2月17日にエールディビジ第22節が行なわれ、フローニンゲンがフェイエノールトを1-0で破った。フローニンゲンの放った…
2月17日にエールディビジ第22節が行なわれ、フローニンゲンがフェイエノールトを1-0で破った。フローニンゲンの放ったシュートが20本(枠内シュート7本)だったのに対し、フェイエノールトはわずか4本(同1本)。得点差以上の、フローニンゲンの完勝だった。

フェイエノールト戦でも好プレーを連発して勝利に貢献した堂安律
15位でウインターブレークに入ったフローニンゲンは、現在勝ち点27の9位。16位のエメンとの勝ち点差はわずか3しかないため、降格の危機が去ったわけではない、だが、ヨーロッパリーグ出場権をかけたプレーオフ(4位から7位までのチームで争われる。KNVBの優勝チーム次第では8位チームも出場可能)に進出する可能性も出てきた。
堂安律はゴールこそなかったものの、フェイエノールト戦で好プレーを連発した。
前半はフローニンゲンのハイプレッシングがハマったことで、フェイエノールト陣内の深い位置でボールを受けることが多かったが、右SBデヨファイシオ・ゼーファイク、ストライカーのカイ・シールハイスとのコンビネーションを交えながら狭いエリアを突破。右サイドからのフリーランニングでペナルティエリア内まで潜り込み、味方からのリターンパスを受けて果敢にシュートを放っていた。
後半はフェイエノールトがボールを長く保持したが、その分、スペースが生まれて堂安のロングドリブルが効果的だった。フェイエノールトはMFトニー・ヴィリェナと左SBカルヴィン・フェルドンクが堂安を見張るものの、堂安は度々このふたりを一気に抜き去った。自陣からロングドリブルで仕掛けてシュートを放った3分後には、何度も堂安に抜かれていたヴィリェナが故意にファウルする場面もあった。
ただ、フローニンゲンは攻守にわたって強度の高いプレーを求められたのだろう。タイムアップの笛が鳴った直後には、ピッチに倒れ込む者もいた。堂安もしばらく、ピッチの上に座り込んでいた。
「キツかった。アジアカップの時から、ふくらはぎが……。今は様子を見ながらやっている状態です」
アジアカップでの堂安は、仕掛ける姿勢こそ数多く見せていたが、狭いスペースしかない状況に苦労していたという。
「正直な話をすると、アジアカップの時は対戦相手が僕のことをあまり知らない状況でした。エールディビジだと、僕のカットインは読まれているので、逆に縦に行きやすい状況を作れる。
ただ、その分、(クロスを上げるために)右足の精度を上げないといけない。前半は何本か右足のクロスがありました。試合ごとに、幅の広い選手になってきていると感じています」
この日、堂安が打ったシュートは5本。ゴールキーパーと1対1となる場面もあっただけに、1本は決めておきたかっただろう。
「やっぱり(試合途中で)失速しちゃうところがある。あそこを決めきれる選手にならないと……。たとえばソン・フンミン(トッテナム・ホットスパー)だと、最後に相手をブチ抜いて点を獲る能力があります。そういう選手がアジアにいるから、僕も負けていられない」
フェイエノールトとの試合中には、堂安が出演した『情熱大陸』が放映された。試合後には多くのメッセージを受け取ったという。『情熱大陸』の取材対象は20歳以上と決まっている。堂安が20歳になったのは昨年6月で、取材開始が3カ月後の9月というから、制作サイドは堂安が20歳になるのを待っていたのだろう。
「小さい頃からの夢の番組だったので、出られてうれしい。ちょっとでも俺の性格を知ってほしい。サッカー選手としてだけでなく、人として『堂安律は面白いな』と思われるように。そういうドキュメンタリーに出演することができたのは、自分のためになると思います」
彼が目指すのは、「世界中のどこを歩いていても、『堂安だ』」と気づかれる存在になることだという。
「ありがいたい話ですが、今、日本なら道を歩いていれば、ある程度『ああっ』ってなる。(正体が)バレたいというわけじゃないんです。ただ、道を歩いていて(気付かれないと)、『俺のこと、知らないのか。俺もまだまだだな』と思うだけなんです」
オランダでは「バレてしまう」と言う。堂安は笑みを浮かべながら、アヤックス対レアル・マドリード戦を見るためにアムステルダムへ行った時のエピソードを話し始めた。
「ホテル・オークラに泊まったら、たまたまレアル・マドリードの一行も泊まっていて、子どもたちが外で出待ちをしていたんです。だから、ホテルの前がすごい状況になっていた。
(チームメイトになった)板倉滉くんと一緒に外に出たら、出待ちしているのはオランダ人だから、みんな僕のことを知っていて。『ドーーアーーン』って呼ばれて、めちゃくちゃ恥ずかしくなった。(コートの)フードを頭から被って外に出ようとしたけど、結局みんな集まって写真を撮りました」
『情熱大陸』では、アジア大会後に地元・尼崎に戻った堂安が幼馴染のお母さんから「あーら、りっちゃん、帰ってたのー」と声をかけられ、相好を崩している姿が映っていた。それが、素の堂安なのだろう。レアル・マドリードの選手を見ようと出待ちしていた子どもたちは、生でその姿を見たのである。