24日、SUPER GT第4戦「SUGO GT 300kmレース」の決勝が実施され、GT500クラスは近藤真彦監督率いるKONDOレーシングの佐々木大樹&柳田真孝が優勝。日産GT-R勢が今季全勝をキープした。東北地方のモータースポー…

24日、SUPER GT第4戦「SUGO GT 300kmレース」の決勝が実施され、GT500クラスは近藤真彦監督率いるKONDOレーシングの佐々木大樹&柳田真孝が優勝。日産GT-R勢が今季全勝をキープした。

東北地方のモータースポーツの中心地、宮城県「スポーツランドSUGO」の空模様はこの日、複雑な推移を見せた。朝9時からのフリー走行は雨でウエットコンディション。そして決勝がある午後に向けても小雨が降ったり止んだりを繰り返す。スタート直前にも雨のパラつきは残っていたが、決勝は概ねドライといえるコンディションでの戦いとなり、終盤には晴れて温度条件も上がってくる、という複雑極まりないものであった。

チャレンジングなSUGOのコースを81周する決勝は、午後2時過ぎにローリングスタートで始まった。この日もSUGOに棲む“魔物”が、時折レースに演出を加えていく。

ポール発進の#6 WAKO'S 4CR RC F(大嶋和也&A.カルダレッリ/ブリヂストン=BS)が6周目にGT300クラスのマシンと交錯して後退、またレースが3分の1を終える頃にはセーフティカー(SC)導入に、などといった具合に魔物が出現したが、このSC明けでGT500の何台かがルーティンピットに入る。そして、ここでタイヤ無交換(給油のみ)という作戦を採ったのがKONDOレーシングの#24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹&柳田真孝/ヨコハマ=YH)だった。

レース終了直後、近藤真彦監督は場内に向かってのマイクに「狙っていました。ヨコハマタイヤを信じていました」と語った。この作戦判断が首位浮上を呼び込む。#24 GT-Rは予選9位だったが、全車がレース中盤のルーティンピットを終えた時点で首位に浮上。タイヤ無交換によるピット作業時間短縮が効いたのと、柳田(前半担当)と佐々木(後半)がタイヤを労わりつつ速く走った成果である。

ただ、レース後半はライバルたちが#24 GT-Rの背後に接近してきた。終盤は2~5番手にレクサスRC Fが4台連なり、トップ5が2秒圏内で列をつくるという局面も。しかし、#24 GT-Rはトップを守り続けた。そして最後はGT300クラスにクラッシュがあって赤旗中断、そのままレース終了となり、74周終了時の順位で決着という結末に。これで#24 GT-Rの勝利が確定した。

前半担当のベテラン柳田は「タイヤ無交換作戦ができれば、というのがもともとありましたから、タイヤを労わって走りました。でもレースですから、やっぱり前へ行かなければ、ということもあり、そこは葛藤していましたね」と振り返る。そしてチームとのやり取りのなかで、「(無交換で)いけます」というリコメンドをし、若い佐々木にバトンを託した。

佐々木は「僕も柳田さんも、タイヤをもたせながら速く走るのは得意。ドライバー、クルマ、タイヤと、すべて(無交換作戦を採れる要素が)そろったからこそできた作戦であって、逆にいえば決してギャンブルではなかった。チームとしてベストな走りだったと思います」と快心の勝利を総括した。仮に赤旗終了とならなくても、「SUGOは抜けないコース。アタマをつかって、要所要所を押さえていけば(抑えきれる)」という手応えをもっての走りを佐々木は展開しており、決して幸運に助けられたわけでもなかった。

KONDOレーシングと佐々木、ヨコハマにとっては昨年8月の富士戦以来となるGT500クラス勝利。今年移籍してきた11&12年王者の柳田は昨年のタイ戦以来の勝利だ。そして予選では今回Q1で全滅という憂き目を見た王者日産GT-R勢だったが、終わってみれば開幕3連勝、今季全勝をキープするかたちとなった(今季は今回の第4戦が実質3戦目)。

決勝2~5位はレクサス勢。2位が#39 DENSO KOBELCO SARD RC F(H.コバライネン&平手晃平/BS)、3位は#38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路&石浦宏明/BS)だった。4位は#6 RC Fで、5位に#19 WedsSport ADVAN RC F(関口雄飛&国本雄資/YH)が続いている。

八郷隆弘社長の御前試合で、予選でも好結果だったホンダ勢だが、決勝では#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大&小暮卓史/BS)の6位が最高。

予選でクラッシュがあった開幕2連勝の#1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R.クインタレッリ/ミシュラン=MI)は、最終的に決勝9位。2ポイントを加算してドライバーズポイントランキング首位を維持している。

最後は少々残念なかたちで終わったが、#6 RC Fの脇阪寿一監督があたらめて「SUPER GTは面白いね」というくらいに激しい接戦だったSUGO戦。中1週というタイトな日程での開催となる次戦も好バトルが期待されるところだ。第5戦は舞台を再び富士スピードウェイに移し、8月6~7日に開催される。

優勝の佐々木(左)と柳田。撮影:益田和久

優勝の佐々木(左)と柳田。撮影:益田和久

GT500のスタート。撮影:益田和久

GT500のスタート。撮影:益田和久

#24 GT-Rは9番グリッドスタートだった。撮影:遠藤俊幸

#24 GT-Rは9番グリッドスタートだった。撮影:遠藤俊幸

多くのファンがSUGOに集結。撮影:益田和久

多くのファンがSUGOに集結。撮影:益田和久

決勝2位の#39 RC F。撮影:益田和久

決勝2位の#39 RC F。撮影:益田和久

決勝3位の#38 RC F。撮影:益田和久

決勝3位の#38 RC F。撮影:益田和久

決勝4位の#6 RC F。撮影:益田和久

決勝4位の#6 RC F。撮影:益田和久

決勝5位の#19 RC F。撮影:益田和久

決勝5位の#19 RC F。撮影:益田和久

決勝6位の#17 NSX。撮影:益田和久

決勝6位の#17 NSX。撮影:益田和久

ホンダの八郷社長(中央)が来訪。撮影:遠藤俊幸

ホンダの八郷社長(中央)が来訪。撮影:遠藤俊幸

スタート時のコンディションには「微妙」なところも。グリッドにはレインタイヤもスタンバイされた。撮影:遠藤俊幸

スタート時のコンディションには「微妙」なところも。グリッドにはレインタイヤもスタンバイされた。撮影:遠藤俊幸

大観衆が熱戦を見つめた。撮影:益田和久

大観衆が熱戦を見つめた。撮影:益田和久

決勝9位の#1 GT-R。撮影:益田和久

決勝9位の#1 GT-R。撮影:益田和久

#12 GT-Rにとっては流れのよくない週末。最終結果もリタイア。撮影:益田和久

#12 GT-Rにとっては流れのよくない週末。最終結果もリタイア。撮影:益田和久

GT500クラスの表彰式。撮影:益田和久

GT500クラスの表彰式。撮影:益田和久