頂点へ向けて一歩ずつ。熱戦続く２回戦

　連日熱戦が繰り広げられている関東学生新進選手権（新進）本戦３日目。早大からは１回戦を突破した多くの選手たちがこの日の戦いに身を投じた。シングルスは男女ともに３人が３回戦へ進出。女子ダブルスはこの日で全組が敗退となったものの、男子ダブルスは佐藤祥次（スポ３＝大分舞鶴）・本多映好（社２＝岩手）組がスーパータイブレークを制してベスト１６入りを果たした。

★３選手が３回戦へ駒を進める（男子シングルス）

ストレート勝ちを収めた古賀副将

　６−１で幸先よくファーストセットをものにした樋口廣太郎（スポ２＝福岡・柳川）。セカンドセットは相手のネットプレーに苦戦し２−６で落としたものの、勝負のファイナルセットを６−１で奪い３回戦へ。佐藤祥次（スポ３＝大分舞鶴）は武藤洸希（スポ１＝東京・大成）と対戦することに。負けられない先輩、後輩の同校対決となった。試合は３ゲームを連取される苦しい展開となる。だが、徐々に佐藤はミスを修正し、反撃を開始。勢いそのままに６－４でファーストセットを獲得する。対する武藤はセカンドセットに入り、ミスを連発してしまう。佐藤はその隙を見逃さなかった。攻撃の手を緩めることはなく、武藤を圧倒。６－０でセカンドセットを終え、ストレート勝ちを決めた。

　本多映好（社２＝岩手）は慶大の成耀韓と対戦。ファーストセットは主導権の奪い合いとなり、互いにリードを許さない一進一退の攻防が続く。しかし相手の鋭いリターンショットに気圧され、徐々にサービスゲームでデュースに持ち込まれ、粘られる場面が増え始める。そして５−６で迎えた第１２ゲームでブレークを許し、ファーストセットを献上してしまう。セカンドセットは打って変わって一方的な試合展開となり、第１ゲームから５ゲームを連取される。第６ゲームでなんとか一矢報いたものの、次ゲームをキープされ試合終了。徐々に実力差があらわになっていき、完敗を喫した。

　今大会では「落ち着いて冷静に」（古賀）を意識して臨んでいる古賀大貴（スポ３＝大分舞鶴）が２回戦から登場した。試合序盤お互いにキープとブレークを繰り返していく。風が吹き、揺れるボールに苦戦し、イラつきを見せる場面もあった。だが、「気持ちが切れそうになりながらも我慢できた」（古賀）と語るように徐々に修正を重ねる。試合は進み、第７ゲーム目。どちらも譲らないラリーの打ち合いに。「落としてもいいやと思ってプレーした」（古賀）と開き直り、このゲームを見事獲得。流れをつかんだ。その後は相手に全く付け入る隙を全く与えず。ファーストセットを６－３で勝ち取るとセカンドセットで相手を圧倒。６－１のストレート勝ちを収めた。ファーストセットを接戦の末５−７で落とした名越大地（社１＝兵庫・相生学院）。セカンドセットにも流れを取り戻すことはできず、ストレートで２回戦敗退となった。藤井颯大（スポ２＝京都・同志社国際）はファーストセットを４−６で奪われたものの、セカンドセット、ファイナルセットを連取し逆転で３回戦へ駒を進めた。

（記事、森迫雄介、小田真史　写真、石﨑開）

★佐藤祥・本多組が大接戦を制す！（男子ダブルス）

スーパータイブレークを制し喜びをあらわにする佐藤祥（左）・本多組

　　佐藤祥・本多組は駒大のペアと対戦。「自分たちからミスをしないよう、しつこくやっていこうと考えていた」（佐藤）という戦前のプラン通り、手堅い試合となった。ファーストセットは最初の２ゲームで互いにブレークした後、壮絶なキープ合戦に。何度かブレークポイントを得るもゲームを取り切ることができず、逆に５−６で迎えた第１２ゲームで、スーパープレーの勢いに乗じた相手にブレークを許し、セットを落としてしまう。セカンドセットでは、セット間のインターバルを有効活用し、うまく気持ちを切り替えることに成功。序盤から着実にゲームを奪取していく理想的な試合運びで６−３とし、１０ポイント先取のスーパータイブレークを迎えた。「最初僕が緊張してミスを連発してしまった」と振り返る佐藤。ネットプレーなどでのミスでポイントを献上し、５−９とされ４つのマッチポイントを握られる。しかしここからが佐藤・本多組の真骨頂だった。「開き直ってプレーした」（本多）２人は、目の前の１ポイントを奪うことに全ての神経を注ぎ、結果として４ポイントを連取しスコアをイーブンとする。最終的に、これで得た勢いそのままに相手を押し切り、見事逆転。１２−１０でスーパータイブレークを制し、二回戦を突破した。小林雅哉（スポ３＝千葉・東京学館浦安）・樋口組は相手ペアのサーブに押し負けるかたちでブレークを奪うことができず。逆に要所でブレークされる劣勢の展開をを強いられ、４−６、６−３のストレート負けを喫した。

