強いチームを

日本拳法部として最後の大会、全日本学生拳法選手権。無情にも初戦にして全国制覇の夢は途絶えた。試合に負けたとしてもそれを糧にただひたすら精進し続け、チームを引っ張ってきた森裕紀(政経=早稲田渋谷シンガポール)。しかし今となってはもうリベンジの場はない。そんな彼は日本拳法にささげた4年間に何を思うのだろうか。

幼いころから空手やムエタイといった様々な格闘技に触れてきた森。しかし大学に入るまで日本拳法を経験したことはなかった。そんな森を日本拳法部へと導いたのは「体育会の部活動に所属して、しごかれて成長をするという体験をしたい」という思いと「高校でやっていた総合格闘技を一番生かせそうなのが日本拳法だった」という考えからであった。中高で上下関係がしっかりしている体育会部活を経験したことのなかった森にとって日本拳法部は最高の場所だったといえるだろう。


試合に挑む姿はたくましい

 「負け試合はすべて覚えている、逆に勝った試合はほとんど覚えてない。」。1年生の時から試合に出場するようになった森。負けた相手には次こそ必ず勝つという強い気持ちで日々の練習に励んできた。気持ちだけでなく、練習での一つひとつの動きに関しても「自分が何を直さなければいけないのか、どこをどうすべきなのか」といった風に「頭を使う」ことを心掛けていた。さらに格闘技の動画を見て、取り入れられそうな技は積極的に試してみるなど、強くなるための研究も欠かさなかった。3年生で練習メニューを作るようになった時には、怪我に気を付けるという自分だけでなくチームを作るということまで考えるようになった。1年時に仲間が練習中に倒れてから、チームの誰かが欠けることは最もいけないことだと感じるようになったからだ。こうして自分を、そして部を強くするために熟考を繰り返した森は、ついに最上級生では主将を務めることになる。

 主将になると去年の結果を超えるという目標の元、「強いチーム」を目指して後輩の指導にあたった。しかしそこでチームを引っ張ることがいかに大変かを、全日本学生選手権でチームをベスト8に導いた先代たちがいかに苦労を重ねていたかを知る。「一回戦負けというみっともない結果で終わってしまったことは後悔しかない。まだできたことはあったのではないか」と振り返る森。しかし森が率いてきた日本拳法部は目指すべきチームになれなかったのか?決めつけるのはまだ早い。先輩の背中を見てきた後輩たちが今後どのような活躍をするか、その結果も森ワセダが強くなれたのかを示す一因になるのではないか。

 今後は日本拳法を続けず、そのまま就職するという森。しかしOBとして練習に付き合うという意思を見せていた。「もちろん行くからには負けませんけどね(笑)」と気合も十分だ。新体制の日本拳法部を支える立場として森の目指す「強いチーム」作りは終わらない。日本拳法部の更なる高みへ、目指すは全日本学生選手権での優勝。森の思いはまだ受け継がれていく。

(記事 鈴木隆太郎、写真 柴田侑佳)