総合優勝を果たした昨季の全日本学生選手権(インカレ)では女子クロスカントリー部門に与えられる全168ポイントのうち、55ポイントを獲得し、他大に対し圧倒的な力を見せつけた早大スキー部クロスカントリー部門。その主力を担った選手の多くが残る今…

 総合優勝を果たした昨季の全日本学生選手権(インカレ)では女子クロスカントリー部門に与えられる全168ポイントのうち、55ポイントを獲得し、他大に対し圧倒的な力を見せつけた早大スキー部クロスカントリー部門。その主力を担った選手の多くが残る今季も大学スキー界を席巻してくれるはずだ。活躍が特に期待される3選手に話を伺った。

※この取材は10月25日に行われたものです。

「高校時代はほとんど話しをすることがなかった」(渡邉、小林)


小林はユニバーシアード代表に選出された

――スキーを始めたきっかけは何ですか

渡邉 小学校の時のクラブにスキーがあって、姉の影響もあって、小学校1年生の時からクロカンをやっています。

佐藤 私はもう物心つく前からやっていて、3歳ぐらいの頃にはもうスキーをしていましたね。兄も父もやっていたので、その影響もあっていつの間にか始めていました。

小林 私も兄がやっていたので、小学校の時から小学校のスキークラブに入ってました。

――その中でもクロスカントリー競技を始めましたか

渡邉 私は小1のころからもうずっとクロカンやっていました。私は小学校のスキー部イコール、クロカン競技みたいな感じでアルペンは無くて、ゲレンデは近いのでやるにはやってはいたんですけど、競技としてはクロカンばかりでした。

佐藤 私もクロカンやっていたんですけど一旦アルペンに行ったんです。保育園の時ですけどね(笑)。私は結構両方やっていて、どちらの大会も出ていた感じです。

小林 私も小学校の授業でやるのでそれで親しみがあったという面が大きいですね。

――出身都道府県によって特色があるのですか

小林 ありますね。長野の方でも私たちの出身地の方は、特にクロカン競技が盛んです。

渡邉 私たちは長野でも北の方で、その辺はクロカンしかないって感じですね(笑)。やっぱりクロカンは授業でやるんですけど、アルペンと違ってリフトにも乗る必要ないし、自力でどこにでも行けて手軽にできるから、ですかね。家の前の田んぼとかでも(笑)。

――スキー以外に他に何かスポーツの経験はありますか

渡邉 水泳とソフトボールをやっていました。水泳は年長と小1だけ、2年間だけで、ソフトボールは4,5年やっていました。選んだ理由はわかんないですけど、気づいたらスキーだけになってました(笑)。

佐藤 私も小学校の時に、水泳と、陸上とミニバス(ミニバスケットボール)をやっていました。小学校の時は冬の間だけスキー部という感じで夏は陸上とバスケをどちらもやって、という感じでした。中学校は夏が陸上部、冬がスキー部でやっていたんですけど、高校に入ってからはもうスキー部一本でやっていました。

小林 私も水泳と陸上をやっていて、小学校6年間やっていたんですけど、水泳は大会とかに出た記憶はなくて、陸上は県大会とか出ていた記憶はありますね。スキー一本に絞ったのは中学校からでした。

――渡邉選手と小林選手は同じ高校出身ですよね

渡邉 ちょっと難しいんですけど、学校が統合される直前で南キャンパスと北キャンパスという扱いになっていて実際には同じところで生活はしていなくて、本当に冬だけ一緒に生活していたという感じですね。部活も平日は一緒のところでは練習していませんでしたね。中学校の頃なんて話したこともなかったよね(笑)。

小林 話したことはありましたけどね(笑)。

渡邉 いや絶対ない(笑)。本当に覚えてないな。

――上下関係が厳しかったのですか

渡邉 そうですね、高校の時は上下関係がすごく厳しくて先輩と後輩はあんまり喋れない、みたいな。

小林 喋っちゃいけないわけでは無いんですけど基本的には喋らないですね。後輩からは、先輩から何かないと話しかけることはほぼないです。

渡邉 うちの学校は特に、というか体育科があるところはそんな感じだと思います。

佐藤 うちの所は全然そんなことはなかったですけどね(笑)。さすがに1年生の時は3年生が怖かったですけど、その間の学年がいなかったので3年生が卒業してからは一番私たちが上だったので和気あいあいとやってました(笑)。

「(3人は)ほとんど毎日一緒にいる」(渡邉)


