壁を3Dスキャンすることで、WEB上での課題閲覧を可能にした「OnlineObservation(オンライン・オブザベーション)」。OnlineObservationとのコラボレーションでお届けする本連載では、膨大なアーカイブの中から厳選した魅力的な課題を紹介していく。このサービスを体感していただくことはもちろん、この課題に携わった方々の思いなども感じてもらいたい。

 本記事では、OnlineObservationにアーカイブされた課題の中から、インスタグラムでの反応や運営のチョイスから決められるアワード、「OnlineObservation Award(OOアワード)」の2018年最優秀課題に選ばれた課題を紹介する。登場するのは、ロッキーボルダリングジムの新宿曙橋店(東京都・新宿区)にセットされた3級課題だ。

Vol.8「OOアワード2018 最優秀課題」



セッター:森一星
グレード:3級
 これは2018年の世界選手権やワールドカップを始め、規模を問わず様々な大会で使われているCheetaのボリューム(※1)がふんだんに用いられ、ワールドカップさながらに派手なコーディネーション(※2)で攻略する課題だ。一目見て「触ってみたい」と思うクライマーも多いことだろう。サービス開発者の筒井氏によれば、このようなムーブの課題は「憧れるけど楽しむことができない」難易度に設定される事が多いというが、そう高くない3級というグレードに落とし込まれていることで、「男性も女性も子どもも、広く多くのクライマーが挑戦し、楽しむことができていた」という。インスタグラムでもこの課題を登っている動画が盛んに投稿されていて、筒井氏はその理由の1つとして「『憧れのムーブを自分でやれた』喜びを共有したいというのがあるはず」と分析。ワールドカップ同様のホールドを使い派手なコーディネーションをさせつつも、難易度は一般的なクライマー向けになっている、この絶妙なバランスが多くのインスタ投稿と「いいね」を生み、OOアワードの最優秀課題に選ばれた。

※1 大振りなホールド。ハリボテとも言う。
※2 ムーブの一種。手足が連動した俊敏な動きを指すことが多い。

 本課題のセッター、森一星(新宿曙橋店スタッフ)氏によると、「ロッキーではオレンジ(4級)~黒(三段以上)まで各グレード1本ずつランジ(※)やコーディネーションがメインの課題を作成しています。この課題で使用したCheetaのボリュームは前回のセット時に購入したもので、その時は水色(二段)で使用していました。今回は少し下のグレードで使用したいと思い、セット後に他のセッターにも登ってもらい微調整を繰り返しながら完成しました」といい、「ロッキーのアプリ『サテライトロッキー』では、ロッキー内全ての課題の完登者数が分かるのですが、紫(3級)の中ではこの課題が一番完登者が少なかったので、もう少し難易度を下げても良かったのかもしれません」と、著名クライマーも利用するジムのオリジナルアプリを例に挙げながらセットの経緯を振り返ってもらった。

※ 壁内でジャンプしホールドを取りに行くダイナミックなムーブ。

 森氏から「微調整を繰り返しながら」という話が出たが、首都圏に5店舗を展開するロッキーでは、少なくない人数で構成されたセッターチームによる定期的なセットが行われている。期間も3日間しっかりかけて実施され、初日はホールド外しと洗浄、壁のメンテナンスに始まり、2日目に高グレード、3日目に低グレードのセットを行なう。チームで定期的にセットを行うことで、「どのセッターにも得意不得意があり、それぞれに合った課題を作ることで様々な種類の課題ができあがります。また、同じメンバーでセットすることにより、店舗間での大幅なグレードのズレを防ぐことにも繋がります」というメリットが生まれる。

 「どの店舗も同じメンバーでセットし、毎回反省を繰り返してより良い課題が作れるように心掛けています。これからも日々進化していくロッキーの課題をぜひ体験してみて下さい!」というロッキーでは、今後も切磋琢磨するセッター陣が、良質な課題を提供し続けてくれるに違いない。


<ムーブ動画>

OnlineObservation(オンライン・オブザベーション)

3D化された課題の写真や動画をPC・スマホで自由に“オブザベ”でき、かつ今までになかったライブラリとして誰でも共有、自由に投稿も可能な新時代のサービス。クライマーが閲覧することはもちろん、ルートセッターの課題ライブラリとして、クライミングジムのPR効果を狙ったメディアとしても活用されている。

CREDITS

取材・構成・文

編集部・OnlineObservation