（記事、森迫雄介　写真、石﨑開）

★山田・田中李組が強敵相手に善戦を見せる（女子シングルス・ダブルス）

攻めの姿勢を貫いた山田・田中李組

　山田菜津子（文構２＝石川・大聖寺）はファーストセット、２ブレークを含む３連取で優勢に立つと、その後はサービスゲームをキープし主導権を握る。しかし、セカンドセットになるとミスが目立ち始め、相手選手はこの隙を見逃してはくれない。このセットを２−６で落とし、勝負はファイナルセットへ。しかしファイナルセットでも傾いた流れを戻すことはできず、第４ゲームに先にブレークを許すと、第６ゲームにも再びブレークされ、１−６で敗戦。悔しい２回戦敗退となった。松本妃那（スポ１＝福岡・柳川）は「風がある中でコートの内側を狙って、いけるときに攻めることができたのでよかった」と相手に一度もブレークを許さずにストレート勝ちで３回戦進出を決めた。　

　女子ダブルスでは山田・田中李佳（スポ１＝兵庫・相生学院）組は強敵の末野聡子・平田歩組（慶大）組と相まみえた。ファーストセットにいきなり３連取を許し暗雲が立ち込めたが、山田・田中李組も負けじとすぐさま３連取を決め、３−３のタイに戻す。その後は互いにサービスキープをしあうと、迎えたタイブレークを７−３で制し見事このセットを奪う。しかしキープ合戦の様相を呈したセカンドセットは第７ゲームにブレークを許し、ワンブレークアップでこのセットを奪われる。勝負の行方は１０ポイント先取のスーパータイブレークへ。互いに一歩も譲らぬ拮抗（きっこう）した展開が繰り広げられたが、５−５から５連取を許しわずかに勝利には届かず。２回戦敗退となったが、山田・田中李組は強敵を相手に攻めのテニスを貫き、確かな手応えを感じていた。

（記事、写真　林大貴）

結果

男子シングルス
▽２回戦

◯古賀　６−３、６−１　ディサナヤカ（専大）

◯佐藤　６−４、６−０　●武藤

◯藤井颯　４−６、６−３、　堀内（亜大）

●本多　５−７、１−６　成（慶大）

●名越　５−７、３−６　橋川（日大）

男子ダブルス
▽２回戦

●小林・樋口組　４−６、３−６　合戸・田中組（明大）

◯佐藤・本多組　５−７、６−３、１２−１０　渡邉・佐藤組（駒大）

▽女子シングルス
▽２回戦

◯今村南（社３＝大阪・城南学園）　７−６(４)、７−５　山田恵璃（東学大）

●山田　６−２、４−６、１−６　板垣惠美里（慶大）

◯田中李　（ＤＥＦ）　小田爽佳（日体大）

◯松本　６−４、６−３　我那覇真子（筑波大）

女子ダブルス
▽２回戦

●山田・田中李組　７−６(３)、４−６、５−１０　末野聡子・平田歩組（慶大）

コメント

古賀大貴副将（スポ３＝大分舞鶴）

――ゲームプランは何でしたか

相手が結構粘り強いタイプだと聞いていたので、序盤はミスなくミスなくプレーして自分のペースに持っていければなと思っていました。

――ファーストセットでラリーが長く続く場面がありましたが、どのようなことを思いプレーしてましたか

サーブが試合を通してあまり良くなくて、いくにいけない感じが続いてました。落としてもいいやと思ってプレーしたら上手くいきました。変に考えすぎてたかなと。そのゲームは結構キーになるゲームだったので、そのように思います。風がすごくあって、相手のボールが遅くて揺れていました。すごく打ちづらいなと思いながらやっていて、ちょっとむしゃくしゃしていました。