最上級生としてチームをまとめている渡邉

――みなさん同じ種目ですが一緒に行動する時間は長いですか

一同 ほぼ一緒(笑)。

――練習も一緒にされるのですか

渡邉 そうですね、少なくとも週4で一緒に練習やっているので本当に毎日一緒ですね(笑)。

佐藤 同じコーチから練習メニューをいただいているので一緒ですね。

小林 あと合宿とかも長いので一緒ですもんね。

――出場する大会なども同じ大会ですか

渡邉 それも全部一緒(笑)。

佐藤 永遠に一緒。逃れられない(笑)。

――みなさんお互いの最初の印象はどうでしたか

佐藤 でもどうだろう、結構急にこんなに仲良くなったというか。

渡邉 今年から?(笑)まあまあまあ(笑)

――みなさんでどこかに行かれたとかエピソードありますか

小林 合宿とかで一緒にいるのでその印象が強すぎて結局その話になりますね(笑)

佐藤 夏休みは半分以上が合宿です。

――雪のない夏はどのような練習をするのでしょうか

渡邉 ローラーとかランニングとかで主に練習しています。

――夏と冬ではどちらがきついですか

渡邉 それは難しい質問ですね(笑)

佐藤 でも夏がきついかな。冬もきついけど、何て言うかどっちもきついですね。

小林 冬もきついですね。

――ランニングの成績とクロスカントリー競技の成績は直結する面が大きいのでしょうか

小林 (クロスカントリー競技が)速い人は(走るのも)速いですね。海外のトップ選手でもその傾向があると思います。

――夏の間は走りのみの大会にも出場されるのでしょうか

渡邉 そうですね、結構出ますね。5キロのレースとか。

小林 5キロのトレランコースとかタフなコースが多いですね。

渡邉 クロカンコースとか、ごついスキーヤーが出る大会があって。

「尊敬している人は祐佳さん」(佐藤)


佐藤はバイアスロン競技に挑戦して約1年でユニバーシアード代表に選出された

――目標にされている方や選手はいますか

佐藤 祐佳さんですね。

渡邉 え、なんで?(笑)私は大志さん(宮沢、平26スポ卒=新潟・十日町)。目標って言うか先輩でオリンピックとかワールドカップとか出ている先輩です。ブログとか見ますね。

小林 祐佳さんの部屋に飾ってありますよね。

――代としては被ってないですが、どのようなところを目標にされていますか

渡邉 被ってないけど、ストイックというか勉強家というか、そういう感じです。在学中も4年の後期までがっつり授業入れていたらしいです。

佐藤 私は結構、本当に尊敬している人は祐佳さんです。選手としても、それこそものすごくストイックだし私は今寮長をやっているんですけど、祐佳さんが前の寮長で、こんな仕事をしていたんだ、って思ってます。やることが多すぎて。

渡邉 そんなに多い?

佐藤 こういうところですね(笑)

渡邉 修理とかお金関係とか、、、、本当に尊敬してます。

小林 私は尊敬しているというか考え方的に松岡修造の考え方好きです。寮には持ってきてないですけど、実家に松岡修造の本2、3冊持っていて、あと日めくりカレンダー。

佐藤 あれいいの?(笑)

小林 よくわかんないですけど、たぶんポジティブになってます(笑)『今日からお前は富士山だ』みたいな(笑)こんなポジティブな人いるんだなって思います。

――大学の授業で競技に生かすことができている点とかはありますか

小林 栄養学の授業とか良かったですよね。

佐藤  栄養学は役立ちました。

――渡邉選手は4年生という事で卒論にも取り組んでいると思います

渡邉 そうですね、小学生のスキーの全国大会について調べていて。年齢と距離の関係であったり、アンケートとかとって保護者や子どもたちやそのコーチとの意見の相違とかを調査したりしています。

佐藤 コンディショニングデザイン論とかもよかったです。トレーニングメニュー考えたり、最大酸素摂取量を上げるトレーニングについて競技別に考えたり。

渡邉 トレーニングの意味を知ることができたという点では大きかったですね。

――みなさんはなぜ早稲田に進学することに決めたのでしょうか

渡邉 私は中2の時にはもう決めていましたね。その時期にすごく早稲田が強かったという事もあるんですが、コーチから「早稲田いいんじゃない」と言われていて。もう早稲田しか考えていなかったですね。

小林 私も高校の時から強かったから、というのと所沢にキャンパスがあるのでローラーもすぐにできるし、すぐに走りに行けたりという練習環境もすごく整っているからですかね。

佐藤 私は高校の時に(早大スキー部に)兄がいて寮とかで楽しそうにしている動画だったりを見ていたので、すごく楽しそうでここなら楽しく競技もできそうだなと思って決めました。

――今季のここまでの調子はいかがですか

渡邉 ローラーは良かったですね。

佐藤 でも結構ローラーとスキー競技は違う時もあるので現時点では何とも言えないですね。

渡邉 千佳は速いですよ。

――今季、一番目標にしている大会はありますか

渡邉 ユニバーシアードですかね。(10月)30日からスウェーデンに行くんですけど、選考が11月の半ばと12月の後半に日本の試合であるのでそこにまずは合わせています。本大会は3月にあります。

