元スペイン代表FWダビド・ビジャ(37歳)は、EURO2008、2010年南アフリカW杯でスペインを優勝に導き、自…
元スペイン代表FWダビド・ビジャ(37歳)は、EURO2008、2010年南アフリカW杯でスペインを優勝に導き、自らも得点王に輝いている。スペイン代表としてはラウル・ゴンサレスを抜き、歴代最多得点。世界最高のストライカーといっても過言ではないだろう。

ヴィッセル神戸に加入した元スペイン代表ダビド・ビジャ
ヴィッセル神戸に入団したビジャは、Jリーグでもゴールを量産できるのか?
「Caer a la banda」
ヴィッセル神戸のフアン・マヌエル(ファンマ)・リージョ監督は、ビジャの特長についてそう語っている。スペイン語で「サイドに流れる(落ちる)」という意味だが、サイドに走ってボールを引き出し、再び意欲的にゴールへ向かう。その力が圧倒的に優れているのだ。
全盛期のバルセロナ時代は、左サイドが主戦場だった。そこから中央に入って、シュートを狙う形で得点を量産。2010‐11シーズンのチャンピオンズリーグ決勝、リオネル・メッシが右サイドを切り裂いた後、セルヒオ・ブスケツからのパスを、右足で狙い撃ちしたシュートは語り草だ。
「ダビドは昨年11月にシーズンを終えている。だからフィットするのにまだ時間はかかるかもしれない」
リージョはそう断ったが、こうも続けている。
「ただ、士気は高いし、何よりプロフェッショナルだ。(完璧に崩さなくても)50%のチャンスでゴールを奪える。一番は左から中央に切り込んでのシュートで、右足でのキックはとんでもないレベルにある。必ずゴールを決めてくれるだろう」
ビジャはアメリカ遠征で2試合を戦ったが、チャンスに決めきれていない。沖縄キャンプでは韓国の2部のクラブを相手に、FKで壁の下を通すゴールを記録した。今は調整しているところで、一喜一憂はない。コンディションもそうだが、チームメイトとの呼吸を合わせることが大事で、結果そのものに意味はないだろう。
ひとつ言えるのは、ビジャが真のゴールゲッターである、ということだ。
「ビジャは動きが速いだけじゃない。即興的で、どんな動きをするのか予測がつかないんだよ。だからゴールできるんだろうし、審判としてはそのプレーを見極め、ジャッジするのも難しい」
スペイン史上最高の審判、メフート・ゴンサレスはそう言って、肩をすくめていたものだ。
ビジャはスペイン時代、バレンシア、バルサで得点を量産していた印象が強いが、MLSのニューヨーク・シティに移籍した後も、4シーズンで77得点を記録(レギュラーシーズン)。カップ戦も含めると、平均して毎シーズン20点以上取っている。
37歳になっても、ゴール感覚はまるで衰えていない。
「あそこまでゴールに貪欲な選手は、少なくとも日本人では見たことないですね」
そう語ったのは、神戸のセンターバックである渡部博文である。
「バルサ時代もカットインからの右足シュートってありましたけど、いまも形を持っているなって。周りにパスの選択肢があっても、まずは絶対に仕掛ける。それもディフェンス2、3人が横並びで守っていても、です。ダメならパスを選択するんですが、シュートへの姿勢は印象的で、とにかく入る雰囲気があります。
横にドリブルするときも、日本人は大股なんですけど、ビジャはタッチが細かい。GKは気付いたらシュートが飛んでくる感じで、タイミングが読みづらいようですね」
パスを受ける動き出しも効率的。たとえば外側に膨らんで、オフサイドを回避し、スルーパスを呼び込むプルアウェイの動きでも、ビジャは形にこだわらない。最短距離で足元に強いボールを要求し、ゴールに向かう。
アメリカ遠征でも、動きそのものは傑出しており、アンドレス・イニエスタからのパスを引き出していた。
「守りも、意外なほど真面目ですね」と渡部は続ける。
「プレスに行くときも、後ろをパッと見て前に行ってくれる。だから、後ろとしてはとても守りやすい。二度追いしたり、GKまで走ってもくれるし、(37歳でキャリアもあるのに)そこまで動けるんだな、という感じです」
ビジャはそもそも、チームプレーヤーとして名を馳せたFWである。戦術適応力が図抜けて高い。ジョゼップ・グアルディオラが率いた最強バルサでは、センターフォワードタイプで唯一、居場所を見つけた選手(サミュエル・エトー、ズラタン・イブラヒモビッチ、ボージャン・クルキッチなどは放出された)である。
一方、得点に対して貪欲さは昔から変わらない。10代でまったく無名のクラブから古豪スポルティング・ヒホンに入ると、大人たちに構わず率先してPKを蹴った。そして必ず決めた。以来、ゴールすることによって道を切り開いてきたのだ。
「ダビドのスペイン歴代最多得点は、ダテではないよ」
リージョは暗示的にビジャが活躍する可能性を言っている。