アジアカップからドイツに戻ってきた大迫勇也のケガの状態があまり芳しくなく、ブレーメン側は驚きと怒りを露にしたという…

 アジアカップからドイツに戻ってきた大迫勇也のケガの状態があまり芳しくなく、ブレーメン側は驚きと怒りを露にしたという。

 アジアカップ後にチームに合流し、最初のブンデスリーガの試合となった2月10日のアウクスブルク戦。大迫は負傷のためにメンバー外となった。その試合後の記者会見で、大迫について質問されたフロリアン・コーフェルト監督が答え、それをビルト紙が大きくニュースにした。

 ビルト紙は「コーフェルト監督が日本サッカー協会に怒り」というタイトルで記事を掲載している。

「(フロリアン・)カインツは売ってしまった。(マルティン・)ハルニクもケガをしている。(ミロト・)ラシカもケガだ。今、大迫が重要な存在だ。だが、アジアカップから戻ってきた彼は背中を負傷している」という書き出しで始まり、コーフェルト監督の「彼がプレーできない状態で戻ってきたことに驚いている。近いうちに日本サッカー協会と話し合わなくてはいけない」というコメントを載せている。



アジア杯決勝後、ブレーメンの試合で欠場が続いている大迫勇也

 ただ、大迫はアジアカップで全7試合に出場したわけではない。フル出場したのは初戦のトルクメニスタン戦と、準決勝イラン戦、決勝カタール戦の3試合のみ。オマーン戦、ウズベキスタン戦、サウジアラビア戦の3試合はまったくプレーせず、準々決勝ベトナム戦では72分から出場している。本当に必要な試合で起用されたということだろう。また、アジアカップ中は、ケガは右臀部痛と説明されていた。ブレーメン側が言っている背中ではなかった。

 12日になり、ブレーメンからは、フランク・バウマンSD(スポーツディレクター)の話が公式サイトであらためて発表された。

「大迫はアジアカップ準決勝、決勝とプレーできており、その試合で負傷が悪化したわけではないのに、戻ってきてから(ドイツ杯とリーグ戦で)プレーできていないことに驚いている。もちろん我々はこの状況に満足していない」

 さらに、「昨年のロシアW杯とアジアカップに参加したことで、コンディションを整える機会を逸した」「コパ・アメリカへの参加を拒否することをサッカー協会に伝えた」としている。

 選手本人の立場からすれば、もちろんブレーメンでの試合に出たいし、日本代表に呼ばれれば、それにも出たいと思うだろう。大迫は、森保ジャパンがスタートした昨年9月の合宿に招集されなかった際も、「呼ばれれば行きました」と、前向きだった。普段欧州で戦っているからこそ、日本代表で仲間と会うのは楽しみでもある。

 一方、クラブからすれば、給料を払っているのは自分たちだという思いは強い。選手の動向に関して主導権があるのはクラブだと主張するのは自然なことだ。代表の活動中にケガをされてはたまったものではない。

 ルール上は、代表側には選手を招集し、プレーさせる権利がある。選手がプレーしたいと望む以上、メディカルスタッフはなんとか試合にコンディションを合わせようと努力するのが当然だ。また、海外組の代表選手の場合、日本で手術やリハビリを行なうとなれば、面倒を見るのは日本協会となる。

 それぞれの立場があるし、誰が悪いというわけではない。力関係で決まる部分もあるだろう。ただし、その結果、選手が無用なプレッシャーにさらされたり、負傷からの回復に影響が出たりすることには、胸が痛む。

 クラブと日本協会の関係が悪化した例といえば、内田篤人(鹿島アントラーズ)のことが思い浮かぶ。ブラジルW杯で膝のケガが悪化した後、治療方針などをめぐって、所属していたシャルケと日本協会の主張は平行線をたどり、難しい時間が続いた。結局、内田は自身の判断で日本での手術を選択した。

 そこまでクラブと日本協会の関係が悪化しないよう早期に解決するにはどうすればいいのか。本人の希望と、クラブの利益と、代表への貢献。海外組が増えれば、こうした問題は増えていく一方だろう。

 綱引きをするのではなく、こうした軋轢が生まれないような関係性を構築することが、今後の課題ではないだろうか。