小林 11月は大事ですね。

佐藤 私は複雑な気持ち(笑)

――その心というのは

佐藤 今年からバイアスロンに挑戦していて。加えて撃ってるんです。ユニバーシアードでその種目もあるんですけど、学生であんまり射撃する人いないので、そっちの方で狙っています。さすがにすぐには上達しないのでわからないですけど・・・。

――具体的にはどのような練習をするのでしょうか

佐藤 実弾はこっちでは撃てないので、レーザー中で練習しています。それも合宿とかでしかできないので、今は動画とか見て勉強しています。

――ここまでの練習状況はいかかがですか

小林 例年通りの良いトレーニングができています。

佐藤 ランニングのタイムは上がってきていますね。

渡邉 ランの3000メートルのタイムもだしウエイトも1RM(最大挙上量)、春と秋のVO2MAX(最大酸素摂取量)の測定もあったんですけどその数値も上がってきています。

――やはりインカレは他の大会とは違うところがありますか

佐藤 嫌な緊張感というか他の大会よりも緊張感がありますね。

渡邉 失敗レースはできないというプレッシャーというか。応援してくださる方もインカレは多いですし。

小林 去年みたいに勝てればすごく盛り上がって楽しい大会でした。

渡邉 大会で楽しい、楽しくないとかある?(笑)まあでも学生が近くで応援してくれるというのは新鮮ですね。

――やはりそこが他の大会との大きな違いでしょうか

渡邉 アルペンとか他のセクションの選手たちに応援されることはほとんどないので、そうですね。

佐藤 頑張れるって言ったら頑張れるポイントなのかな(笑)

――去年は創部史上初の男女総合アベック優勝しましたが今年の目標はありますか

渡邉 ランナーはインカレならば、リレーで優勝、チームであれば2連覇が目標です。インカレは学校対抗という面が強いので個人よりもそこを重視します。

――個人種目での目標はありますか

渡邉 優勝?

佐藤 優勝。

小林 優勝ですね。

渡邉 みんなで優勝します(笑)

――インカレではクラシカルとフリーがありますがどちらが得意などありますか

小林 私はフリーですね。

佐藤 私はどっちもどっちかな。

渡邉 私もだけど、強いて言うなら距離が短い方(クラシカル)がいいかな。

――学生の大会で15キロのレース(5キロはフリー走法、15キロはクラシカル走法)は中々経験することはないのでしょうか

渡邉 15キロはユニバーシアードの距離に合わせて行われているのでユニバーシアードとインカレくらいですかね。

佐藤 基本は5キロか10キロです。

――レースではここに注目してほしい、自分の持ち味はありますか

佐藤 クロカンは難しいな(笑)

小林 団結力とかですか?

佐藤 きれいごと言ってますよ(笑)

渡邉 ラストスパートですかね。ラスト1キロくらいから1段階スピードを上げていくのでそこが持ち味です。

佐藤 私はそこで落ちちゃうんですけどね(笑) 私はスタートダッシュにしておきます(笑)

小林 じゃあ私は中間の粘りですかね(笑)

――最後にインカレも含めて今季の目標、意気込みをお願いします

小林 まずは今季はユニバーシアードを狙っているのでしっかりと出場して、そこで結果を残す。インカレではこの代で最後なのでリレーで優勝して去年のような喜びを味わいたいです。全試合全レース全力で頑張ります。

佐藤 去年はインカレで全く貢献できなかったので、今年は去年よりも良い調子でここまできているし、去年はシーズン最後まで体力が持たなかったので今シーズンこそは最後まで調整して調子を合わせて、最後の大会までしっかり走り切れるように頑張りたいと思います。

渡邉 私は、色々今季は選考会もあるけど楽しむっていうかあまり気負わないようにしたいです。私もシーズン後半は毎年走れなくなったり食べられなくなったりするので、しっかり最後まで走り切れるように頑張りたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 斉藤俊幸、山田流之介)


今年も強いクロスカントリー部門は健在だ

◆渡邉祐佳(わたなべ・ゆか)(※写真左)

1996(平8)年4月15日生まれ。162センチ。長野・飯山高出身。スポーツ科学部4年。

◆佐藤葵(さとう・あおい)(※写真中央)

1997(平9)年7月30日生まれ。155センチ。秋田北鷹高出身。スポーツ科学部3年。

◆小林千佳(こばやし・ちか)(※写真右)

1998(平10)年7月3日生まれ。157センチ。長野・飯山高出身。スポーツ科学部2年。