ついに始まった、スケートヒロシマ2019選手権(スケートヒロシマ)。大会2日目となるきょう、選手権女子ショートプログラム(SP)で滑りを披露したのは中塩美悠(人通4=広島・ノートルダム清心)。温かな雰囲気の中、ひときわ華やかな歓声に包まれ…

 ついに始まった、スケートヒロシマ2019選手権(スケートヒロシマ)。大会2日目となるきょう、選手権女子ショートプログラム(SP)で滑りを披露したのは中塩美悠(人通4=広島・ノートルダム清心)。温かな雰囲気の中、ひときわ華やかな歓声に包まれた。中塩にとって今大会は、選手生活の最後を飾る試合だ。「感動をありがとう」の応援バナーに見守られ、地元広島で輝きを放つ。

 『Time to say goodbye』。2年間滑り込んできたこの演目が、見る者の胸に沁みわたった。たくさんの声援に応えながらリンク中央に登場すると、曲の優しげなテンポに乗せて、情感豊かに演技を開始した。「今回最後に3+3を跳びたいという気持ちはあった」と語る冒頭のトリプルトーループトリプルトーループの連続ジャンプ。セカンドジャンプが詰まったが、柔らかな雰囲気はしっかり保たれた。続くトリプルサルコーでは流れのある美しい着氷を見せ、観客を惹きつける。スピンはこの日も高い質を誇り、回転数を維持しながら手先の表現にまで気を配った。プログラムの世界観を体現した振り付けは、動きの一つ一つに込められた繊細な感情でリンクをいっぱいに満たした。演技後半で会場を盛り上げたのは、「やっていて今まで以上に楽しくて、会場全体の温かい雰囲気というのを感じられた」と振り返るステップ。音楽の表情に合わせてはっきりと、かつ優雅に体全体を使って舞う。最後のジャンプとなるダブルアクセルで惜しくも転倒し、フィニッシュポーズをとったあとで悔しさをにじませつつ笑顔を見せた。視線をまっすぐ上に向けて明るい表情で滑りきった中塩に、客席全体から大きな拍手が贈られた。


指先まで神経の行き届いた美しい演技を披露する中塩

 SPで1位に輝いた中塩は、あすのフリースケーティング(FS)に最終滑走で臨む。思いの詰まった4分間、最後の一瞬まで目が離せない。


笑顔で演技する中塩

(記事 犬飼朋花、写真 青柳香穂)

結果

▽選手権女子SP


中塩美悠 1位 47.89点


コメント

中塩美悠(人通4=広島・ノートルダム清心)

――本日の演技振り返っていかがですか

やっぱりこの2年間ケガの影響でダブルからトーループをほとんど練習することができず、試合だけ公式練習のときにちょっと確認して跳ぶということを続けてきたんですけど、やっぱり歳というか試合を重ねるごとにだんだんボロが出てきて、どんどん試合で降りられなくなっていくのは自分としてはとても悔しかったし辛かったので、今回最後に3+3を跳びたいという気持ちはあったんですけど、やっぱり最後ぐちゃっとなってしまったので悔しいです。それからまさかのアクセルでコケてしまって、最後の盛り上がるところでそうなってしまったのが残念だったなと思います。

――いつも以上に身体がよく動いているように見受けられましたが、引退試合ということで気持ちの面などでいつもと違うことはありましたか

観客席からリンクサイドまで多くの人たちが応援してくれているのを感じたし、ステップなんかはやっていて今まで以上に楽しくて、会場全体の温かい雰囲気というのを感じられたのでそういうところが演技にでたのではないかと思います。

――曲名とリンクする試合でしたがその辺りで何か意識することなどはありましたか

タイムトゥセイグッバイと言いながら2年滑ってきたので、引退を念頭に置いて作ってもらった曲なんですけど、めっちゃ悲しいというイメージが自分の中でそんなになくて。それは(フリーの)タイタニックもそうなんですけど、本当はさよならなので悲しい顔して滑るのが正解なのかもしれないけど、そんなマイナスなタイムトゥセイグッバイでは最後の最後までなかったのかなと思います。

――明日に向けて何か意気込み等あればお願いします。

今日も思ったことなんですけど、気持ちで滑ってしまっているなというのがあって。ペース配分とかを全然考えてなくて、楽しいばかりでステップとかめちゃめちゃ伸び伸び滑ってたらアクセルで吹っ飛んでしまって(笑)一応試合なのでジャンプ降りなければいけないので次はステップで調子乗らないように、最後まで体力保てるように頑張りたいと思います。