ある程度は予期していたことであったとは言え、実際にその数字が公表された時はさすがに言葉を失ってしまった__。
何のことかと言えば、2月11日に終わった今年初のG1全日本選抜競輪(別府)のことである。4日間の売り上げ目標は確か95億円だった。しかし、案の定、目標には遠く届かない83億258万8,500円。昨年の全日本選抜競輪(四日市)の99%、最低売上を更新した。いや、更新したという表現は適切ではないのだが、敢えてそのように書く。なぜならば、この金額はG1史上3番目の低さだったからだ。

2018年の売り上げは約6,490億円、5年連続で増えている。仮に胸を張りながら、この微増を誇らしく語っている関係者がいたとしたら、何とも悲しい話しである。確かに売り上げは年々、少しずつではあるが、アップしている。しかし、前述の全日本選抜競輪もそうであるように、グレードレースの売上は減少に歯止めが掛かっていない。昨年末のKEIRINグランプリ2018でも目標には届かなかった。「日本で一番売れている」と、評されている静岡競輪場をもってしてもだ。前回も書いたが、結局はミッドナイト競輪に“おんぶに抱っこ”の状況は否定できない。ミッドナイト競輪の売上が良かった分、年間トータルがプラスになっただけである。

全日本選抜の敗因、敢えて敗因と書くけれども、いくつか挙げられる。
まず一つ目は昨年末のグランプリチャンピオンであり、2018年の最優秀選手賞に輝いた三谷竜生(奈良101期)、昨年の競輪祭を制した浅井康太(三重90期)が早々に姿を消したことであろう。三谷は2日目のスタールビー賞で落車。浅井は3日目の準決勝で落車、これには過失走行で失格のオマケまでついてしまった。浅井のレースに関して言えば、プロらしくない内容であった。南関ラインの山中秀将(千葉95期)―和田真久留(神奈川99期)が後続を大きく千切って先行。浅井はゴールまで猛追し、そのまま真っ直ぐ走れば2着、3着はあったろうに、山中に後方から体当たり……それで浅井と山中は落車。このレースについては終了後からSNS上で“浅井非難”が凄かった。それは当然、車券を買っているファンにしてみれば、あり得ない失格である。ただ、浅井はこのSNS上の書き込みに対し、その日のうちに謝罪を繰り返した。


また、三谷や浅井に加えて、村上義弘(京都73期)、平原康多(埼玉87期)らのビッグネームも準決勝にて敗退。結果的に決勝戦はG1優勝戦としてはいささか寂しさも覚えてしまうメンバー構成になった。地元・九州開催で気合が入っていた中川誠一郎(熊本85期)が逃げ切りで、2回目のタイトルを獲得したが、やや派手さには欠ける優勝戦であったと、今でもそう思えてしまう。

開催場となった別府競輪場は地域密着型の優良競輪場だと、聞いた。最終日には8,000人を超えるファンが競輪場に詰めかけたそうだから(地元のタクシーの運転手も驚き、嬉しい悲鳴を上げていたそうだ)、努力とやる気は評価できるのではないだろうか。ただ、それが売上に繋がらないジレンマ。関係団体はいかに考えているのだろうか?前述した5年連続で売上アップという数字だけを喜んでいる関係者を見ると、個人的には不安でしかない。G1レースでの売上も増え、トータルでの売上アップが果たせてこそ、競輪界の本当の未来があるはずなのだから。