位となりました。自身の結果をどう感じていますか

やっぱり悔しいですが、今の実力はこれぐらいなのかなと。自分以外の大学もミラーの位置で悩んでいるようだったので、そういうコンディションの中での結果なので受け入れるしかないかなと思います。全日では絶対1位を取りたいと思っています。

――団体では2位でした。その結果についてはいかがですか

優勝を目指していたので悔しいですが、新人枠で後輩たちの力が上がってきていると思ったので、このまま練習をしっかりしていけば来年、再来年と優勝を目指していけると思うので、次回以降1位を目指せる位置だと思っています

――5月には全関東ジムカーナがあります。そこへ向けての意気込みをお願いします

ジムカーナで選手になれるかまだ分かっていないのですが、まずは早稲田のなかでのライバルを倒して選手を目指しつつ、全体で優勝を目指していきたいと思っています

鷹尾一成(先理3=神奈川・桐蔭学園中教校)

――今日の試合を振り返っていかがですか

前回の全日本フィギュアで優勝させてもらったので、現全日本チャンピオンという状態で全関東に挑むことになったのですが、今回個人が3位、団体が準優勝ということで、優勝できなかったことは悔しいですがそこまで悪い滑り出しではなかったと思っています。全体としての結果は悪くありませんでしたが、個人としては不完全燃焼で満足のいかない試合でした

――冬の間、フィギュアに向け練習に取り組んでいたと思います。その成果は出せたでしょうか

全日本と全関だと試合の形式が違っていて。自分は全日本の方が得意で、全関だとちょっと苦手なところがあって、その苦手なところを克服するというところを意識していたのですが、本番で使った車両と練習で使った車両のタイヤの大きさがちょっと違うというトラブルがあって、車の動きが変わってしまって、それで本番に影響が出てしまいました。自分の本来の実力が出せなかったですね

――個人3位となりました。今日の自身の走りに点数をつけるなら、100点満点で何点でしょうか

60点ですね。前回の全日本で優勝させてもらっているので、今回の試合では勝たなければいけない、負けるわけにはいかないという気持ちが大きかったのですが、全日本の時に2位だった慶応大の由利という、僕の優勝した全日本の前のチャンピオンだった選手が今回同じコースで自分の二つ前を良い調子で走っていて。自分が個人で倒そうとしてしまうとペナルティを出してしまって団体に影響してしまうのではないかと思い、ペナルティをなくして団体を優勝に近づける方を選んだので、自分の順位が2位ぐらいだと思っていたのが3位になってしまったという理由で60点ですね

――団体では2位でした。その結果についてはいかがですか

走る選手全員のレベルがそれなりじゃないと優勝は難しいので、これから優勝に向かっていくのであれば、選手全員のレベルを上げていくのが重要かなと今回の試合を通して痛感しました

――5月には全関東ジムカーナ、6月には全関東ダートがあります。そこへ向けての意気込みをお願いします

ジムカーナとダートの選手はまだ決まっていないのですが、今年は選手になって、個人、団体と優勝を狙いたいです。ダートは去年も選手として走っているので、どちらかというと引っ張っていく側の人間だと自負しているので今年は初めて走る下級生とかの指導に回りながら、自分もジムカーナとダートで個人、団体で去年成し遂げられなかった優勝を目指したいです

慎大慶(法2=東京・早稲田)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

タイムでは自分が最速だったのにペナルティで負けて2位になってしまったので、すごく悔しさが残る試合でした。

――公式戦初出場となりましたが、どのような意気込みでこの大会に臨まれましたか

このフィギュアの大会の前にジムカーナの新人戦があったのですが、下から2番目というひどい成績だったので「今回のフィギュアでは見返してやるぞ」と意気込んで臨みました。

――冬の間、この大会に向け練習に取り組んでいたと思います。その成果は出せたでしょうか

ペナルティをしてしまったところを除けば、練習の成果が存分に出せたと思います。

――新人の部で準優勝となりました。自身の結果をどう感じていますか

すごく悔しいです。自分としては勝てた試合だと思っているので、全日本フィギュアでは絶対にペナルティをしないで勝ちたいと思います。

――5月には全関東ジムカーナ、6月には全関東ダートがあります。そこへ向けての意気込みをお願いします。

選手選考に出るための資格というものが部内にありまして、それを早めに取得したいなと思っています。もし選手になれなかったとしても、整備をしたり走っている人の動画を撮ったりするなど、色々な貢献の仕方があるので、チーム一体となって全関東ジムカーナ、ダート、また全日本選手権も含めて勝ちたいと思います。

