写真:吉村和弘(岡山リベッツ)/提供:©T.LEAGUE<Tプレミアリーグ2018/19シーズン 2月17日(日)岡山武道館>2月17日、岡山武道館で岡山リベッツ(以下、岡山)とT.T彩たま(以下、彩たま)の試合が行われた。昨日、岡山は木下…

写真:吉村和弘(岡山リベッツ)/提供:©T.LEAGUE

<Tプレミアリーグ2018/19シーズン 2月17日(日)岡山武道館>

2月17日、岡山武道館で岡山リベッツ(以下、岡山)とT.T彩たま(以下、彩たま)の試合が行われた。昨日、岡山は木下マイスター東京(以下、KM東京)相手に4-0のストレート勝ちを収め、パーフェクトなゲームを見せている。この日もモノにし、ファイナル進出を強固なものとするのか? 一方の彩たまにとっては今日を勝利して何とかファイナル進出に生き残りをかけたい状況。

つまり、両チーム共に負けられない試合である。ちなみに過去の対戦成績を見ると、どちらかと言うと彩たまのほうが分は良い。

岡山リベッツ VS T.T彩たま 各マッチの解説

1番:上田仁/森薗政崇 2-0 チョン ヨンシク/平野友樹

岡山からは上田仁と森薗政崇が、T.T彩たまからはチョン ヨンシクと平野友樹のペアが登場。上田&森薗は今までの戦績が14勝2敗。ダブルスの名手である森薗の安定感と上田の戦術が噛み合った、非常に強いペアだ。
そんな上田&森薗に2勝を挙げているのは、実はT.T彩たま。難攻不落の同ペアを攻略すべく登場したチョン&平野は、T.T彩たまが誇る“エースダブルス”である。坂本竜介監督も、かなり頭をひねって今日のオーダーに辿り着いたのではないか。

第1ゲームは、どちらかがペースを握るでもなく一進一退の攻防が続き、両チームがデュースを取り合った末に上田&森薗が取った。1つ1つの技術レベルが高いチョン&平野と相対しても、上田&森薗にはぶれない強さがある。

第2ゲームは、第1ゲームと打って変わって平野の積極的な攻めが目につく。このままの姿勢で行けばよかったのだが、終盤の平野は若干弱気気味に。となると、チョンは自分で行くしかなくなる。そんな強気で来るチョンを待ち構えている上田&森薗はしっかり対応、最終的にこの試合は岡山が制した。まさに、読み合いの末の勝利だ。

戦績が15勝2敗となった上田&森薗は、もはや完全に世界レベル。しきりにお互いが声を掛け合うコンビネーションもいい。

2番:吉村和弘 3-2 黄鎮廷

岡山からは吉村和弘が、T.T彩たまからは黄鎮廷(ウォン チュンティン)が登場。吉村は世界代表に選ばれたことでモチベーションが上がり、調子が良さそうだ。
第1ゲームは吉村が一気に攻め込み、11-4で取った。吉村のサービスからの展開が非常に良い。一方の黄は「どうしようか……」と攻めあぐんでいるように見える。続く第2ゲームは黄が11-5で取り返した。終盤、一気に8ポイントを取った黄。吉村のミスを誘いながらうまく対応している。黄が距離感の対策を取れるようになったのも挽回に作用した。

続く第3ゲーム。5オールから両者なぜかレシーブのときに点数を取る展開がしばらく続く。不思議にもサーブのときに点が取れないのだ。そして、デュースに突入。結果、このゲームは吉村が取った。両者がサービスを取れない中盤を経て、最後は吉村が見事にサービスを決めた。つまり、両者のサービスの差が出た格好だ。吉村はサービスのモーションやタイミング、回転数のバラエティに富んでいる。

続く第4ゲームは、ゆるやかに黄がリードを広げていた。気がつくとペースを握っている、そんなゲーム運びが黄は本当にうまい。攻撃力が高く強打を持つ吉村に対し、浅めに打つなどうまくポイントを外しながら自分のペースへ持っていこうとする黄。試合運びのうまさで、このゲームは黄が取った。

最後の第5ゲームは吉村が取り、3-2で吉村の勝利。両者ともに持ち味を出した好試合だった。吉村の多彩なサービスに黄は最後まで自分らしい対応ができなかった、それがネックだったか。

3番:イ サンス 0-3 チョン ヨンシク

岡山からはイ サンスが、T.T彩たまからはチョン ヨンシクが登場。まるで、韓国選手権の決勝のような顔合わせである。

昨日のKM東京戦でのイ サンスは凄かった。見えない球を打ちまくり、まさに無双状態。しかし、チョンとの対戦となると話は違ってくる。昨年11月20日に両者はヴィクトリーマッチで対戦しており、そのときはチョンが圧倒。また、それ以前の韓国での試合でも実はチョンのほうが分はいいのだ。両者は過去の対戦数が多いだけに、読み合いはほぼ互角だ。

試合内容を見ると、イ サンスが積極的に攻めまくっている。……のだが、スコアを見ると競っていたり、もしくはチョンがリードしていたりする。イ サンスからすると「攻め続けているのに負けている」という心境だったか? 一方のチョンからすると「自分は安定している、相手は勝負をかけている。この攻防で点数を離されず、機を見て逆転すればいい」という考えのはず。それがチョンの攻め方だ。

結果、この試合はゲームカウント0-3でチョンが勝利した。特に第3ゲームの終盤はイ サンスが為す術なしのまま5連続失点を喫してしまっている。何を仕掛けられても対応するチョン、2人の相性がそのまま出たような試合だった。

4番:林昀儒 3-0 アポロニア

岡山からは林昀儒(リン ユンジュ)が、T.T彩たまからはアポロニアが登場。昨日のKM東京戦での林は凄かった。張本智和相手に張本以上のチキータレシーブをビシビシ決める勇姿。あれを観たら「誰が林に勝てるのか?」と悩ましくなってしまう。一方のアポロニアはラリー戦が強いタイプ。アポロニアはいかにラリーへ持ち込めるか、そこも見どころだ。

試合が始まると、どうやら林は昨日からの勢いを持続しているよう。攻勢をかけ、どんどんポイントを入れていく。完全に林ペースだ。アポロニアはサーブレシーブに不安を持ったまま闘っているらしく、そうなるとラリーになってもうまく体が動かない。スピードも林に付いていけていない。メンタル面がプレーに影響してしまっている。

結果、アポロニアにペースを握らせないまま林が勝利を収めた。昨日の張本戦が林に自信を植え付け、遂には手の付けられない存在になった。そんな印象である。

この日、岡山はファイナルに大きく近付く一勝を手にした。それどころか、首位通過の芽さえある。現在、KM東京とはなんと2点差である。

2/17岡山リベッツ 3-1 T.T彩たま

◯上田仁/森薗政崇 2-0 チョン ヨンシク/平野友樹
14-12/15-13

◯吉村和弘 3-2 黄鎮廷
11-4/5-11/13-11/6-11/11-7

イ サンス 0-3 ◯チョン ヨンシク
8-11/8-11/6-11

◯林昀儒 3-0 アポロニア
11-6/11-4/11-7

文:寺西ジャジューカ