オープン戦初登板で最速154キロ、英語での対応は「人として成長すること」 カブスのダルビッシュ有投手が26日(日本時間2…
オープン戦初登板で最速154キロ、英語での対応は「人として成長すること」
カブスのダルビッシュ有投手が26日(日本時間27日)のダイヤモンドバックス戦でオープン戦初登板。変化球の制球に苦しみ、1回1/3を無安打2失点(自責1)4四球で降板したものの、直球は最速96マイル(約154キロ)をマークするなど、復活の兆しを見せた。米メディアは、今年のダルビッシュが行っている英語での取材対応に注目している。
初回は2アウトを奪った後に連続四球を与えたが、スーザJr.を中飛に仕留めたダルビッシュ。2回は先頭アビラに四球も、トーマスはニゴロ。しかし、続く打者にも四球を与えたところで降板となった。2番手投手が同点に追いつかれ、ダルビッシュは2失点(自責1)。ただ、降板後にはツイッターで「痛みなくまたマウンドに戻れたことが本当に大きかったです!」と振り返るなど、確かな手応えを掴んだ。
そして、降板後には英語で米メディアに対応。スプリングトレーニングでは、通訳をつけずに取材に応じている姿が度々、報じられている。米スポーツ専門局「ESPN」は「なぜ英語でインタビューに応じることがユウ・ダルビッシュの復帰プランの一環なのか」と題して、このことにスポットをあてた特集を掲載した。
記事では「彼が直面している課題は、ブルペンセッションでも投球プログラムでもなかった。チームメートとして、人として成長することだった」と紹介。スプリングトレーニング2日目に日本人記者に話していたダルビッシュが、米メディアが近づくと「深呼吸」し、英語で対応した場面を振り返っている。通訳は「万が一の時に備えて」隣にいたという。
ダルビッシュは後日、ESPNに対して「もっと英語が上手くなりたい。質問は理解しているが、緊張すると、今のように、少し言葉につまってしまうんだ」と明かしたそうだ。そして、特集では英語で米メディアの取材に応じるというダルビッシュの決断は「忘れたい2018年の後、キャリアの大きな“リセット”の一環となる」と指摘。さらに「彼は単純に通訳が必要なく、今季は彼とメディア、そしてファンの間に余分なレイヤーはない」とも言及している。
指揮官も歓迎「ユウと英語でたくさん話したよ。彼の状態は良い」
首脳陣やチームメートも、この姿勢を歓迎している様子。セオ・エプスタイン編成本部長は記事の中で「記者に英語で応じると、今までのような距離間ではなくなる。より誠実につながろうとする試みであり、今年のスプリングトレーニングでユウは皆に対してオープンで誠実だよ。通訳を使わないことは大変勇敢なことだと思う。私だったらできるか分からないよ」と称賛。レンジャーズ時代にもチームメートだった左腕コール・ハメルズも「本当に良い意味での成長だよ」と評価し、フィリーズ時代にスペイン語通訳を2年目以降に使わなくなったカルロス・ルイーズの例を挙げて「チームメートとして、彼とのつながりが深くなったよ」と当時を振り返ったという。
英語でのコミュニケーションは、あらゆる面でプラスに働いている。ジョー・マドン監督は「重荷を感じなくなった時、フィールドでもっと自由になれるんだ。ユウと英語でたくさん話したよ。彼の状態は良い」と取材に対して明かしている。エプスタイン編成本部長が「1年目のタフな経験で全てが決まるわけではないと伝えているよ。我々はまだ彼を信じていて、彼をサポートする」「彼はあらゆることに熱心に取り組んでいる。今年を良い年にしようと努力しているんだ」と話すなど、カブスのダルビッシュに対する期待は依然として大きい。
ダルビッシュは昨季、6年総額1億2600万ドル(約140億円)の大型契約でカブスに加入したが、故障に苦しむなど1年目は1勝(3敗)に終わった。復活へ向け、ここまでは順調そのもの。シーズンに入ってからも、本来の力を見せたいところだ。
記事では「ダルビッシュは公で何を言われているか把握している。そうしたことが2019年に彼のモチベーションになるかもしれないし、妨げとなるかもしれない。どちらにせよ、彼の周囲の人、特に球団は、ダルビッシュ2.0を見ることを望んでいる」と、“NEWダルビッシュ”の活躍を周囲が待ち望んでいると伝えている。開幕まで1か月。準備は着々と進んでいる。(Full-Count編集部)