杉本勇斗(商4=神奈川・金井)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

もう結構とんでもないミスを色々してしまって。自分が4年生なので引っ張っていくような走りをしなければいけないのに、優勝が遠のく大きなミスをしてしまったと思うので、これから頑張っていかなきゃいけないと思わされる試合でした。

――冬の間、フィギュアに向け練習に取り組んでいたと思います。その成果は出せたでしょうか

大きいミスというのはなかったんですけれど、あまり練習の時に意識していなかったところの小さなミスが大きくタイムに響いてしまったというのがあって、少し練習を改めなければいけないなと思いました。

――個人7位という結果になりました。振り返っていかがですか。

そうですね、自分のコースは慶応とかが勝つだろう予想されていたんですけれど、番狂わせが色々と起こって、試合は生ものだなというのは感じましたね。

――団体では2位でした。その結果についてはいかがですか

もし僕が入賞していれば優勝できたんじゃないかなということを考えると、あまり満足できるものではありませんでした。これからのシーズンに向けては頑張らなければならないというか、慢心せずによく受け止めて、これからの試合で頑張っていきたいと思います。

――5月には全関東ジムカーナ、6月には全関東ダートがあります。そこへ向けての意気込みをお願いします。

私はメカニックの方をチーフとしてやっているのですが、もう他大学に負けない絶対に早くて強い、壊れない車を完全に作って、男女共に優勝できる車を今から作っていきたいと思っています。絶対に優勝を、2位じゃなくて優勝をしたいと思います。

城越明日香(商4=福井・藤島)

――今日の試合を振り返っていかがですか

小型貨物の部は女子が三人しかいなくて、しかも二人とも二年生だったので正直勝てる試合だなということは前々からわかっていたんですけど、それでも本番というのは不安が募りましたし、新体制になってから初めての全関東ということで女子団体での優勝を狙うのは改めて大変なんだなと感じる試合でした

――あまりアクセルを踏まず、慎重に運転していたのが印象的でした。作戦として慎重に運転したということでしょうか

今回基準タイムというものがあって、4分以内に走り切れば全員同じ結果になるんです。なので、ほかの二人が4分以上のタイムになったということを確認して、4分を切れば確実に優勝できるということが分かったのでいかに時間をかけてでも、ペナルティなしで帰ってくるということだけを心掛けて、女子団体の部で優勝できるように組み立てて走りました

――冬の間、フィギュアに向け練習に取り組んでいたと思います。その成果は出せたでしょうか

今年に入ってだいぶフィギュアに慣れてきたので、ペースを崩さないように走ることができたかなと思います

――個人1位となりました。自身の結果をどう感じていますか

勝てて良かったというのと同時に、今回小型乗用と小型貨物に女子が半々に分かれたので次のスピード競技シーズンでも油断しないように頑張っていくためのいい試合になったかなと思います

――大沼すずね選手と一緒にフィギュア団体で出場するのは最後となりましたが、今回のレースにかける思いはどのようなものだったでしょうか

フィギュアだと今回の全関東が最後だったんですけど、全関東ダートと全関東ジムカーナの前哨戦みたいなものだったので総合杯に向けて絶対に勝たなければいけないと考えていました

――5月には全関東ジムカーナがあります。そこへ向けての意気込みをお願いします

チームで勝つということを目標に、女子団体、個人だけではなく男子団体、個人もすべて総なめにできるように守備力を向上したいなと思います

大沼すず音(国教2=東京・日比谷)

――今日の試合を振り返っていかがですか

勝てる勝負で勝てなかったことがすごく悔やまれます

――冬の間、フィギュアに向け練習に取り組んでいたと思います。タイムオーバーとなってしまいましたが、今回の大会で何か収穫は得られたでしょうか

前回の全日本の大会に出させてもらったのですが、その時も技術的には勝てると言われていたんですけど、当日のコンディションやメンタルの部分で負けてしまい自分の力が発揮できなくて。本番で実力を発揮できないということが今回分かりましたし、そこに付随してコースを下見する段階で自分の技術に不安があったというところも響いてきたので、技術向上に努めたいです

――今回、フィギュアとしては留学前最後の試合となったと思いますが、どのような意気込みで臨まれましたか

本当は1位を狙えた大会だったので、そういう先輩がいたんだよと後輩に伝えることができたらなと思っていたのですが、それができなかったことが悔しいですね

――来年への意気込みをお願いします

もちろん留学後も部活に戻って大会にも出るつもりなので、圧倒的な技術をつけて帰ってからも勝てるように準備しておきたいです