写真:坂本竜介(T.T彩たま監督)/撮影:ラリーズ編集部

昨年10月のリーグ開幕当初から、人気ショートムービーアプリ「TikTok(ティックトック)」をPRパートナー(公認アプリ)とするなど、他のスポーツに先駆けてSNSプロモーションに取り組んでいるTリーグ。トップリーグとSNS企業の提携は、日本のスポーツ界では初である。

TリーグのTikTokファン数は20,000人を超え、また、各チームはTwitterやInstagramでも積極的に情報発信を行い、「より広く、速く、親しみやすい」プロモーションを実現した。
こうした試みが実を結び、Tリーグは、コアな卓球ファンだけでなくライト層や若者たちも取り込みつつある。

いま、スポーツの「魅せ方」が、ライブかTVかという既存の枠を脱し、大きく変化しつつある。Tリーグは、時代の草分け的存在になれるだろうか。SNSは、スポーツビジネスに新たな可能性を与えるだろうか。TリーグT.T彩たまの「SNS使い」こと坂本竜介監督にお話を伺った。

プロスポーツを一種のエンターテイメントとしてもオープンに捉え、経営の観点から業界全体を俯瞰する坂本監督の言葉から、卓球はもちろんスポーツ業界全般に共通する視座を得る。

――Tリーグは、日本のスポーツ界では初めてSNSとコラボレーションしたトップリーグということですが、どのような反応を感じていらっしゃいますか?

SNSプロモーションについては賛否両論ありますが、僕自身は、時代に合ったものをやっていくことは必要だったと感じています。



TikTokしかりYoutubeしかり、最近はSNSが必要不可欠な時代・・・正確には、まだインターネットに不慣れな方々も多くいらっしゃる一方、テレビは見ずYoutubeしか見ないという若者も多いなど、情報チャネルが二極化してきた時代です。

そういう意味で、他のスポーツに先駆けて最初に取り組んだというのは、時代の兆しを捉えたものとして残っていくだろうし、集客ツールとしても良いスタートだったと思います。

賛否両論は仕方ないことで、その中で今の時代に合ったSNSを使うのは今後どのスポーツにとっても絶対条件になってくるんじゃないでしょうか。

――賛否両論の「否」とは、具体的にどういうことでしょうか?

一言でいうと、インターネットを見ない方々からの反対ですね。いくらSNSで情報を流しても、パソコンが使えなかったりガラケーだったりで情報が届かない方もいらっしゃいます。チケットも基本的にはインターネットで購入する仕組みになっているので、インターネットを使わない人はどうすればいいのかということになります。

本来ならそういった方々にも対応していかないといけないですが、スタートで完全にインターネット方面に行ったことで、「否」が出てきました。これについては、すぐ改善しなくてはいけないし、本来改善しておかなければいけないことだとも思います。

――「否」の部分も含めたうえで、SNSの役割をどう捉えますか?

こうやってみると、SNSやインターネットは確かに完全無欠ではないんですが、情報を「速く」伝えるツールとしては正解です。その拡散スピードの速さゆえに、一個一個の情報には気を付ける必要があるものの・・・それでもやはり、「速い」ということはスポーツ報道全体にとって価値であり、SNSを使っているのは正解だと思います。

――なるほど。SNSは完全無欠ではないが「速さ」を実現するには最適のツールということですね。T.T彩たまがSNSプロモーションを行ううえで、速さのほかに重視していることはありますか?

TikTok以外にもTwitterやInstagramを使っているのですが、それぞれの特長を活かしています。Twitterならとにかくユーザー同士のリツイートによる拡散力が大きいですし、TikTokはリズミカルな動きでキャッチ―さが出せたり選手のかわいさが見えたりするので、そういった強みを活かした使い分けを重視しています。

選手のプロモーション以外で注力したコンテンツとしては、開幕前にたくさん講習会やエキシビションをやったりして、そういうライブっぽい内容もSNSで発信しました。どこにいてもいつでも「生っぽさ」を感じられることが重要です。

そして何よりも普段いちばん心がけているのは、「情報を常に流し続けること」と「選手のかわいい一面が見れるプライベート感を出すこと」です。

――SNSをたくさん駆使されているようですが、どれが一番使いやすい、などありますか?

やはり用途によって何が一番使いやすいかは異なります。Twitterであれば、日々選手がつぶやいた内容が拡散されて知らない人にまで届く。拡散力がある点は、マーケティングツールとしても魅力的ですよね。

一方で、TwitterやInstagramのように文章を書いて投稿するとなると、日本語でしか書かない選手もいるため、マーケットが日本だけに縛られやすい。反対に、TikTokだと必ず動画を介するので、言語の壁を感じさせにくく、世界中の人に感覚的・視覚的に伝わりやすいという利点があります。また、音楽が付くことで自然とかわいさや親近感が演出できる点が、スポーツ選手のプロモーションに向いているんじゃないかと思います。

――それぞれのSNSの特長を活かしたプロモーションが、若年層やライト層の集客にも一役買っているのですね。

そうですね。SNSによるプロモーションは常に先を見据えた取り組みであるべきで、そういった意味ではTリーグが、SNSの中でもさらに新しいTikTokに目をつけたのは良かったと思います。実際にはまだTリーグの会場に来るのは、TikTok世代の若者より少し上の世代が多いのですが、今後を考えたとき、もっともっと下の世代の子供たちにたくさん来て欲しいので、先駆けたプロモーションは重要だと考えています。

――スポーツ界に先駆けたという点で、新しいスポーツ観戦の方法として、成功を意識していますか?

成功事例となるように各チームが考えなくてはいけないし、Tリーグや卓球界全体としても考える必要があると思っています。やはりどの業界でも困っているのはプロモーションで、たくさんお金をかけても成功するとは限らない。その点、SNSというツールは無料です。プロモーションにあれこれ試すにはもってこいですよね。

いち早くそこに目をつけたTリーグは面白い試みをしているし、逆にここで成功させなければ他のスポーツに広がりづらくなってしまうので責任重大かなとも思っています。



――SNSによるプロモーションとして、いま考えていらっしゃる面白い企画などはありますか?

例えばTikTokであれば、チームの選手の得意技をあげていく動画なんかは、選手にキャッチフレーズがついて覚えてもらいやすくなるかもしれません。あとは、朝起きて寝ぐせの状態のまま選手が定期的に投稿するとか・・・女の子は大変かもしれないけど、おもしろいと思います。

あと、タイミング的な使い道もあります。どういうことかというと、たとえばTリーグのファイナルに向けて2月は8試合あったりして、選手自身をプロモーション活動に動かすことが難しいんです。そういう時にも、SNSを駆使することで、プロモーションを継続することが可能になります。

うちのチームでは、SNSを活用して選手のレアな表情や練習風景を出していくことを多くやっています。今日も神(巧也)と吉村(真晴)がT.T彩たまの新しい練習動画をTikTokにあげていました。実力とプロモーション力を兼ね備えたエンターテイナーである神がチームに加わったことで、今後ますます動画をあげる量が増えていくと思います。ご注目いただきたいですね。

――「スポーツ×SNS」の大きな可能性に触れることができました。坂本監督、ご協力ありがとうございました。引き続きTリーグとT.T彩たまに注目していきます!

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文:大塚沙央里(ラリーズ編集部)