チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦、リヨン対バルセロナ。 フランスリーグでは首位を行くパリ・サンジ…

 チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦、リヨン対バルセロナ。

 フランスリーグでは首位を行くパリ・サンジェルマンに遅れること16ポイント差の3位。英国ブックメーカー、ウィリアムヒル社のCL優勝予想では16チーム中13番目にランクされるリヨンと、その予想で2位につけるバルセロナとの一戦は、リヨンのホーム戦ながら、接戦度の低い試合と予想された。

 ところが、結果は0-0だった。結果のみならず、バルサは内容でもリヨンといい勝負をしてしまった。先週、アヤックスにアウェーで勝利を飾り、CL4連覇、通算13度目の優勝を狙う態勢に入ったライバル、レアル・マドリードとは反対の流れにある。



リヨン戦に先発したリオネル・メッシ(左)とルイス・スアレス

 CL史でバルサが勢いづくきっかけになったのは、2度目の欧州一に輝いた2005-06シーズンだ。初優勝がチャンピオンズカップの名称で開催された最後のシーズン(1991-92)だったので、それはCLとしては初、久々(14シーズンぶり)の欧州王座だった。

 しかし、その時18歳だったリオネル・メッシは、CL決勝トーナメント1回戦のチェルシー戦で負傷した影響で、スタッド・ドゥ・フランスで行なわれたその決勝のアーセナル戦には出場していない。

 メッシがバルサのCL優勝に大きく貢献したのは2008-09。ジョゼップ・グアルディオラがバルサの監督に就任した最初のシーズンになる。

 ローマのオリンピコで行なわれたマンチェスター・ユナイテッドとの決勝戦。メッシは右ウイングで先発したが、ものの数分でサミュエル・エトーとポジションを入れ替わり、0トップのCFとしてプレーした。

 バルサの前線には、右からエトー、メッシ、ティエリ・アンリの順で並んだ。ディフェンス力が低いメッシを右ウイングに置けば、対峙するマンUの左SB、パトリス・エブラの攻撃参加を許すとグアルディオラ監督が考えた結果だと思われるが、現在のバルサにこの種のこだわりはまるでない。

 左右の高い位置に両ウイングを置く3FWは、バルサの伝統的なスタイルだった。ネイマールが所属していた一昨シーズンまで、そのスタイルはなんとか維持されていたが、監督がエルネスト・バルベルデに代わるや一変。メッシ、ルイス・スアレスを前線に置く2トップサッカーに変貌した。

 左サイドハーフには、ネイマールに代わって獲得したコウチーニョが座った。しかしこの選手はサイドアタッカーではない。居心地のよさを求めて真ん中に入る傾向が強い中盤タイプの選手だ。

 バルサに入団したばかりのネイマールも同じだった。ポジションを守ろうとしなかった。しかしその癖は1年後にすっかり改善されていた。バルサの伝統的な3FWのスタイルに適合していた。

 だがコウチーニョンは、バルサ入りして1年以上経過しても、当初と変わりがない。また右サイドも、スアレスとメッシがポジションチェンジを繰り返すことで、穴ができにくかった、かつてのようなこだわりがなくなっている。

 リヨン戦。左サイドハーフでスタメン出場したのは、コウチーニョよりFW色、サイドアタッカー色の強いウスマン・デンベレだった。布陣はいつもの4-4-2より4-3-3に近づいた。

 表記上ではバルサらしくなったように見えるが、デンベレを左ウイングとするなら、対称の関係に当たる右ウイングは不在。そのスタイルは左に傾いた3トップという、非対称な形になった。

 攻撃の幅は従来同様、狭かった。メッシとスアレスが中央に固まる、右ウイング不在のサッカーを展開した。奪われる場所も真ん中に偏るので、逆モーションになりやすく、リヨンに再三、反撃を浴びていた。

 かつてとは一線を画す、高い位置に網が張られていない、攻撃的とは言えないサッカーだ。さらに言えば、メッセージ性も低下している。世界のサッカー界において、バルサはもう希少な存在ではなくなってしまった。

 多少誇張すれば、2人(メッシ、スアレス)にお任せのサッカーだ。バルサの主要選手になって10数年が経過するメッシと、加入して5シーズン目に入ったスアレス。30歳を越えてもなお、両者に衰えは見られないが、向上もしていない。現状維持。2人より下で構える選手たちのレベルも上がっているとはいえないので、バルサのチーム力は横ばいの状態にある。

 だが、サッカーにおいて、横ばいは後退を意味する。サッカーは、競技力が永遠に右肩上がりを示す特性があるからだ。

 実際、リヨン対バルサと同じ時刻に行なわれていたリバプール対バイエルンは、サッカー競技のマックス値を越えるのではないかと言いたくなるほど、ハイレベルの試合だった。スコアはリヨン対バルサ同様、0-0だったが、2つの試合には、レベルにおいて雲泥の差があった。

 このレベルの戦いに遭遇したとき、メッシ、スアレスの2トップに頼るサッカーで対応できるだろうか。バルサのマックス値は下がっていると見る。

 低レベルで安定したサッカーと言うべきだろう。スペインリーグでは好調だが、CLでは最後に優勝した2014-15シーズン以降、3シーズン連続ベスト8止まり。今季のパターンもこれに似ている。優勝を遂げそうな気配を、このリヨン戦からはまるで感じることはできなかった。

 メッシ、スアレスの力が少しでも低下すれば、戦力ダウンは必至。クリスティアーノ・ロナウドという超大物を放出したにもかかわらず、ヴィニシウス・ジュニオールを加え、落ち込みを免れた感のあるレアル・マドリードとは対照的な絵を描いている。

 とくにメッシだ。彼に頼らないスタイルを見つけださないと、ライバルチームとの差は、さらに拡大するような気がしてならない。メッシとの10数年来の関係を、バルサはいつ終わりにするつもりなのか。リヨンとのアウェー戦を見ながら、あらためて思った次第だ。