――あまり気持ちを前面に出す場面が少なかったように感じましたがいかがですか

　（気持ちを）出したいのですが、出してしまうと感情が高まりすぎて感情に左右されてしまう。大事な場面だけ出して、落ち着いて冷静にやれればなと。最近『落ち着いて』をテーマにやっています。

――今大会目標は何でしょうか

優勝を狙っています。次、藤井颯大（スポ２＝京都・同志社国際）と当たるので一つのヤマ場だと思っています。お互い色んな場面を経験している仲間なので、先輩の意地を見せてやろうかなと思うのですが、強いのでどうなるか分からないです。

――今試合で良かった点は何かありますか

全体的に（プレーが）上手くいってなかったのですが、気持ちが切れそうになりながらも我慢できたところですね。最後いい流れに繋げることが今回できました。いつもだったら気持ちが切れてしまうところをなんとか我慢できたというところが良かったところですかね。プレーはイマイチかな（笑）。

――セカンドセットでは相手を圧倒してました

相手も多分僕がファーストセットを取ったら気持ちが引くだろうなと思いながらやっていました。フォアで振って相手を焦るようなプレーをしながらこっちに流れを引き寄せられたかなと思います。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

優勝が目標なので、そのために明日ヤマ場になるので気負わずいいプレーを出して勝ちに繋げたいと思います。

佐藤祥次（スポ３＝大分舞鶴）・本多映好（社２＝岩手）

――試合前に描いていたプランは

佐藤もともとストロークもボレーもできるっていうのは聞いていました。それでも雑な部分はあると分かっていたので、自分たちからミスはしないよう、しつこくしつこくやろうと考えていました。

本多ツーアップで来ると想定していたので、２人で突き球をしっかり打って、確実にミスを減らしていこうと意識していました。

――ファーストセットは互いに最初ブレークをしたあとキープ合戦となりましたが、プレーしている中で考えていたことは

佐藤リターンゲームでブレークポイントがありながら落としてしまったのが結構あって、そこで最後に相手のスーパーショットなどで押し切られた感はありました。

本多自分たちがしっかりキープできていただけに、リターンゲームで取り切れない状況がズルズル続いたなど思います。最後のブレークされたゲームは相手のプレーが良かったので、まあ仕方ないかなと２人で話していました。

――ということはセカンドセットへはうまく切り替えることができたのですね

佐藤そうですね、トイレットブレークで一度間を取って、２人でやることを整理しました。しつこくやれば絶対にチャンスは来ると信じてやっていたので。

――そのかいあってか、セカンドセットでは序盤でリードを奪えましたね

佐藤そうですね。最初ブレークして、そこから僕たちも自信持って声出して、「気持ちだけでは絶対負けない」と話し合っていたので、そういう部分でセカンドセットは勢いでいけたかなと思います。

――最後のスーパータイブレークは常に先行を許すかたちで、４つのマッチポイントを握られる場面もありましたが、その時の心境は

佐藤最初僕が緊張して、全然ラケットを振れずにミスを連発してしまってたんですけど、本多だったり応援の声掛けで、思い切ってやろうというのを目標に掲げてプレーしました。マッチポイントを握られても絶対にチャンスは来る、返していれば何とかなると思ってやっていました。

本多最後は応援が凄く大きかったなと思っています。祥次さんのナイスキャッチからポンポンとポイントを取れたんですけど、応援が前向きな、背中を押してくれるような言葉をかけてくれたので、僕も開き直ってやるしかないなと思ってプレーできました。

――激闘を制して勝ち進むことができましたが、ダブルスとしての今後の目標は

佐藤（ペアを）1年間組んできましたが、今までで一番成績を残せている試合ですし、次の相手は今日小林と樋口が負けた相手なので、これからはどんどんチャレンジャー精神で臨んでいきます。

本多自分たちができることをしっかりやれば勝てない相手はそんなにいないと思います。どこにでもチャンスがあるという意味で自分たちができることをやっていきたいです。

――佐藤選手はシングルスでも勝ち残っています、それについての意気込みもお願いします

佐藤次は筑波大の１年生で勢いもある選手ということで、今日の武藤（洸希、スポ１＝東京・大成）のように思い切り来ると思いますが、気負うことなくチャレンジャー精神でやっていきたいです、昨年はベスト１６で負けてしまったので、明日頑張りたいと思います。