2019年Jリーグ開幕特集「ヴィッセル神戸が面白い」(2)DF藤谷壮インタビュー(1)山口蛍インタビューはこちら>>…
2019年Jリーグ開幕特集
「ヴィッセル神戸が面白い」(2)
DF藤谷壮インタビュー
(1)山口蛍インタビューはこちら>>
今季のJリーグにおいて、もっとも注目を集めているクラブと言えば、ヴィッセル神戸だ。その主力選手たちが”今季のヴィッセル”について、さらには自らが目指すものについて大いに語る今回の特集。2回目は、クラブ生え抜きの藤谷壮を直撃した――。

激変するチームにあって、自らの思いを語る藤谷壮
「試合に出る」ことを
しっかり意識して戦っていく
僕がトップチームに昇格してからの時間のなかで、今年は目標である「AFCチャンピオンズリーグ(ACL)への出場権獲得」に対するクラブの本気を、より強く感じるシーズンになっています。昨年から取り組んでいる”ボールを大事にした攻撃サッカー”を実現するために、(ダビド・)ビジャをはじめ、日本人選手にもネームバリューのある、経験値の高い選手を多数補強したことが、何よりそれを物語っているんじゃないか、と。
と同時に、そのことはチーム内での競争がより激しくなるという危機感にもつながっていますが、僕自身はこうした環境でプレーできるのは、プロサッカー選手としてとても恵まれていると感じています。実際、練習でも、試合でも「ああ、世界レベルではこういうボールが出てくるんだ」と感じるシーンは多々あって、そうした自分にはないプレーの発想や技術を間近で体感し、それを取り入れようとすることは、間違いなく自分の成長につながると思うからです。
ただ一方で、サッカー選手として、いい練習ができるとか、いい環境があるというだけでは成長できないとも思っています。公式戦に出て、真剣勝負の場で相手と向き合わなければ、感じられないこともたくさんあるからです。だからこそ、今年も競争は激しいですが、”試合に出る”ということをしっかり意識して戦っていきたい。
新たに加入した(西)大伍さん(鹿島アントラーズ→)や(初瀬)亮(ガンバ大阪→)は、僕とは違って組み立てがうまいし、見ていてもすごく勉強になるなと思うことがたくさんあります。でも、そういった自分にない部分を学びつつ、自らの持ち味をどんどんアピールしていかないと、監督が「使いたい」と思う選手にはなれないはずなので、失敗を恐れずに、どんどんチャレンジしていけるシーズンにしたい。そのためにも、成長は一気に望めるものではないものだけに、自分の体としっかり向き合いながら、日々の練習から一つひとつ、コツコツと積み上げていくことを意識してやっていこうと思います。
自分を見失うことなく、
自らのペースで進んでいきたい
昨年はU-21日本代表としても、いろんな国際大会を経験した1年になりました。一方で、昨年11月のドバイカップU-23でのUAE遠征しかり、大事なときにケガで離脱せざるを得なくなったり、チームでも調子が上がってきたときにケガをして巡ってきそうなチャンスをフイにしてしまったり、という反省が残った1年でもありました。
そのなかで、今年はいよいよ2020年東京五輪を来年に控えて、勝負の年になるという自覚はあります……というか、毎年が勝負の年だと思っていますが(笑)、五輪を意識すればこそ、今年はより多くの試合に出て存在感を示さなければいけないという思いは強いです。実際、所属クラブで試合に出ていなければ、代表を語る資格はないし、それがあって初めて、周りの選手にも納得してもらえるはずですしね。
それに、僕らの世代からもすでにA代表に選ばれている選手がいることを思えば、ウカウカしていられないなとも思う。ただそうは言っても、焦りを感じているかといえば、それはありません。素直に「すごいな!」とは思っても、人は人、自分は自分という考え方に変わりはないし、焦ったところで自分のプレーがうまくなるわけでもないから。焦りが”無理”につながり、ケガを負うことになっては意味がないですしね。
U-21日本代表の監督である森保一さんはA代表の監督もされているので、これまで以上にA代表を描きやすくなっているところはありますし、チャンスも膨らんでいると思いますが、自分を見失わないためにも、とにかく僕は一歩ずつ、自分のペースで進んでいきたいと思っています。
そうした状況にあって、最近は少しずつ体の変化を感じています。いや、変化ということでは、1年目にケガをして長期離脱になって以降は、体重を増やしたり、体脂肪率を増やしたりと、数字的な変化は以前からあったのですが、ようやくそれが自分のものになってきたという感覚です。
というのも僕の場合、以前から体脂肪率が少なすぎて……本来は9〜11%が理想なのに、以前は5〜6%しかなかったんです。ただ、人の体って運動をすると、エネルギーを燃焼したあと、脂肪を燃焼し始めるらしいんですが、僕のように体脂肪が少なすぎると、筋肉を燃焼してしまい、それがケガにつながるそうなんです。
だからこそ、体重を増やすだけではなく、体脂肪を理想的な数字に保つ必要がある。そこが以前はうまくいかず……たとえば、過去にも一気にガッと体重を増やしすぎて肉離れにつながった、という経験もしましたからね。
以来、ゆっくりと体重を増やしながら、かつ体脂肪を理想的な数字まで高めるというチャレンジをしてきて、ようやく今は体重がプロ1年目から7kgくらい増え、体脂肪も今の段階で9%と理想的な数字を保てている。今後もこれを維持しながら、ケガをしない体、ということも考えてやっていきたいと思っています。
「ヴィッセルのために」
選手全員が本気になれるか
ヴィッセルは昨年から「アジアナンバーワンクラブ」という目標を掲げて、サッカースタイルも変化させて戦ってきました。ですが、昨シーズンもしかり、それになかなか勝利とか、勝ち点がついてきていないという現状があります。
この状況を打開して、スタイルを明確に結果につなげていくためには、まず全員の「勝ちたい」という気持ち、「上位に食い込んでいくんだ」という思いが、同じ方向に向かっていかなければいけないと思っているし、それを本気で信じて進んでいくことが必要なのかなと思います。なんていうか……これまでも本気ではあったけど、どのチームもタイトルを狙っていると考えれば、他のチームと同じ温度では絶対に勝ち抜けないと思うからこその、「本気」です。
ただ、これが一番難しいというか……実際、自分が試合に出られないときのことを考えても、試合に出ている選手と同じ温度で過ごすのはコンディション的にも、メンタルの部分でもすごく難しいことだと思います。連戦になるほど、必然的にチームとしての練習の強度もそこまで上げられないですしね。
でも、そういうこともわかったうえで、みんながヴィッセルのために力を注いで、気持ちをそろえて戦うことが”タイトル奪取”には必ず必要です。だからこそ、僕もこのチームの一員として「ヴィッセルのために」ということを意識して戦っていきたいです。
個人的な目標は、自分の持ち味で勝負して、より多くの試合に出ること。また、これは目標というより希望ですが、アカデミー出身の僕としては、自分に続く後輩選手がもっとたくさんトップチームに昇格してきてほしいと思っています。
実際にアカデミー時代から応援してくれているファンの人たちの声を聞いていても、それを楽しみにしてくれている人は多いし、アカデミー育ちの選手がトップチームで活躍することに喜びを感じてくれている人もいる。その人たちの気持ちに応えるためにも、また後輩に刺激を与えるためにも、コンスタントに試合に出続けられる選手になりたいと思います。