名だたる長距離選手が集い、クロスカントリー日本一を決める日本選手権クロスカントリー競走が開催された。来る3月30日にデンマーク・オーフスで行われる世界クロスカントリー選手権(世界クロカン)の代表選考会も兼ねているこの大会に、早大からはルーキーの中谷雄飛(スポ1=長野・佐久長聖)が出場。序盤から前方でレースを進めた中谷は、後半も粘りの走りで上位に食らい付き、シニアの選手たちと堂々と渡り合う。見事に4位の好成績を収めた。

 実に落ち着いたレース運びを見せた。「位置取りをとにかく意識した」という中谷は先頭から4、5番手の場所で様子を伺いながら歩を進める。4キロの手前からは学生オリンピアンの塩尻和也(順大)が先頭に立ち、それを坂東悠汰(法大)が追う展開に。積極的な走りが持ち味の中谷だがこの二人には付いて行かず、冷静に後ろの集団の中で影を潜める。「後半勝負だと思っていた」(中谷)。余力を残して後半へとつなげた。


序盤は冷静に集団の様子を伺いながらレースを進めていった

 その後半では勝負強さを発揮した。7キロを過ぎると険しい表情に変わり、田村和希(住友電工)や田村友佑(黒崎播磨)に置いて行かれたものの、ペースを落とすことなく小松陽平(東海大)と4位争いを繰り広げる。「競り合いになったら負けない」(中谷)と残り1キロを切ると小松を引き離し単独の4位になり、ぐんぐんと前を追い上げる。懸命なラストスパートでギアをさらに上げた中谷は、3位を走る田村友の背中こそ届かなかったものの、学生の中では優勝した坂東に次ぐ2番手の4位でフィニッシュした。


懸命な表情でフィニッシュラインに飛び込んだ

 「最低限取れるものは取れてよかったなと思っています」。上位6位以内の選手に与えられる世界クロカンの出場権をつかみ安堵の表情を見せつつも、上位3人に与えられる日本選手権1万メートルの参加権にはわずかに届かず悔しさもあらわにした。しかし、全国都道府県対抗男子駅伝の後に脚を痛め練習ができない期間もあった中、急ピッチで状態を上げて結果を残した中谷は、実力者の片りんを示したと言えるだろう。昨年7月のU20世界選手権に続き、世界への切符を手にした中谷。世界クロカンへ、そして刻々と近づくトラックシーズンに向けて、福岡で好スタートを切った。

(記事 岡部稜、写真 大島悠希、岡部稜)


表彰状を手にする中谷。世界クロカンの出場権も手にした

結果

▽シニア男子10キロ

中谷 29分43秒(4位)

コメント

中谷雄飛(スポ1=長野・佐久長聖)

――きょうの目標は

3番以内で日本選手権(※1)と世界クロカン(世界クロスカントリー選手権 ※2)を、というふうに考えていたんですけど、ひろしま男子駅伝(全国都道府県対抗男子駅伝)が終わってから脚に痛みが出て、二週間くらい練習がうまくできなかったところがあったので、ちょっと不安要素もありました。準備期間が少なかった部分はあったんですけど、短いスパンの中でしっかりやることはできたかなという感じです。

――調子のほどはいかがでしたか

前日までは本当に大丈夫か、という感じではあったんですけど、動き出してからは引っ張ってもらったこともあって、ある程度しっかりリズムをつくって走れたかなと思います。

――ではレースについて伺います。序盤は塩尻和也選手(順大)を中心とした集団走となりましたが何を考えていましたか

位置取りをとにかく意識して、最初からしっかり先頭の方に行って。いつもは結構前を引っ張るタイプなんですけど、今回はじっとして、勝負どころでしっかり前に出るということを考えて走っていました。

――塩尻選手や坂東悠汰選手(法大)が前に出たときは付いて行きませんでした

誰もそこに付いて行こうとしなかったので(付いて行きませんでした)。僕自身も後半勝負だと思っていたので、そこはあえて付かずに力を溜めながら後半につなぎました。

――後半の走り、特に小松陽平選手(東海大)との争いを振り返るといかがでしたか

きつかった部分はあったんですけど、競り合いになったら負けないということを考えていましたし、残り1キロを切ってからしっかりペースを上げて走ろうと考えていたので、予定通りの走りができたと思います。

――4位という結果についてはいかがですか

世界クロカンの代表をつかむことができたので、最低限取れるものは取れてよかったなと思っていますし、ホッとしているところが大きいです。でもあとひとつで日本選手権(※1)というのもあったので、そこは悔しいところです。

――トラックレースへ向けたスピードは戻ってきましたか

そうですね。ある程度は戻ってきていると思っていますし、あとここからは継続した練習をしてさらにスピードのギアを上げていくかたちになると思います。

――次の試合は金栗記念選抜中長距離大会(金栗記念)でしょうか

そうですね、世界クロカンに出たあとは金栗になると思います。

――それに向けてどのように仕上げていきたいですか

金栗はまだ種目は何にするか決めてはいないんですけど、金栗がおそらくトラックレースの一発目になると思うので、いいスタートを切っていけるように、まずはしっかり自己ベストを狙っていけるように準備していきたいと思います。

 

※1 優勝者に第103回日本選手権1万メートルの出場権が、第2位、第3位の選手は有効期間内に1万メートルの参加標準B(28分45秒00)を満たすと出場権が与えられる(例外もあるが、通常は参加標準Aを突破した選手のみが出場できる)。

※2 今大会の上位6人から世界クロカンの代表選手が選考される。